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すずめ休憩室

日々のこと、好きなこと、飼っていたペットのことなどなど・・・。
気の向くままにつづってみました。

漫画感想いろいろ

2007年08月19日 | 漫画・本
お盆休み中に読んだ漫画のひと言感想など

「おかしなあの子」 石森章太郎 全3巻
 
ある日ごくごく普通の小学校へ転校して来た少女・猿飛エツ子。彼女は不思議な家に住み、動物と話すことが出来、忍者ようになんでも出来るスーパーウーマンだったのです。

詳しいレビューは貸してくださったトミーさんトコを見てください(笑)
判りやすく言うと、ドラえもんとかに相通じるものがありますね~初版は私が生まれたのと同じ昭和44年なのですか、ほんと夢が詰まっているんですよね~。かといって、エッちゃんの何でも出来るスーパーウーマンぶりだけに終始せず、裏の事情や全てを叶えることがけして最善ではないことをさりげなく指し示してくれています。
それまで、可憐な少女漫画を描いてきた石森先生の新境地ってトコなのかなぁ??これが後の戦隊モノとかに通じている感じがしますね


  
「ファイブスター物語」 永野 護 角川書店 ~12巻

とある宇宙の果て。アマテラス皇帝の下、各国が己の領土を拡大せんとひしめき合っていた。地球人よりはるかに長い寿命を持つ彼らの中でも騎士や王と呼ばれる者達はファティマという人工生命体コンピューターをパートナーとし、共にMH(モーターヘッド)と呼ばれる機械を操縦するのだった・・・

なごいくさんにお借りしました。
サンライズアニメのメカデザインを手がけた永野さんの漫画だけあってMH(モーターヘツド)と呼ばれる戦闘ロボや魅力的なキャラなどSF好きにはたまらない独自の世界観。
でも登場キャラが多いせいか、すんごく難しいな~というのが正直なトコロ。
これは借りて読むだけでは魅力の全ては理解できないかも。。。

それとファテマのスタイルが気になるぞ~
「針金のような足」もいいけど、骨盤が判るほどのガリガリの下半身に、ちょっと細く描きすぎでは?と思った。ファテマと人間の描き分けなのかもしれんが・・・永野さんの好みなのかな??


以下、ブックさんにお借りしてます
 
「金魚奏」 ふじつか雪 白泉社 全2巻

女子高生・飛鳥はお祭りで和太鼓の演舞をする1人の青年に恋をする。クラスメイトの兄だというその青年・雅生は耳が聞こえないというハンデを抱え、他人に対し心をと閉ざし気味だった。だか、彼を思う気持ちを抑えられない飛鳥は雅生に思いを打ち明け、交際がスタートする・・・

ひさびさに胸がキューンとするラブコメだわ~
これよ!!こういうのが最近少ない!!
ハンデがあろうと、お互いを思う気持ちの確かさ、そして相手を思うが故、抱えてしまう不安・・・精神的なラブを描いているトコが恋愛から遠ざかっているオバちゃんな私の心さえもくすぐります。

「愛」って相手をどれだけ幸せにしてあげようかと思えるコトなんですよね~

全2巻で終っているのが勿体無いけど、だからこそ、無駄がなくすっきりとした読後感を生んでいるのかも


  
「八卦の空」 青木 朋 秋田書店 ~3巻

三国時代に名を残す占い師・管公明の下に彼の親友で色男として名を馳せる紀玄龍が遊びにやってきた。トコロがまるで女っ気が無かった管ちゃんの家には可愛らしい女性がいてびっくり!なんでも彼女の村に妖怪が出て、有名な管ちゃんに助けを求めに来たと言うのだが・・・

三国時代の実在の易学者・管公明と彼の親友・玄龍を主人公にした歴史ファンタジー。
まるっきりのファンタジーかと思いきや、管ちゃんって実在の人物なんですね~
たぶん玄ちゃんは架空の人物なんでしようが、試しにでググってみたけど、「管公明」にはヒットせず・・・中国語のサイトらしきものではヒットするんですが、ちょっと怖いので、開くのは辞めました~(苦笑)

ボニータを以前買っていたので、途中までは読んでいたのだけど、続けて読むとやっぱりいいな~なんか心温まる感じがして。
真面目な管ちゃんとちょっとちょっと遊び人的な玄ちゃんのデコボココンビがいい味だしているというか。歴史モノというより、ファンタジーが好きな方にお薦めかも


神々の山嶺

2007年08月15日 | 漫画・本
 
「神々の山嶺」 夢枕獏/原作、谷口ジロー/作画 集英社文庫 全5巻

エベレスト登山隊のカメラマンとしてネパールへやってきた深町誠。
遠征自体は失敗に終わったが、彼はネパールの古物商である古いカメラを見つける。それはあの70年前に始めてエベレストに登頂したかもしれないと言われているマロリーが持っていたと同じ機種のカメラ。
このカメラを巡り、深町はある日本人と出会うこととなる。現地で毒蛇を意味する「ビカール=サン」の名を持つ男、日本山岳界で孤高の登山家として名を馳せ、自らの行方を消した羽生丈二、その人だった・・・。


あの夢枕さんの小説の漫画化。
私は今まで谷口さんの漫画は恥ずかしながら「犬を飼う」くらいしか読んだことかなかったのですが、この漫画化に当たって、作者、夢枕さんご自身が、「谷口ジローさんしかいない」と切望したのが良く判りましたね~

雄大な山という姿をこんな小さな紙面に押し込んで尚、この迫力、そして山への畏怖の念さえ感じられる絵を描ける人はそうそういないのではないかというのが正直な感想

人付き合いが下手で、尚且つ相手の立場も考えず思ったことをすぐ口に出す、およそ社交辞令など出来ない無骨な男・羽生。他人からはけして良い印象を持たれないであろうこの男の生き様を、カメラマン深町が推理小説の探偵の如くマロリーのカメラの謎を追い求める中、「羽生自身を知ろう」とすることで表し、より一層の人物追求の深みを増している感じがします。
主人公は深町なんでしょうが、羽生という男でもあるんでしょうね。

そしてクライマックスの羽生が自らの悲願である冬季エベレスト無酸素登頂に挑むシーン
なんとなく羽生ほどの登山キャリアのない深町が付いていくことに、そして「どんな事があっても助けない」と双方で確認していていても、やっぱり羽生は自分の悲願達成がそれにより危ぶまれても深町を助けるんだろうな・・・と感じていたので、力不足の深町になんとなく「こちら愛!応答せよ」の中尾先輩に近い思いを感じてしまったのですが、半分アタリ半分ハズレ(苦笑)羽生と行動することで深町の成長したのがはっきりと見えました

それにしても登頂に成功した瞬間のシーン、修行僧のような厳しさで常に山だけを考え、全てを捨ててきた羽生が、実は我侭なだけど、自分が受けた傷を自分で癒すことの出来ないモロさ、いや、我侭ゆえに自分の過去すら許せない人だと判ってちとホロリ。優しさもちゃんともっているんだけど、ただそれの表現方法を知らないだけなんだよね。
羽生の山に対するストイックな程の想いは死んだ岸に対する贖罪の意味でもあったんでしょうね・・・。

そして数年後、深町が再度登ったエベレストでみた羽生の姿。。。
あぁこの物語の全てはここに辿り着く為のものであったのだと、実感。

ん~現実は未だマロリーのフィルムは見つかっていないのですが、こうあって欲しいと読者に思わせるそんなラストでした。


さてこの作品、登山家としては常に影のような羽生に対し、光の中を生きているような長谷常雄という登山家のキャラを絡ませ、それぞれにお互いを意識させることにより2人の明暗を際立たせていますが、この2人にモデルと思われる人物が居たのはご存知でしょうか?

最初は羽生丈二=加藤保男、長谷常雄=長谷川恒男 だと思っていたのですが、山に詳しい電動おやじさんよると羽生丈二=森田勝なのだそうです。

いずれも日本を代表するクライマーなのですが、森田氏の生きかたが羽生とダブりまくり・・・。貧乏で海外遠征に行けなかったこと。滝沢の第三スラブの冬季初登攀。またK2登攀時(作中ではエベレスト)あくまで1番にこだわり、途中下山したこと、そしてグランド・ジョラスでの滑落と骨折、そこからの手・右足と歯で25mの奇跡の登攀とその後のビバーク。その直後の長谷川氏の登攀・・・きっと夢枕さんはこの2人のヒントを得たのではないかと思うトコか多々ありました。

まさか、あの奇跡の25mまでノンフィクションの出来事だったとは・・・かなりの衝撃でした。森田氏の最期は羽生のそれとは違いますが、それでもあの羽生の生き様をここまで実行していた人が居たとはとかなりの驚きでした

と言うわけでここ数日で山漫画を数点読ませて貰いましたが、ダントツにこの「神々の山嶺」が面白かった。原作つきという点を除いてもプロット、人物構成の確かさに加え、何と言っても山の厳しさ荘厳さ、それらを全て紙面に表現しているかのような谷口さんの絵と構成力に感服。

私は小説は未読なので断言は出来ませんが、原作を読まれた方でもけして失望することはないと思われる出来の漫画です。

山漫画いろいろ

2007年08月14日 | 漫画・本
山にハマっているというなごいくさんに「山を舞台にした漫画」をあれこれ借りました。
ものぐさな私は登山(というか、ハイキング)でさえ、「面倒くさい~」の何モノでもないのですが、こうやって読むとなんか心揺さぶられるモノはありますね。
昔、高校の課外授業の一環で「植村直己物語」を見た記憶が蘇ったり・・・
あっでも何故か皆で主演の西田敏行さんではなく、古尾谷雅人さんが出てくるとキャーと言っていた記憶が(苦笑)古尾谷さん演じる登山家が遭難したシーンなんて「古尾谷さ~ん!!」と声援が飛んでいたり・・・何故?
まぁ西田敏行さんでキャーだとそれはそれでビックリだけどさ(苦笑)

そんな事はともかく漫画の一言感想です


「こちら愛!応答せよ」上原きみ子 講談社文庫 全4巻

昔、山で怖い思いをした愛は兄が冬山で遭難したこともあり山が苦手。
何年ぶりかで登った山で出逢った2人の少年。優しく憧れの中尾先輩とクールな北沢くん。その2人が同じ山岳部ということもあり愛も山岳部へ入部することとなるのだが・・・

上原さんらしい、ラブありドラマありの仕上がりです。
まぁ高校女子がここまで出来る?という想いがちとあるが、それでもエンターティメントとしてはさすが。
私は最初から北沢くん派なのですが、ページを追うごとにカッコいいはずの中尾先輩が情けなく見えて嫌だったなぁ。。。あれならただの嫉妬深くて思慮が浅いヤサ男なんですもん。

ラストは2人が亡くなったのか?!上原さんの漫画で珍しいと思ったら思いっきりのサプライズ。
でも冷静に考えればいくら人肌とはいえ、極寒の地であの格好で救助を待つとはそのまま凍死になると思うんだけど・・・と思ってしまった私は夢の無い大人になってしまつたという事なんでしょうか?(苦笑)



「岳」 石塚真一 小学館 1~4巻

長野県北部警察署。ここは北アルプスと呼ばれる日本有数の山岳地帯をも所轄している。ハイキングから本格的な登山まで様々な人がこの山々を登るが勿論、不測の事態も起こる訳で、それらの人からSOSを受けた時、救助するするべく山岳ボランティアの島崎三歩に連絡をつけるのだ。
どんな山でも登っていく三歩という青年とは・・・

一話完結式の山岳救助を題材にした漫画。
「山を征服する」という事に目的をおいた漫画が殆どの中、これは遭難者とそれを救助する側を題材にしているが、かえってこちらの方がリアリティがある感じ。

ロッククライミングなどの作品はそれ相応のトレーニングや知識がないとなんとなく「作り物」ぽい感じがぬぐいきれないが、山での遭難は日常どんな人でも起こりうる可能性を秘めている。実際ニュースになるのはほんの一部だそうで、救助が間に合わず亡くなる人、そして遺体すら見つからない人も多いそう。
そんな現実をしっかり組み込みつつ、主人公・三歩が遭難者に必ずかける言葉「よく頑張った」がなんか心に染みます

どんな姿になろうとも帰る場所は家・・・山を見つめ山と共に生きる男たちの想いがちょっとジワリ。


「おれたちの頂」 塀内夏子 講談社 全2巻

邦彦8才の夏、連れられて行ったロッククライミングの練習場で自分と同じ年の少年が華麗にクライミングをしているのをみる。高校入学したその年、恭介と言う同級生にザイルパートナーを申し込まれるが、それはあの岩山を登っていた少年だった・・・

すまん・・・正直なところ、この3作の中ではイマイチ
う~ん、なんていうか、作品に無理がありすぎるというか・・・
いくらなんでも高校生でエベレスト登山隊メンバーに選ばれるのは無理だろう
・・とか、あまりにもツッコミところがありすぎ(苦笑)

巻数のわりに話を世界へ広げたのがいけないのか?!それとも訓練シーンが殆どないのがそう思わせるのか?!
特に秀逸な漫画を読んだ後にこれを読んだから余計そう感じるのかも・・・


他にも「神々の山嶺」を読ませていただきましたが、こちらは一言では語れないので別個に感想をのせますね。


それにしても「山漫画」っていっぱい死人が出るんだけど、痛いの、辛いの、悲しいのが苦手ななごいくさんがハマったのがちと意外(苦笑)
確かに「生きる為の指針」はあると思うけど、結構辛い話が多いわ~


週末に読んだ漫画

2007年07月19日 | 漫画・本
日曜にリアル友より大量の漫画を借りてきたので、読んだ漫画の一言感想など・・・
すっかりこの手法に慣れて、手抜き感ありありか?!(汗)
  舞姫テレプシコーラ 9,10 山岸凉子 メディアファクトリー

tooroさんトコをチラ見していたので10巻はとってもむごい展開になるのだろうなと薄々は感じていたものの、まさか千花ちゃんがあんなことになるなんて!!
3回目の手術の結果についてはある程度は予想していたものの、千花ちゃんの選択に思わず涙・・・読み返すと、「あぁここでこう思っちゃったんだろうな」とか「それは辛いよな~」と千花ゃんが追い詰められていく様子がより判って辛かった。
ひとみちゃんも一歩間違えば可能性はあった訳で、それから逃れられた人、逃れなかった人、2人の対比が余計に悲しさを表現しているようにも思えた
運命の神様が持つであろう天秤のちょっとした揺れなんだろうね・・・
これで第一部が完という事ですが、近々2部も再開するらしいとのコト。とても続きが気になります


 拝み屋横丁顛末記 7,8 宮本 福助 一迅社

以前にもチラっとご紹介しましたが、やっぱり面白いな~
一見ハチャメチャぽく見えてて、人情ぽいトコがちゃんとあるトコが読んでて心地良い笑いに繋がっている
今回は3爺の若かりし過去が垣間見えたけど、意外にカッコよくてビックリ(笑)
でもやっぱり一番は大家さんだわ~こういう鬼畜で容赦の無い性格の方、とっても好みです(爆)
このテンションが変わらないで続いて行って欲しいな

 辻占売 5 池田さとみ ぶんか社

以前、同じく池田さんの書かれている「新 東盛玲の所見」の感想を載せましたが、これも似たようなテイストのヒューマンストーリー。池田さんの漫画はハデさは無いけど、人が誰でも持つであろう心の闇に対して、救いを教えてくれているような感じがして好き。
一話完結なので読みやすいのだけど、読んでいるウチに自分にも該当する話が出てくるかも・・・と思わせてくれる漫画です。「東盛玲」よりこっちの方がより現実感があるかも

今回の巻では不思議な易者である主人公・閑の出生の秘密が垣間見えます。
不思議な力はそのせいだったのね・・占いって本格的には見てもらったことは無いけど、こういう易者さんならみてもらいたいな~


 猫のみた夢 神坂智子 小学館

神坂さんはいつ読んでも、心がじんわりするモノを持ってますね~
絵自体さほど上手くはないのかもしれませんが、心の奥底をくすぐる何かがあるというか・・・。
この「猫のみた夢」は計6作品を収録した短編集なんですが、主人公や主人公に近しい人物の周りに猫がちょこっと出てきている作品集。モノ言わぬ猫ですが、言わぬからこそ、人間というものを客観的に見つめている感じがします。

私個人的には「トラ猫と蝙蝠傘」の話が好きかなぁ・・・
貧しくて苦労し続けなのに、そんな中でも娘に学問をさせ続けた母の真意が離れ離れになったロシア人の夫からの手紙を読んでもらう為・・・・と判ったときには、ちょっとウルっと来たわ(苦笑)


 Eyed soul 1 篠原烏童 芳文社

久しぶりの新作。早い話が狼人間vs政府の秘密組織の話なんですが、ファンタジーや動物モノ、はたまたマフィアモノまで色んなジャンルを書かれている篠原さんだけあってウマいです。動物も殿方もカッコいいし。
でもストーリーとしてはまだ面白さが伝わってこない感じかな。1巻だとほんの序章って状態なので、敵方のバックや何故彼らが追われているか等々、謎ばかり・・・。
2巻以降に期待です

「ZOOKEEPER」

2007年07月11日 | 漫画・本
    「ZOOKEEPER」青木幸子 講談社

コマ動物園の新米飼育員・楠野香也は実は不思議な力を持っている。
それは目で温度の違いを感知することが出来るという事。香也の瞳の赤外線感知能力を見破ったのはコマ動物園のクマ園長のみ、一癖も二癖もありそうなクマ園長の下、香也はこの動物園でどう動物達と接していくのか・・・。


昔「獣医さん」になるのが夢でした。なんか動物が大好きで、いつも近くにいれたらいいな~という安直な考えのみだったのですが(笑)その後、漫画の影響で「考古学者になりたいな~」と思ってもみましたが、獣医さんになるにしても、考古学者になるにしても勉強が出来て国立レベルの大学に入れないと知り、そうそうに諦めました(←早っ!!・爆)

今でも動物が大好きで、引っ掻かれようと噛まれようとついつい触れる動物がいるとしょうこりなくナデナデしたくなったり、博物館や動物園、水族館とかも見るのも大好きだったりします。
そんな私ですから「動物園を舞台にした漫画」があると知って、さっそく購入したのがこの漫画。

「ZOOKEEPER」の名の通り、動物園を維持管理する人々=飼育員を目指す一人の女性が主人公なのですが、この主人公、温度差を視覚で捉えることが出来るという特殊な能力の持ち主。でもその能力に頼りきったストーリー展開をしていないトコがいいんです。

発売されたばかりの3巻では

絶滅が危惧されているのに、人間の生活圏に営巣するようになった「オオワシ」
最速の哺乳類として進化しながらも、走ることが出来ない檻で暮らす「チーター」
そして何処の動物園の人気者なのにも関わらず、謎が多く繁殖が難しい「象」

3つの動物を取り扱っていますが、野生動物として、自然の中で生きることが彼らにとって最も特性を出す生き方なのに、動物園と言う保護の中に入れた途端、その特性を維持する事が難しくなる現実のジレンマの巻となっています

もともとは全ての自然において、彼ら動物達の生活圏であったのを、人間という種がイニシアチブをとったが故に、沢山の動物達が生活の場を片隅へと追いやられている現実がある中、今の動物園が抱えている問題や「形態展示」や「行動展示」が動物達に与える意味、そしてこれからの動物園がどういう未来へ進むべきか等々・・・動物達の数々のウンチクも披露しながら、色んな意味で問いかけが多い感じがする漫画です。

動物や動物園を見るのが好きな方、是非お薦め!違った角度で楽しめますよ~


主人公・香也の不思議な力もさることながら、この作品で一番の曲者はクマ園長さんのように思えますね。

香也にとって良き理解者なのか?それともただの利己主義者か?そんなグレイゾーンにいるクマ園長が発する言葉の中にこの漫画の重要なトコが潜んでいるように思えてなりません

動物園というトコロの存在の意義はなんなのでしよう?

種としての特性の保存と繁殖?
それとも学術的な生態調査?
それとも庶民的なレベルからの動物に対する情操教育の場?

4巻以降で香也が見つけ出す答えとそれに対するクマ園長の反応に期待です

「YASHA」と「イブの眠り」

2007年06月29日 | 漫画・本
「YASHA」「イブの眠り」 吉田秋生 著 小学館

「YASHA」はけいさんから、「イブの眠り」は夜さんからお借りしました~いつもありがとうございます

沖縄の離島で母と2人で静かに暮らした居た少年・有末静。それはある日突如として破られることとなる。謎の男たちに母を殺され、誘拐された静が連れて行かれたところはアメリカのある遺伝子研究施設だった。6年の時を経て再び日本へ戻ることとなった静。彼はそこでもう1人の自分と同じ顔をした青年と出会うこととなるのだが・・・。

さて、読んで一番最初に思ったのが
「吉田秋生という人は何処まで成長をし続ける人なのだろう・・・」ということ

「BANANAFISH」「カルフォルニア物語」・・・吉田さんの作品は多々あれど、私はこの「YASHA」が一番面白く感じましたね~

主人公・静は遺伝子操作による代理出産で生まれ、既存人類を超越した能力を持っているのですが、それを利用しようとする一部の支配者と彼らによる選民意識という悪意・・フィクションだけど、妙に現実味を帯びています。だって某国では人の遺伝子を使ったクローン実験に成功していますし、日本も少子高齢化による財源不足は深刻な問題ですもんね~
絶対そんなことはあってはならないけど・・・・でももしヒトラーの様な選民意識が強いカリスマ指導者がいたら???

ちょっと想像すると、全くありえない!!とも言い切れないような気がするのです
この世界が隠し持っているかもしれないそんな負の可能性をバッサリと抉り出された気分

いつも思うのですが、吉田さんって方、漫画のプロットを起こす時、どうやっているんでしょうね~
この構成力というか、細部にまで徹底したリアリティの持たせ方が、一見突拍子も無い話に見えても、読み手により現実味を持たせてくれているように感じます

「YASHA」の中でもインフルエンザに似たウィルスの存在がクローズアップされていますが、
例えば凛の陰謀によって、殺人ウィルスに曝露した人たちを助けようとする場面

血清とは人間の血を容器に入れ放置しておくと細胞成分や凝固成分と分離し出来る上澄みのことで、これに免疫抗体が含まれているのですが、あの殺人ウィルスはもともとは静たち新人類の遺伝子操作の中で生まれたもの。静や凛が発病しないということは彼らの体の中には、既にこれらに対する抗体があるということでもあります。

茂市たちが人類が未知のウィルスに感染したとき、ただ「治療薬が無くて助けられなかった」と終わらせるのではなく、具体的に対処法に静の血でこの血清治療を・・という1つ掘り進んだものにしたり、その血を採血する事となった今井さんの「躊躇い」が後に大きな意味を持つところなど、1つのシーン、1つの行動が実に見事に次への繋がっているなーと

そして何より、静と凛の対比
同じ遺伝子、同じ姿と同じ能力をもちながら、全く違う二人。。。
そして続編「イブの眠り」に出てくる「死屍」

愛情というものが人間形成にどれだけの影響を与えるか、そして究極の局面に相対した時、強みとなるものは何なのか・・・色々考えさせられる作品でした

ただ「イブの眠り」の方ですが・・・・
作品としてはとても素晴らしい纏め方だし、「遺伝子」というものを題材にしている以上、読者の気になるトコロ(静に繋がる肉親)を掘り下げている

のだけど・・・やはり静のあの姿はショックだったわ~

ああいう思いきったことが出来るのも吉田さんの凄さなのかもね


かへ

2007年06月26日 | 漫画・本
ネットでしか公開していない漫画です 


 「かへ」 原作 藤井組、作画 山本揚志

ある老夫婦のお話なんですが、読んでてホロリとしました
説明は不要ですね、まずは画像をクリックして、読んでみてください
(※全画面で見たいとはF11キーを押してください)


週末に読んだ漫画

2007年06月17日 | 漫画・本
週末に読んだ漫画の一言感想など(笑)
ネタバレしてますので未読の方は注意をば!

 夜と星のむこう 1 今市子

以前廃刊になった「アワーズガール」という雑誌に掲載していた作品のコミックス化。
今さんらしい妖怪モノなんですが、帯に「ホームドラマか?ホラードラマか?」と書かれていた通り、16年ぶり再開した兄弟のやり取りが重くなりがちな題材を明るくしている感じ。
前世からの因縁も絡んでいるのでまず1巻は序章と言う感じだけど、掲載誌が廃刊となっているので、続きが出るのか?そして完結するのかがとても心配。
「百鬼」に通じるこのテイストは好きなんだけどなぁ・・・


 のだめカンタービレ 18 二ノ宮知子

なんか、長期戦の様相を見せてきたような・・・(苦笑)
話の進み具合がゆっくりとなっているので、最初の頃のテンポの良さと笑いを知っていると、なんか物足りない気もしますが、のだめのピアノを認めてくれる人が増えてきたのは正直嬉しい。
気になったのはruiの千秋に対しての想い・・・・う~んのだめと三角関係の予感か?!でものだめのコトだからruiをも振り回しそうな気もするけど・・・
今更ながらオクレール先生の言わんとしていることがなんとなーく判ってきたかも


 ピースオブケイク 4 ジョージ朝倉

今まで「平凡ポンチ」とか「カラオケバカ一代」とか、エネルギッシュなハチャメチャ漫画しか読んでいなかったけど、こういうチョイ切ない系のテイストが絡んでいる方が好きだわ。
あまり恋愛漫画は読まないんだけど、これは自分や恋愛にコンプレックスを持った志乃が等身大で、なんか共感が持てる。3巻のラブラブとは打って変わって、4巻は恋人の元カノで行方不明になったあかりの過去が明らかになると同時に、再び姿を現して、なんか嵐の予感。。。


 後宮 4 海野つなみ

ますます混沌としてきた関係だなぁと(苦笑)
当時の貴族や皇族の生活習慣が理解出来ないと、心理も理解できないのかも。
実兼とのコトや気持ちは理解できるけど、あの御室とのコトに対する御所さまの気持ちはよく判らんわ~私には「優しさ」といより「心の闇」に見えるぞい

二条が産むであろうあの人の子が歴史にどう関わってくるのかが気になりますね


 おひっこし? 山田ユギ

いんや~山田さん、初体験でしたが、面白いです。
出てくる登場人物、みんなにそれぞれドラマがあるというか、主人公が誰か判りにくいけど、それだけ全ての登場人物に魅力がありますね
センスの良さというか、心をくすぐる何かがあります(笑)
出てくる殿方、皆カッコいいけど、私はやはり「ボス」がいいなぁ(←オヤジ好き)

トミーさんが気に入るわけだわ、こりゃ

そしてその勢いのまま、今まで苦手と思ってきた禁断のBLにも足を踏み入れた私
ヤバいです、腐女史が1名誕生するかもしれません(苦笑)


とりぱん

2007年05月26日 | 漫画・本
   とりのなん子 講談社モーニングワイドKC

気を失ったシメを保護したり、庭でシジュウカラが孵化したりと、野鳥に縁がある我が家に「野鳥を扱った漫画があるよ~」とアヤネさんが教えてくれたのが、この漫画。いつもありがと~!!

とても表紙が可愛いので取り寄せて読んで見ると、すっかりツボに嵌っちゃいました。
なんか他人事とは思えないの・・・(苦笑)

毎朝、野鳥を眺め、季節になれば、ご汚い格好で朝早くから山に山菜を取りに行く(私は竹の子オンリーだけど)30過ぎ独身の作者の生活が自分とダブり過ぎ(爆)
またとりのさんのご実家が東北・岩手ということもあり、北海道に住む私と生活環境も似ているんです。

色んな鳥の生態や動物のエピソード、地域の食を面白く紹介しながら、でもけっして「野鳥を飼う」のではなく、そっと見守りながら手助けしているという感じがとてもいい。
とりのさんが過ごしているのんびりとした田舎暮らしがなんとも心地よく、癒しを与えてくれる感じ。
また身近なところにある何気ない風景の中から、とりのさんの詩人の様な感性で見つけ出す自然の美しさもいいですね~

私も庭に給餌台を作ろうかなと思っちゃったり・・・
はたまた野鳥図鑑買っちゃおうかな~と思ったり・・・

野鳥や動物がお好きな人にお薦めな1冊です


アニメ「獣王星」

2007年05月22日 | 漫画・本
樹なつみさんの漫画のアニメ化

樹さんは大好きな漫画家さんの1人で漫画は作家買い状態なのだけど、アニメは見れていなかったの・・・それが日頃からお世話になっている心優しいけいさんが「貸してあげるわよ~」とお声をかけて下さったので、甘えちゃいました。
いつもありがとう~!!けいさん

エリートの両親の元、バルカン星系のコロニーで何不自由なくに暮らしていたトール。ある日突然両親を惨殺され、双子の弟ラーイと共に死刑星キマイラへ落とされてしまう。そこは食肉植物がはびこり、180日以上も夜が続くという、人間にとって過酷な星だった。
何故?どうして自分達が?・・・・トールが父母の仇と思われるオーディンに相対する為にはこの星で唯一星外へ出れるという獣王になるしか方法はない。この過酷な星でこの11歳の少年は生き延びられるのか・・・

さて漫画のレビューは満天さんが素晴らしいレビューを書いてくださってるので、割愛させていただきますが、アニメを見ての感想等を少し。

ます声優さん。「トール」の青年期をキンキの堂本光一さんがされてらっしいましたが、私的になかなかGoodでした(笑)最初どうかな~??という不安はあったのだけど、光一くんには元々艶もあるんで、少し抑えた感じが恋愛に不器用で、真っ直ぐなトコにうま~く合わさってた感じ。

一方「サード」は「花男」でも人気の小栗旬さんがされてらっしゃいましたが、う~ん私のイメージする「サード」とはちょい違ったかな?(ファンの人、ごめんね)
私のイメージするサードって狡猾さの中に男の獣のような色っぽさがあるんですが、ちょいと小栗さんは「獣」っぽさがないというか、声の質なのかな~インパクトがある声なんだけど、その分耳に響いて、繊細で鋭利な刃な部分がぼやけてしまった気がしました。この辺りは好みというかそれぞれ自分で作りあげたイメージがあるからなんでしょうね。

トールの幼少期の方は「名探偵コナン」でもお馴染みの高山みなみさんがされてらっしゃいます。しかもトールとラーイ、1人2役です。しっかりモノのトールと甘ったれのラーイ、なんか目をつぶって聞いていると、「名探偵 工藤真一」と子供のふりした「ぶりっ子コナン君」を聞いているようで(笑)でもこういう声色の使い分けはさすがですね~見事な双子っぷりでした。

小栗さんも実写版のコナンの方で工藤真一役をされていたそうですから、もしかしてここのスタッフってコナン好きなのか?!(笑)と思ったら、「獣王星」の方が先でした(あはは)

肝心のアニメの方ですが、とても綺麗な仕上がりで、原作に忠実に作られている感じがしましね~まぁメカのデザインを含め背景などは多少アレンジされていますが、かなり原作を意識して忠実に作られた感じがしました。

ただ私個人の意見としてはクライマックスが物足りなかった。。

トールが獣王となってからの部分は全5巻の原作でも1冊半以上もの内容なのにぎゅっと凝縮しちゃってて、カリムに惚れていたはずのトールがオーディンからの告げられた真実に対するショックの後、何故頑なまでに恋愛対象として拒否していたティズに対して「帰って子供を作ろう」というセリフが出たのか?っとトコが原作を読んでいる人には判るけど、アニメしか見ていない人には判りにくいんじゃなかろうかと思った。

あれならトールの真意が伝わりにくいんじゃないかなーって

ただ落ち込んでいたトールを慰めてくれたティズにホロリと情が動いたわけでなく、ティズの中にキマイラという星の希望と生命力を見たわけで、自分が生きようとしたことで他人を死に追いやっていたという現実を知り絶望の渕にいたトールには希望でもあったんだと思うのよね。

それが最後に拾った孤児に名前をつけたシーンに繋がる感じがしていたので、なんか凄く勿体無いな~と感じたのでした
でね全体的にとてもよいアニメだったと思います。
なんか樹さんの漫画が好きな人が作ったんじゃないかな~って思えたもの

それはそうとカリムとトールのキスシーンの時、「おっ!ちゅーする?ちゅーする?!」と思いながら見ていた自分の中におばちゃんを見てしまったわ(苦笑)

いや~ね~

青い月の夜

2007年04月27日 | 漫画・本
昭和44年に発行された石森章太郎(現・石ノ森章太郎)さんの選集2です

44年という事は私の生まれた年だよ、すごいな~
この貴重な本をまたもやトミーさんがお貸ししてくれました。いつもありがとうございます

収録作品は
「青い月の夜」
「みどりの目」
「きのうはこない だがあすもまた」
「雪の日に」
「氷の花」

どれも昭和32~36年の間に発表された初期作品です

昭和40年代に生まれ、科学戦隊モノのTVで見て育った私にとって大好きだった「仮面ライダー」「キカイダー」「ゴレンジャー」などの原作者で「サイボーグ009」の作者でもあり、近年ではヒューマンドラマ「ホテル」などを手がけた石森さんって、なんとなーく「男の世界」というイメージがあったのですが、元々は少女漫画家として活躍されていたのですね~

歌舞伎などの女形が本物の女性より女性らしい所作をするというのは有名な話ですが、この石森さんの描く少女たちもとても愛らしく魅力的に描かれています。
よく創作をされる方って理想の異性を描くというけど、そんな感じなのかしら?(笑)

そして作者本人が漫画に登場する手法は手塚治虫さんも使われていましたが、石森さんのそれは自分と一緒に「妹」という読者が自分とダブらせることの出来るキャラと登場させて漫画の手法や創作などの会話する形となっており、より読者が親近感を持てるようになってます

またコマ割なども色んな事に挑戦されていたんですね~
今見るととても斬新に見えるけど、この探究心が後々の傑作たちに繋がっている気がしてなりません。なんかそんなトコも含めて石森さんという方の偉大さを感じてしまいましたね~

ほんと時代を超えた素晴らしい作品たちに出会えたことに感謝です


ブックス係数?

2007年04月25日 | 漫画・本
漫画好きなので毎月かなりの本を買ってます。
たぶん月平均1万円以上は使っていると思う・・・なんて贅沢(苦笑)

街の書店も利用するけど、たいてい新刊は7&Y、そして中古はBOをはじめ、ネットではイーブックオフアマゾン、たまーにヤフオクなどを利用してます。
(最近bk1も試してみようかな~!と思っている今日この頃・爆)

根はケチなので(笑)高額な商品は買わないけど、なんとなーくこだわりみたいのがあって、

新刊でも
aタイプ、絶対新書!(私の給料を印税として使ってやってください!)
bタイプ、新刊は新書、既刊はなるべく中古
cタイプ、基本は中古
に別れている
中古もネットだと送料とかの関係もあるので新書で買うのと変わらない値段になるのは買わないかな

そんな私の4月に買った本の数々

新刊・新書(漫画)
チーズスイートホーム・4  こなみかなた
新Petshop of Horror・4  秋乃茉莉
チェーザレ 破壊の創造者・3  惣領冬実
ゴールデン・デイズ・5  高尾 滋
極楽・青春ホッケー部・7 森永あい

新書(書籍)
古代エジプト愛の歌 古代エジプト語ヒエログリフからの邦訳
子宮内膜症取扱い規約

※新刊購入予定(漫画)
盗賊の水差し 今市子
倚天の翼  秋乃茉莉
イリヤッド・14 魚戸おさむ
覇LORD・8 池上遼一
ゾッチャの日常・9 生藤由美
魔法使いの娘・5 那州雪絵
今日からマのつく自由業・3 松本テマリ


中古本(漫画)
アンドロメダストーリー1~3 竹宮恵子
クイーンフェニックス上下 横山光輝

中古本(書籍)
ブッタとシッタカブッタシリーズ 4冊
アンネナプキンの社会史
あみねこのいる生活
使ったお金・・・書けません

もしかしたらまだあったかも・・・(滝汗)
こう書き出してみるとかなり買っているわ~(と言っても漫画が殆どだけど・汗)

呆れた?
でも漫画好きの人なら判ってくれるよね~!!


1リットルの涙

2007年04月17日 | 漫画・本
「1リットルの涙」 木藤亜也/KITA 

高校受験を控えた15才のある日。亜也はなんでもないトコロで転んでしまう。
たかが転倒、よくあること・・・そう思っていたのもつかの間、亜也の体は徐々に何かがおかしくなって行く。フラフラと揺れるように歩く亜也の姿をみかねた母は病院での検査を受けさせ、亜也の体に起こっていた現実を知る。
それは脊髄小脳変性症という不治の病だった・・・

本としても出版され、ドラマにもなった木藤亜也さんご本人の日記の漫画化です。
ついこの間のこの「1リットルの涙」の続編ドラマがオンエアされていたので知っている方も多いかもしれません

作画を担当されているのが「KITA」となっていますが、これは漫画家の「紺野キタ」さんのこと。思春期の少女の心の機微や心情を描くのがとてもお上手な漫画家さんなのですが、今回は「日記」という原作があるのであえて作画専用に「KITA」というペンネームを使っているそう
原作があるモノの漫画化というと大抵が省力されまくって、感動が薄かったり、原作との違和感を感じることが多いのだけど、これはその紺野さんが作画をしているとあってとても情感豊かに書かれています

本来私は悲しいお話を読むと心が沈んでしまうので、実はあまり得手ではないのです。
ですが、いっぱい活字として書かれている文章も細部まで判り良いのだけれど、この作品は漫画と言う受け入れやすさに加え、この紺野さんが折りなす柔らかな雰囲気と詩の様につぶやく主人公のセリフがあいまってとても読みやすく、その分心に切なく沁みる。

本を読むのが大好きな少女
文章を書くのが得意だった少女
普通高校でもトップレベルの学力を持っていた聡明な少女

そんな彼女が日に日にいう事を聞かなくなってゆく自分の体に戸惑いながらも真摯に向き合い、この病気の辛さを耐えてきた
くじけそうになる時、彼女を支えたのは素直な彼女の精神と愛する家族
その心を維持するために彼女も家族、そして友達もどれだけの涙を流したのだろう

その彼女がつぶやくようにささやくその言葉1つ1つが透き通るような悲しさとなって胸を突く

「神様、どうか助けてあげてください」と読んでいる誰もが思ってしまうことでしょう

15才というとても多感な時期
人前では泣くことをせず、心の中でいっぱい涙を流していた少女の日記
文庫として出版されているものだけでなく、漫画でも是非読んでみてください



「ブッタとシッタカブッタ」他

2007年04月10日 | 漫画・本
以前、満天さんにコレお借りしてから、小泉吉宏さんという方に興味が出まして、ついこの「ブッタとシッタカブッタ」シリーズを買ってしまいました~

「ブッタとシッタカブッタ」1・2巻
「ブタのふところ」
「ブタのいどころ」

悟りを開いたブタさんのブッタとまだまだ悩み多かりしシッタカブッタというブタさんが織り成す4コマ漫画

4コマ漫画と侮るなかれ・・・この小泉さんの4コマの凄さはコレでも取り上げましたが、短い言葉なのにすごいズッシーンときます

まだまだ未熟なシッタカブッタの1人である私はその心のあり方というか、物事の考え方に癒され教えられています

痛いという感覚がなくなると
 命に関わることも気がつかなくなる
 心の痛みもたいせつなことなのかもしれない

理想の恋人像を頭に描く者は
 恋人の欠点ばかり見えて 失望する
 理想をもたない者は 
 この世の全てがそのまんま見える可能性を持つ

痛いところをみつめないと
 痛いところは根本的には治らない

自分に言い訳をして 自分をなぐさめてだますのではなく
 つらくても自分をそのまま見つめると 見えてくるものがある
 それは心の平和をもたらすことになるみたいだ

すんごく疲れたときや落ち込んだときは本を読む気力にはならないかもしれないけれど、
ちょっと心に元気が無くなりかけた時、読み返してみたいと思えるような
寝る前にちょこっと読んで、明日への元気を作ろうと思えるようなそんな本

活字はちょっと・・・という人でも大丈夫
だって4コマ漫画だから(笑)

かなりお奨め


摩利と新吾

2007年04月07日 | 漫画・本
「摩利と新吾」 白泉社文庫 全8巻

DOZI様こと木原敏江さんの代表作ともいえる作品です。
木原さんの漫画は昔アンジェリクを読んで以来、結構好きで、また友達か買い集めているので数多くの作品を読ませていただいているのですが、一番有名ともいえるこの「摩利新」を読んでいなかったのです~
今回、ブログを通じてお知り合いになれたトミーさんよりお借りしました
ありがと~!!トミーさん!

時は明治末期、兄弟のように育った鷹塔摩利と印南新吾は二人一緒に名門旧制高校の持堂院学院の門をくぐる事となる。ドイツ人の母と日本人貿易商の父との間に生まれた美しい摩利と太陽のような天性の朗らかさを持つ新吾はたちまち学院内でも目を引く存在となるが、また彼らもここで掛け替えのない友を得るのだった

いや~良い作品というのは年代を感じさせないというのは本当ですね!初出が1977年とのことですが、今から30年前の作品とは思えないです
最初、読む前は学生寮を舞台にしたコメディかと思いきや、コメディあり、シリアスあり、耽美あり、そして友としての愛、耐え忍ぶ愛、見守るだけの愛、と色んな形の愛ありとなんか木原ワールドてんこ盛りという感じ。

特に人が本来持っている善良さの部分とそして誰もが多少なり抱えているであろう内面の闇の部分の対比がなんとも良い

そしてこの「摩利新」がなんとなくこの後に発表される木原先生の作品の源流の気がするんですよね。

色んなキャラが登場し、華やかな「摩利新」だけど、それぞれが後の作品たちのキャラを思い起こさせる気がするというか・・・
「風恋記」の露近と融明の中に、「杖と翼」のレオンとアデルの中に、摩利や新吾、一二三ちゃんの面影をみてしまうのです(と言う事は夢殿先輩は「風恋記」の帝か・爆)

ただ最後はちょっと意外でしたね~
この時代の漫画ってラストをハッピーエンドに持って行きがちなのに、ああいうラストとは・・・
私個人はすれ違いつつあった摩利と新吾が再びお互いの友情を確信し、笑ってハッピーエンドかなとありきたりのラストを想像していたけどど、さすがですね~
でもあのラストだからこそ、この摩利と新吾の絆の強さが強調され、尚且つ時代背景のクローズアップの意味も感じられ、木原さんの作り出すエンディングにはいつも感心させられます

きっとこの「摩利新」を書き始めた段階ですでにラストは決められていたのでは?という感じさえしました

そうそう木原さんの昔の作品に「あ~ら わが殿!」という漫画があるのをご存知でしょうか?
「摩利新」を書く前にマーガレットで発表された作品なのですが、実はここに摩利と新吾の原点があるんです。
しかも月夜麿や白菊丸、大江山将鬼という「摩利新」でおなじみのキャラ達もいるんですね~

友人は何物にも替えがたい宝だと教えてくれるこの作品、未読の方は是非ご一緒にどうぞ