すずめ休憩室

日々のこと、好きなこと、飼っていたペットのことなどなど・・・。
気の向くままにつづってみました。

「イタズラなkiss」

2006年06月04日 | 漫画・本
ご存知、多田かおるさんの未完の名作です。集英社、全23巻

ストーリーは女子高生・琴子が眉目秀麗・スポーツ万能のIQ200の天才・入江直樹くんにひと目ボレをし、告白するも無残に断られるトコロから始まります。
そんな中、琴子の家が倒壊・・・住むところの無くなった琴子父子は父の学生時代からの親友であるイリちゃん宅へ身を寄せることとなります。そこで紹介されたその家の息子は琴子を振ったその入江直樹その人だったのです・・・

ストーリーだけ読むとありきたりなラブコメ・・・そう感じる人も多いかもしれませんね(笑)
普通なら人前であれほど冷酷にフラれた段階できっぱり諦めそうなモノなのに、琴子は持ち前の明るさと根性で入江くんとの距離を縮めていきます。そして2人は結婚しちゃうのですが、なんていうのかな。。。ドジでおバカで一生懸命な琴子が可愛くていじらしいんですよね。

恋をすると、不安になる乙女心をうまーく表現しているというか、大好きな人と付き合ってても「私ばっかり好きなんだ」「彼は私のことなんてそんなに好きじゃないんだ」なんて思ったり悩んだりした事ありませんか?そんな過去の恋心が琴子を通してむくむくと蘇る感じ(笑)

入江くんも一見冷たさそうなんですが、感情の表現を知らないだけで、ちゃんと琴子を想っている・・・何でも出来てしまう故に感動ややりがいを見失っていた入江くんが琴子の言葉や行動の中から自分を見つめなおしているんです。入江くんほど出来る男ならお相手に不自由しなさそうな気がしてもやっぱり琴子じゃないとダメなのよね。

割れ鍋に閉じ蓋って諺が脳裏をよぎったり・・・(←酷い言い様)

夫婦や恋人って条件とか外見じゃなく、魂の奥底で補え合える存在が理想なのかも。よく言葉が足りなくてすれ違ったり、喧嘩したりってあるけど、その中からそういう存在に出会えたら幸せですよね。
そんな恋愛をこの漫画はかい間見せてくれます

ただ、「未完」なのは読む前から知っていたので、この作品が面白ければ面白いほど辛かったなぁ・・・読み薦めていくうちに「あと○冊で終わりなのにどうなっちゃうの」って残り冊数を数えながら読んでました

何故、「未完」なのか・・・
ご存知の人も多いかと思いますが、作者・多田さんが脳内出血で急逝されているからなんですね。享年38才。事故のようですが、まだまだ若いのに運命とは残酷なものです。23巻の終わり方をみる限りでは多田先生の中でこの「イタキス」のラストはある程度出来ていたように感じるのに、それを発表できないままこの世を去られることは本当に無念だったでしょう。一読者から見ても「ここで終わりだなんて~惨い」と感じた位ですもの

多田さんの代表作にもなる作品なのでとても残念です。
この場を借りてお悔やみ申し上げます

そして数々の連載を持つ漫画家さん、未完で終わることが無い様お体には十分に気を付けで下さいませ。
こういう未完はファンにしたら一番切ないので