
女はいう。
わたしは業をしょって生まれてきたものみたいなもの
と
小さいときから、彼女は影のうすい子だった。でも、お世辞半分でもかわいらしい女の子だった。両親の愛情に包まれ、何不自由なく育ってるように傍目には見えた。その愛情と名のつく気持ちを押しつけられ、本人が傷ついていることに誰も知らなかった。

月日がながれ、少女は大人になった。 またまた幾年月
女は歳をかさねていく。


そのあいだに色んなことがあった。さまざまなことを言われてきた。
いま、女はひとり
大海原にただよう、一艘のフネみたいな気分になっている。

ひとり、女、いえ老女はつぶやく。
はやく、迎えに来てと。でも、根が丈夫なたちなのか、病気とは無縁である。老女=女は、自分がぼけるのをおそれている。

老女はひとり。いつも、ひとりでボショボショはなしかけている
誰に? もちろん、いとしい人にである。

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