子供の頃、家に猫が居たせいか、猫を題材にした作品にそそられる
不思議と漫画家や作家は猫好きが多いような気もするし、犬よりも猫を扱った作品も多い気がします。
「長靴を履いた猫」など古今東西、猫を題材にした作品は多々あれど、日本で最も有名な猫の作品の1つといえば夏目漱石の「吾輩は猫である」ではないでしょうか。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当(けんとう)がつかぬ・・・」
と始まるこの小説。ついこのこの間TVでも放送されていましたが、実はモデルが居たんですよ。夏目漱石の家に迷い込んできた1匹の黒い子猫がモデルなんだそう。
←漱石の孫にあたる人の著書、黒猫ちゃんでしょ?(笑)
漱石の奥さんはたいそう猫嫌いだったものの、漱石の「置いておあげなさい」との言葉一つで夏目家の一員となった黒猫ちゃん。作品と同じようにその猫も名前はなく、漱石に「猫、猫」と呼ばれていたそうです。
作中の飼い主、苦沙弥先生も中学の英語教師で偏屈な性格で胃が弱くノイローゼ気味というところも漱石自身と似ていますよね。
作中の「吾輩」はビールに酔っ払った末、水の入った大瓶に誤って落ち、溺れ死にますが、夏目家の猫ちゃんは4年間飼われたのち物置でひっそりと死んでいたそう。
猫が死んだ時、漱石は猫の死亡通知を出したそうで、それには「長らく病気療養中だったウチの猫が昨夜いつの間にか物置で死んでいました。葬儀はウチの裏庭で行いましたが、主人は「三四郎」を執筆作業中につき、弔問はお断りさせていただきます」な内容が書かれて居たんだとか(笑)
その後9/13の猫の命日には毎年弟子を集めて神楽坂の「川鉄」の鴨鍋を振る舞い法事をし、カツブシご飯と鮭の切り身を備えたというし、かの文豪もこうした愛猫家というか、猫バカっぷりな一面を知るとなんだか、とっても身近に感じるから不思議です
貧乏だった夏目家がこの「吾輩は猫である」のヒットで救われた部分もあるので、感謝という意味もあったんでしょうね~
ちなみに猫嫌いの鏡子夫人はその後も福猫を求めて、黒い猫を探して飼い続けたそうですわ
こぼれ話ですが、タイトルとなったこの冒頭部分。
実は最初、漱石はこの本の題名をこの冒頭にするか、それとも「猫伝」という名にするか迷っていたそう。
それを友人である高浜虚子が「冒頭の言葉がいいよ」と勧めてくれ、皆さんお馴染みの「吾輩は~」の題名になったんだとか
「猫伝」だったら、私も読んだかどうか微妙だわ~(苦笑)