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 Ultima IV を基にしたゲームブックといえば、先日プレイしたJICCから出ている「ウルティマIV」と、もうひとつ、双葉文庫から出ている「ウルティマVol.2 聖者への道」があります。これはUltima IV をファミコンに移植した「ウルティマ 聖者への道」のゲームブック版となっています。タイトルに「Vol.2」と付いていることからもわかるように、本書は同じく双葉文庫から出ている「ウルティマ 魔道士ゾールの陰謀」の続編です。
 PC版のUltima IV はプレイしましたけど、「ウルティマ 聖者への道」はプレイしたことがありません。ファミコン版のウルティマといえば、Ultima III のトンデモ移植でおなじみの「ウルティマ エクソダスの恐怖」が有名ですが、ネットでちょっと調べてみた限りでは「ウルティマ 聖者への道」はそれなりに良い移植をされているようで、それなりに評価も高いようです。




見覚えのあるアルバイト募集の記事につられて出向いた奇妙な事務所。
「うわァァァァァァァ――!」
ボクはむりやり空間転移装置に押し込められ、再び異次元へと放り込まれてしまった。
気がつくとそこはブリタニア王国、剣と魔法の「ウルティマ」の世界。
そこでは、邪悪のはびこっている王国に平安の光をもたらし、
人々を善の道へと導く聖者<アバタール>の出現が待ち望まれていた。
「ええっ! ボクに聖者<アバタール>になれだって!?」
――ジョフリー、イアナ、2人の仲間と共にボクの冒険は始まった。


樋口明雄「ウルティマVol.2 聖者への道」(双葉文庫)裏表紙より




 前作である「ウルティマ 魔道士ゾールの陰謀」でも同様なのですが、全体的にギャグやパロディの多い、ユーモラスな作風となっています。その点では、かなりシリアスだったJICC版の「ウルティマIV」とは対照的ですね。しかし雰囲気こそまるで異なるのですが、ゲームブックとしての印象としてはかなり似通っています。端的に言えば、どちらも世界をぐるぐる回りながらひたすらフラグを立てていくゲーム、ということになります。要するに、両者ともオリジナルの雰囲気をよく再現しているという長所を持つと同時に、とても面倒くさいという短所も併せ持っているということです。

 冒険記録紙を見ると、28個のヒントチェックを筆頭に、7つのマークチェック、8つの徳、石の入手、所持金、アイテム、呪文、HP、MPから、船を停泊させた位置まで、項目がが山盛りです。このあたりは双葉文庫のゲームブックではよく見かける光景ですね。
 問題は、ゲームをクリアするためにはヒントやマークをほぼ全てチェックし、アイテムを全て入手してはならないのに、チェックするための条件が結構厳しいという点です。チェックAを得るためにはチェックBとチェックCが必要で、チェックBを得るためにはレベル3になってなおかつ○○というアイテムが必要で、○○というアイテムを入手するためにはチェックDが必要で……、といった感じで、チェックの入手条件が複雑に絡んでいて、なおかつそれらが世界中に分散しています。とにかくやたら手間がかかるんですよね。
 どこに行けばヒントチェックやアイテムを得られるのかということも重要ですが、得られたヒントチェックやアイテムをどこで活用するのかというところもメモしておかないと、わけがわからなくなってしまいます。ぼんやりとプレイしていたら、クリアすることは困難でしょう。確かにウルティマっぽいと言えばウルティマっぽいのですが(原作はフラグを立てなくてもアイテムなどの入手は可能ですけど)、CRPGならともかく、ゲームブックとしては煩雑に過ぎるのではないかと思います。

 街での行動もJICCの「ウルティマIV」と同じ問題を抱えていて、街にいる全ての人や建物を訪れていないのに、街を去らねばならなくなるケースが多いです。フラグを立てまくらないといけないゲームなのに、これによってかなり手間が増えてしまいます。
 もっとも、JICCの「ウルティマIV」と比べれば、ムーンゲートや船のおかげで街間の移動は割と楽ですし、徒歩であっても、同じ街に安全に戻ってくるルートも容易に発見することができます。街の数もオリジナルからかなり削減されていて、そう多いわけでもありません。それだからこそ、街間の移動がただの面倒な作業に思えるというのも事実なんですけどね。それなら最初から、一つの街を徹底的に探索できるような構造にしておく方がいいんじゃないかと思います。
 私は結局、街の入り口のパラグラフをメモしておいて、街へは自由に移動できるということにしてプレイしていました。ムーンゲートも、本来ならランダムでページを開いて月の形を確認しないといけないのですが、いつでも自由に好きな場所へ行けるということにしていました。まあズルですけど、それくらいで丁度良いのではないかと思います。

 もう一点、面倒なのはレベルアップ。レベルは徳と連動していて、全ての徳が一定値を超えるとレベルアップ、ということになります。徳はいろいろと行動していくことで上下していくのですが、清らかさだけは徳が上がる箇所が極端に少ないので、ちょっと苦労しました。他の徳が20、30と上がっていくのに対して、清らかさだけはいつまでも一桁のまま。レベル2から3に上げるのに、ずいぶんと苦労してしまいましたよ。結局清らかさについては、徳がアップするポイントを何度も訪れたことにして、一気に最高値まで上げてしまいました。



 序盤は普通にプレイしていましたけど、途中から、街へは自由にワープでき(安全に移動できるルートはありますからそこはショートカットして)、お金はほぼ無尽蔵(特定の敵を何回も倒せば幾らでも稼げるので)、HPとMPは街に戻れば満タン(全ての街に宿屋があるわけじゃないけど、宿屋のある街まで行って帰ってくることは可能なので)という、半無敵プレイに走ってしまいました。それでも全てのフラグを立てて、クリアに至るまでには、相当な手間がかかってしまいました。
 ライトな作風ですのでサクサク読めます。しかしきちんとクリアしようと思ったら、かなり多くの手順を踏まなくてはなりません。JICCの「ウルティマIV」と同様に、あちこち探索しまくって少しずつ話を進めていく辺りにウルティマっぽさはあるものの、ゲームブックとしてはとても面倒というのが正直な感想です。

 それはさておき、プレイしながら攻略メモを作ってみましたので、このゲームが難しくて挫折しそうな人は参考にしてみてください。



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