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はな兄の1分で読めるエッセー

ふと脳裏に浮かんだ雑感を気ままに綴った日記

〇〇病院屋上、真夜中③

2025-04-06 01:06:32 | 病院

真夜中の病院の屋上で

星を見ながら

いつもの包帯娘としゃべっている。

たとえ

話が途切れ

しばらく沈黙の時間が続いたとしても

けっしてそわそわとした居心地の悪い

気持ちにならない。

 

ワタシ「コロナの次は関税か

戦争はあい変らずだし。

世の中は大騒ぎのようだね」

彼女「ここにいると関係ないよね。

下界のことは...」

 

(5分ほど沈黙)

 

ワタシ「53年ぐらい前になるのか。

小学4年の時、社会科見学で

五島プラネタリウムに行ったの。

暗闇で

星座の説明なんかをする解説員の人が

つるつる頭で

そうそう外見がNHKの鈴木健二アナに似ていた。

やんちゃなエンドウくんが

『あの解説の人が月だ』

なあんて、はやした。

彼女「なんでそんなくだらないこと覚えているの」

「さあ。星の説明は全く思い出せないんだけどね。

解説者の頭がつるつるだったことだけは覚えている」

 

(2分間の沈黙)

 

ワタシ「『星は何でも知っている』って歌があったけど

人類の未来とか世界の行く末なんか

もうすでに知っているのかな」

彼女「星座占いというのがあるんだから知っているかもよ」

ワタシ「聞いてみたいな。

西暦16666年の世界はどうなっているのか。

のぞいてみたいな。

彼女「猿の惑星になってるかな」

ワタシ「イヌと猿が世界を二分していて

高関税の応酬をしてるんじゃないか。

ちなみに

どちらもサツマイモが好きで

大きな需要があるから

今の小豆なんかに相当する先物取引の商品が

サツマイモになっている。

そういや

昭和の屋台で売られた

ホクホクした石焼き芋の

十分に焼けてちょっと固くなった小麦色の表面を

木の皮のように

メリメリと剥がして嚙みしめると

その甘みは何物にも代えがたいな」

 

(1分の沈黙)

 

ワタシ「宇宙が誕生して

135億年ぐらいらしい」

彼女「気の遠くなる時間だよねえ」

ワタシ「そうかぁ?

135億っていったらさ

たとえば、135億円の資産を持ってる人なんて

世界にたくさんいるでしょ。

彼女「135億ドルでもけっこういますよ」

ワタシ「でしょ。135億という数字は

それほど大きな数字には思えない。

世界の人口も近いうちに135億人になるよ。

俺に言わせると1年がたった135億個つらなっただけの時間が

はるか宇宙が誕生して今までと同じだなんて

むしろ「アレ。それだけ?」って

言いたくなるぐらいだよ」

彼女「なるほど。夜空の星々を眺めると

コレらがみんな、たったの135億年でできあがったのって

不思議に思っちゃったんですね」

ワタシ「そう。いつもそう思っていた」

彼女「ダークマターとか言ってまだ宇宙のほとんどがわかってないから

ある日、偉い学者が大発見して、宇宙ができて、135億年どころか

とんでもない年月だったということに塗り替えられるかもよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〇〇病院屋上、午後10時より①

2025-03-31 01:06:25 | 病院

きょうも眠れぬ患者たちが

三々五々

屋上に来て星を観ながらくっちゃべっている。

蚊もハエも上がってこれないからいないし

暑くも寒くもない。

心地よい風が吹いている。

ワタシはというと

入院中に知り合った彼女と二人

こういうシチュエーションで

とりとめのない話を

禅問答のような話を

ウダウダしゃべりあうことが

闘病生活の中での夢の一つだった。

まさにその夢が実現して

感慨深いものがあった。

 

彼女「高松宮記念ははずれちゃったね。

健闘したんだけど...」

彼女は顔じゅう包帯をぐるぐる巻きにしている。

どういう病気かあるいはケガかはわからない。

 

「山火事が続く今治市で

卒園式...か。

昔、日本テレビだったような気がするけど

お昼すぎのワイドショーで

織田無道ともう一人霊感占い師みたいな女が

視聴者から送られてきた

『霊が写ってる写真』を鑑定するコーナーでさ

その1枚の写真は

舞台でピアノを弾く子どもが

炎のような白い羽衣みたいなものに包まれている光景が写っていた。

「コレは、このお子さんの輝ける未来を表していると思います」

と織田が言うと

占い師みたいな女も「私もそうだと思います」

と、すまし顔で同調した。

司会者も

「この写真を送ってくれた〇〇さんよかったですねえ」

だって。

てきとう~!

昔から...

というより

昔は今思えばほんとに嘘くさい番組だらけだったな。

 

あーいうのって

時間がたつとみんなが

「よく考えればアレって変だよねえ」

と気づいてくるんだけど

放送直後やその2週間ぐらいまでは

気づかないものらしい。

どっきりカメラもそうだけど。

 

彼女「だから同じように

一般大衆が気づくまでのうちに

選挙をやっちゃったり

視聴率調査をやったりすれば

シメシメなんじゃないすか」

 

あの卒園式の笑顔の親子を眺めながら

はじめは

「いくらでも可能性がある年頃でうらやましいなあ」

とひたすら思っていたけど

それには

まがりなりにも日本が平和で

そこそこ豊かであることが前提なわけであって

これからの日本や世界は

果たしてどうなるのか

全く解らないよねえ。

彼女「ワタシは

ネガティブシンキングだから

不安の方が大きいです」

 

ま、でも今は、ヒトの心配より自分の心配をした方がいいかもね。

彼女「アハハ。たしかに」

 

 


2011年5月、病院にて

2025-03-11 02:44:31 | 病院

東日本大震災から14年か。

あんときゃ透析ができなくて困った。

ふだんは週3回(月・水・金)

1回当たり4時間の透析をしていたのに

水不足で

週に2回

1回当たり2時間の透析がしばらく続いた。

 

さあやっと『ノーマル運転』になったなと思った

4月31日の午後6時に透析中に電話が透析室に来て

ベッドで上半身だけ起こして受話器を握ると

「ドナーが見つかりましたよ。手術は明日です」

と移植コーディネーターの鈴木A子さんの声。

 

目を覚ました時は7時間の手術が終わっていたが

鼻の穴からニョキッと出た管は

喉の奥へと延び肺へ直接酸素を送り込むようになってたのかな。

とにかく

この管がうっとうしかった。

口の中の上あごがエグれていたが

これは自然に治ってゆくと言われていた。

全身麻酔をする手術のときは

上あごの肉がえぐれるのは仕方がないらしい。

ふつうは

前歯も4本ぐらい抜かれるとのことだが

前歯は健在でホッと一息。

ようするに全身麻酔の際は

麻酔医がなにやら

ぶっとい管で口の中を

職人技で出したり抜いたりするらしいので

そのとき口中が傷つく。

でもそれはある程度仕方がないのだそうだ。

 

病気になる前は初心者患者だったから

局部麻酔より全身麻酔の方が

自分がわからないまま目を覚ましたら終わっているから

そちらを希望するなんて思っていたが

そんな考えはこの日を境に吹っ飛んでしまった。

局部麻酔で手術が可能なら局部に越したことはないのです。

 

入院中の私の経過はここで述べても面白くなかろうと思うので

一人の妙齢の上品そうな御婦人患者が印象に残った。

渋谷区松濤まではいかないが

小田急線の豪徳寺あたりにすんでいそうな

女優の風見章子に激似の婦人である。

その彼女が怒り心頭なのだ。

何度となく看護師に訴える。

「気温が高いからと言って安易に冷房をつけるなんて信じられません。

今、世間では計画停電とか日常生活を我慢したり

なにより被災地ではまだまだ耐乏生活を強いられてるとき

つまり我が国が日本が一丸になって

この困難を乗り越えていかなくてはならないというときに

我々だけがこうしてベッドの上で安穏としている。

それだけでも世間様に申し訳が立たない。後ろめたい

忸怩たる思いでいるそのようなときに

エアコンとは何ですか!」

若い男性看護師は

「いや、あの、ココは病院ですからエー。

特別に許され」

すると背後にいた御婦人と同室の

若い女子患者2人組が

「アタシたちが暑がりじゃなくて、このおばさんが寒がりなだけ」

「アハハハ」

と、言い放った。

御婦人は「ワタクシ、院長先生にお手紙を書きます。ええ、書きますとも」

と述べた。

 

どちらの肩を持つということはないが

ボクも当時体脂肪が0.3パーセントで寒がりだったので

超寒がり仲間ということで御婦人に親近感を抱いた。

 

2週間後

御婦人はゴキゲンになった。

空室だった個室に格安で入室したとのことだ。

そして

こうるさい御婦人のいなくなった大部屋の

若い2人組女子は

ガンガン冷房を効かせ始めていた。

 

追伸.春になってゆくにつれ、重ね着していた服を一枚ずつ脱いでいき

   カラダが軽くなってゆくのは嬉しいですねぇ。

 

 

 

 


東京へ

2025-02-28 10:19:19 | 病院

通院のため東京に行った。

朝、車内は混雑している。

が、三河島駅の乗降客はほとんどいない。

いつも思うことだが

なぜ常磐快速でこの駅に停車するのか

そもそもなぜこの駅が存続し続けているのか。

それがわからない。

ひょっとしたら

1962年の三河島事件と関係してるのかとも思う。

 

「各駅停車の常磐線電車が停車しないから」

なんて答えもハテと首を傾げる。

各駅停車の電車が三河島駅に停車して

快速の方が通過すりゃいいじゃない。

でしょ。

それが普通の考え方なんじゃないの。

 

東京の鉄道や地下鉄を利用して

つくづく感じることは

女性たちの体が大きくなっていることである。

私は身長が170センチジャストぐらいだが

目の前に歩く女子高生や

すれ違うキャリアウーマン風

ホームに並ぶサイケ調の女の子(グループサウンズ時代の鈴木ヒロミツ激似)

おもに10代から30代まで

私よりデカい女性の比率が明らかに多くなっている気がする。

少なくとも

昭和時代より

女性の体格は明らかに良くなっている。

そういえば

野球でもサッカーでも

最近の日本人選手は体格的にも欧米選手に見劣りしない。

女子サッカーの谷川選手もそのうちの一人だ。

ちょっと今までの日本人の選手と

体格もプレーもスケールが違う。

 

常磐線の下り。

取手駅ににて。

乗り換える時

ホームに立っていると

一羽のハクセキレイが私の足元にいた。

目の前にいるのに逃げずに

一生懸命ホーム上にあるなにかをついばんでいる。

その頭をカクカクと上下する動きを眺めているうちに

それって、モールス信号のようなもので

私に誰かが

なんかのメッセージを伝えているような光景に

ふと感じた。

追伸

定期検査の結果は芳しくなかった。

次、がんばろう。

 

 

 

 

 

 

 


暗闇の待合室①

2023-11-09 19:08:16 | 病院

消灯が9時ったって

今どき9時で眠れられるわけがない。

きょうも夜の9時を過ぎると

〇〇総合病院1階の待合室に

暇を持て余した入院患者が集まってくる。

 

「ゆうべは永瀬九段が大逆転勝ちでしたね」

『藤井竜王戦での借りを返した

ある程度はね」

「それが将棋なのよ

だからこんな面白いのに

なんで『観る将』とかって、いつまでも言ってるの

やればいいじゃない。指せば。

ここにいる人はみんなやってるもんねぇ」

「ねぇ~。まともな人間なら将棋をやるわ。

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損、損

というぐらいで

同じファンなら観るだけよりもやってみれば?

って何度言いたいか」

(一同、頷く)

 

昨日の逆転勝ちのパワーの源は

昼食のカレーだと思う。

永瀬九段はバナナと同じくらい好きみたいだな。

きょうのテレビ東京の番組によると

カレー粉を世に初めて発売したのは

S&B食品らしい。

「ソフトバンク?」

「違う!エスビーしょくひん」

「カレーっていったら

真っ先に思い浮かべるのが

新宿紀伊国屋書店で立ち読みをしてると

漂ってくるカレーのいい香りだねえ

あれはいい。あの匂いだけでご飯が食える」

「JR千葉駅に正面入り口から入ると、すぐに鼻孔をくすぐってる

コーヒーの香りにもうっとりするよ」

「昔、香港の空港に降り立って

街を歩くと、またこれが独特のにおいがしたな」

「反対に

福島県の小名浜とか山口県の光市を

通りがかったときは

クルマで通り過ぎようとしても

化学工場の臭いがきつかったことを覚えている。

高度成長期だったけど」

「なんだかにおいの話になってきたな

においといったら

クサヤ。

伊豆大島育ちの僕としては

クサヤの臭いとは書かないでほしいんだよ

あくまで素敵な『匂い』なんだから」

「ゲロゲロ...ウ〇コ臭いけど旨いの?」

「旨いに決まってるじゃないの、つーか

くせになるね。

ふつうのアジの干物より硬い。

ベりべりと木の皮を剥がすようにむしり食らう。

口に入れると魚のエキスが口にいっぱいに沁み出てくる。

白ゴハンに細切りのクサヤを乗せて

熱いお湯をかけてしばらく置いて

サラサラかき込むのもいい」

「へえ。普通のアジの干物より硬いんだ。

でも今は何でもかんでも

柔かい方がいいみたいな風潮になってるでしょ。

トロトロオムライスとか

焼いもも

全体が蜜だという触れ込みの

ネチョネチョしたのが流行ってるでしょ。

 

「俺は古い人間と言われようが

オムライスの『皮』であるところの

薄焼きタマゴはですね

しっかり火を通した堅いタマゴであってほしいんですよ。

トロトロ嫌いです!

 

焼いももですね。

少年時代に

昭和40年代の石焼きいもの屋台で買った

ホクホクの石焼きいもいいんです。

いいんです~だ!

ギャル曽根にバカにされるだろうけど」

「なんだいソレ?」

「以前NHKの『カネオくん』という番組で

有吉が僕みたいに昔の焼いもがいいと言ったら

ギャル曽根がバカにした目つきで有吉を観ていたから。

べつに僕は、なんでもかんでも

昔のほうがいいと言ってるわけじゃないのよ」

「わかります」

「チキンでもそう」

「バブル時代だったか。

『マルコ・デ・ポロ』という

チキンのチェーン店ができたの。

伊藤忠がケンタッキーに対抗して誘致したと

週刊文春の『読むクスリ』に書いてあったから

さっそく渋谷のスペイン坂店に行ってテイクアウトして

自宅で食べたらコレがけっこう旨いのよ。

スパイシーで歯ごたえもあって」

でもすぐに撤退となっちゃった」

「どして?」

「日本人は

ケンタッキーの柔らかい肉のほうがいいんでしょ。

食パンもちょうどそのころ

ダブルソフトとかいって

松たかこが白い皿をエサに、いやプレゼントキャンペーンとかで広めて

ヒットするし

なんだか日本って

柔らかいのがいいとかトロトロがいいとか

歯が弱くなった年寄りじゃあるまいし

ひ弱な、ちょっと情けない気がしてこない?

昔の子どもたちは

衣がトゲトゲのフライ物料理なんか

バリバリと

口からから血を流しながら

野獣のように食べてたよ。

韓国じゃ、女子大生が堅いスルメを

食いちぎりながら

教科書ひろげて勉学にいそしんでいるって言うじゃない。

バイタリティが違う。

だから

仲邑菫さんは韓国へ行ったんだよ」

「スルメをかじりに?」

「もちろんそうさ。スルメをかじりながら・・・

帰国するときはスルメだけに

『イカした』棋士になって戻って来るんじゃないの」