父の日

義理の父には靴下のセットを。亡くなった父にはビールのセットを。

去年の今頃は、ちゃんと手渡ししたんだよな～・・ありがとう、って細い声で言ってくれたっけ。

何故ビールかと言うと、好きだったってのもありますが、あの頃の思い出が一つあるから。

食欲がなくなって、飲み物さえ満足に飲めなくなってた頃。あたしも母も必死で食べれそうな物を探しては口元に持って行きました。
妹（ナース）が最近言ってましたが「ああいう時は、もう食べ物をアレコレしない方が良かったんだよね。点滴や輸血さえも逆効果らしい・・」

今思うと、父の為、というより自分たちが不安で仕方ないからしてたような気もします。ごめんねお父さん。

で、「何か食べたいものとかない？」って聞いた時に「ビール」って答えたんです。
正直、アルコールは体に良くないんじゃないかと思ったんで（あたしは、本気で亡くなる前々日まで回復するものと信じてましたから）話を濁してすぐに用意しなかったんです。
で、しばらくした後もう一度聞いたら「ビール」って。

観念して買いに行きましたよ。
で、小さなコップに常温の物を入れて渡すと、一口含んで顔をしかめる。
口内もかなり荒れてたんで、沁みたのでしょう。それでもゆっくり、注がれた分を飲み干しました。

父はもう、分かっていたんですよね。
今思うと、何故その時にあたしも覚悟を決めなかったのかと悔しくてなりません。
もう残り少ないと思っていたら、もっと父の気持ちだけを優先して頑張れたと思うのに。


ビール、あたしも今飲んでるよ。お父さんも飲んでくれたかな？もっと一緒に飲んであげれば良かったね。ゆうすけも二十歳過ぎたから、もう飲めるんだよ。もうちょっと待っててくれたら、孫と一緒に飲めたのに・・・
孫命だった父、どれほど喜んだでしょう。


３０日には早めの（お寺の都合で）一周忌があります。