こちら探偵社
T.I.U.総合探偵社(第30110220号)
公式ブログ「こちら探偵社」
略して「こち探」(現役探偵のブログ)
ギリギリ探偵白書・9
高層ホテルのラウンジに、女性が一人。
私(阿部)は夏目を連れ、その場に赴いた。
阿部 「陣内さん(仮名)ですか?」
女性 「はい・・・」
依頼者・陣内有紀さん(仮名)は離婚して1年、元夫・木下安男(仮名)からの復縁を迫られていた。
陣内さん 「私はよりを戻す気はないんです」
ありきたりと言っては失礼だが、よくあるストーカー事例であった。
阿部 「はっきりと前の旦那さんには言ったのですか?」
陣内さん 「それは・・・」
阿部 「言ってないんですね」
陣内さん 「はい・・・」
状況はしつこい電話と待ち伏せが中心という事であった。
調査が始まり、私はカメラや録音機などを仕掛け、証拠を収集する。
調査自体は簡単に終了した。
阿部 「証拠の収集は完了しました。後は、訴訟か話し合いです」
陣内さん 「考えさせてください。もう少し・・・」
私は証拠を手渡し帰路に着いた。
実は、私は依頼者の家の前を通勤で通る。
調査が終了し、2日後。車で事務所へ向かっていると
依頼者の家の前に「カギの△△○○」という車が止まっている。
(おかしいな・・)
普段なら気にも留めないが、その時はそう思い車を止めた。
マンションを見上げると、依頼者の家の前に男が二人立っている。
私はマンションの階段を駆け上がり、廊下へ出た。
阿部 「木下さん、どうしました?荷物でも取りに来たのですか?」
カギ屋 「???」
阿部 「カギ屋さん、この部屋、この人の部屋じゃないですよ」
カギ屋 「???」
カギ屋は手を止めて、私を見上げた。
木下 「お、お前、誰だ!」
阿部 「阿部です。T.I.U.総合探偵社の」
木下 「た、探偵!どういうことだ。なんなんだ」
阿部 「あなたのしている事は犯罪ですよ」
カギ屋 「あのぅ。お取り込み中悪いんですけど、出張料が5千円・・。」
(こんなときに出張料か!)
元夫の木下は財布を取り出すように見せかけて、突然走り出した。
私は追わなかった。カギ屋という証人がいたから。
後日、話し合いがしたいと依頼者である陣内さんから連絡があった。
しかし、元夫の木下は失踪し、会社や親類にも連絡はなかった。
彼は愛想の果てに全てを失った。
完
メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。
ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。
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http://www.mag2.com/m/0000121372.html
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阿部 「陣内さん(仮名)ですか?」
女性 「はい・・・」
依頼者・陣内有紀さん(仮名)は離婚して1年、元夫・木下安男(仮名)からの復縁を迫られていた。
陣内さん 「私はよりを戻す気はないんです」
ありきたりと言っては失礼だが、よくあるストーカー事例であった。
阿部 「はっきりと前の旦那さんには言ったのですか?」
陣内さん 「それは・・・」
阿部 「言ってないんですね」
陣内さん 「はい・・・」
状況はしつこい電話と待ち伏せが中心という事であった。
調査が始まり、私はカメラや録音機などを仕掛け、証拠を収集する。
調査自体は簡単に終了した。
阿部 「証拠の収集は完了しました。後は、訴訟か話し合いです」
陣内さん 「考えさせてください。もう少し・・・」
私は証拠を手渡し帰路に着いた。
実は、私は依頼者の家の前を通勤で通る。
調査が終了し、2日後。車で事務所へ向かっていると
依頼者の家の前に「カギの△△○○」という車が止まっている。
(おかしいな・・)
普段なら気にも留めないが、その時はそう思い車を止めた。
マンションを見上げると、依頼者の家の前に男が二人立っている。
私はマンションの階段を駆け上がり、廊下へ出た。
阿部 「木下さん、どうしました?荷物でも取りに来たのですか?」
カギ屋 「???」
阿部 「カギ屋さん、この部屋、この人の部屋じゃないですよ」
カギ屋 「???」
カギ屋は手を止めて、私を見上げた。
木下 「お、お前、誰だ!」
阿部 「阿部です。T.I.U.総合探偵社の」
木下 「た、探偵!どういうことだ。なんなんだ」
阿部 「あなたのしている事は犯罪ですよ」
カギ屋 「あのぅ。お取り込み中悪いんですけど、出張料が5千円・・。」
(こんなときに出張料か!)
元夫の木下は財布を取り出すように見せかけて、突然走り出した。
私は追わなかった。カギ屋という証人がいたから。
後日、話し合いがしたいと依頼者である陣内さんから連絡があった。
しかし、元夫の木下は失踪し、会社や親類にも連絡はなかった。
彼は愛想の果てに全てを失った。
完
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