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業をしょってる女

2011-02-24 10:34:17 | ショ-ト ストーリー
女はいう。
  わたしは業をしょって生まれてきたものみたいなもの
 小さいときから、彼女は影のうすい子だった。でも、お世辞半分でもかわいらしい女の子だった。両親の愛情に包まれ、何不自由なく育ってるように傍目には見えた。その愛情と名のつく気持ちを押しつけられ、本人が傷ついていることに誰も知らなかった。
 
月日がながれ、少女は大人になった。   またまた幾年月 女は歳をかさねていく。
そのあいだに色んなことがあった。さまざまなことを言われてきた。
 
 いま、女はひとり 大海原にただよう、一艘のフネみたいな気分になっている。
 
ひとり、女、いえ老女はつぶやく。 はやく、迎えに来てと。でも、根が丈夫なたちなのか、病気とは無縁である。老女=女は、自分がぼけるのをおそれている。
 
老女はひとり。いつも、ひとりでボショボショはなしかけている 誰に? もちろん、いとしい人にである。
 
晩年、わたしがこんな風な人生をすごすことになったのは業が深かったからかもしれない。そんな風に思えて、老女は残りを罪をつぐなう日々と位置づけている。 
わたしに課せられた義務? それは、ひたすら高いところにのぼって、わたしのために傷つけられた沢山の人たちに許しを乞うこと。
残りの人生、ひとり山に登って登って贖罪をかさねるのがわたしの目標です。
 
因みに、業を辞書でひくと心や言語のはたらきをふくめるとあった。また、善悪の業というのもある。
 
     ある老女のひとりごとでした。
 
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