久しぶりに本の感想を投稿♬
吉本ばなな著「N・P 」(角川文庫)を読んだ。
N・P (角川文庫) | |
吉本 ばなな | |
KADOKAWA |
吉本ばななさんの本はかなり昔にも数冊読んだということだけは覚えているのだけれど、そのときは特に印象に残らなかった。圧倒的な人気の時期で、なんとなく読むものかと読んだ気がする。
だから今回の「N・P」が実質的な初ばなな本。楽しませてもらった。
情景が浮かぶよう描写で、パッションが薄い感じ。なんというかサガンのアンニュイを連想した。
バイタリティにあふれる本も好きなのだけれど、こういうアンニュイな本を読むと、シンパシーを感じる。おそらくあたしはテンションが低いほうなのかもしれない。
恋愛の話。親子や兄妹でも恋愛している。普通に考えれば、それってどうなの?という感じだけれど、ひとつの小説として読むと、物語世界がしっかりと構築されているからか、なんとなく受け入れてしまう。
死・蒸発なども出てくるけれど、綴られているのはごく身近な日常の話。ありえない設定だからこそ、淡々と語られる日常が妙に引き立つ。
昨日の読書交換会に参加された方が、吉本ばななさんのファンだった。彼女がいうには、吉本ばななさんは恋多き女性で、いつも恋人がいるとのこと。恋人が常に途切れないそんなタイプの女性。(直接の知り合いではなく、エッセイなどのからの印象です!) だから恋愛の描写が秀逸だそう。
それを聞いて、あらためて「N・P 」を思い出してみると、いろいろな設定なのに、微妙な恋愛に説得力がある気がする。彼らの世界として自然に読んでしまった。
「N・P 」についてネット検索したら、さくらももこさんが吉本ばななさんに送ったという「N・P 」評を見つけたよ。さくらももこさんがFAXで受け取った手紙とのこと。
2018年9月25日付で吉本ばなな公式ブログ「よしばな 日々だもん」に投稿されていた。
⇒よしばな 日々だもん「おまけ ももちゃんの「N・P」評(20代の頃のものです)」
すごいいい文章(好きな文章)だから、もし見逃している方いたらぜひ読んで。
人間を描くときには、その人に関わる全てが、当然ミクロの世界で展開されてゆくけれど、ミクロの世界も展開されればひとつの世界を形成しているし、そのミクロの世界の中でも、例えば今回の「N・P」にしても「つぐみ」にしても夏という時間があるね。世の中全てそういうふうに、細分化した小さな世界の中でも常に世界が形成されている。そういうことなんだなあと私はいつもばぎちゃんのを読むと思うよ。
という部分があたしは特に好きだった。
あたしが表現したいとおもっているつぶの世界と似ている気がしたから。
ではまたー
月2回、東京都豊島区池袋で、読書交換会をやっています。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
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◆臼村さおり twitter @saori_u
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