まだできて間もない中央図書館のトイレはいつもきれいで気持ちがいい。
トイレは六つの立ちブースと四つの個室で成り立っている。
そのブースで、三人の男が用を足していた。
僕もその仲間になり、四人がランダムに入ったことになる。
ふー、と力が抜け緊張が解ける場面。静かだ。憩いのひととき。
頭がすっきりする、と感じた瞬間、突然左のブースから、「ぶっ、ぶぶぶー、プ~~~」という屁の音がこの静寂をぶち破った。
出だしはバリトン、やがてソプラノの高音域に変わり次第に尻つぼみになって消えていく。それは3~4秒くらいだった。が、やけに長く感じた。
……固まった。
どうしたらいいか、迷った。
笑っていいものか、言葉を出して返事した方がいいのか、やはりここは耐えて黙っていたほうがいいのか。