たまびと日記 2

記憶力が衰えないようにとブログに記録しているのに、
記録したものはどんどん忘れていくという悪循環に陥っています。

一部始終

2019-09-10 11:07:37 | 日記
昨日起きたことの一部始終を記すので長くなります。

踏切を渡ろうとした時、線路の脇に老人が立っていることに気付きました。
そこは鉄道の敷地の中で背後はコンクリート壁、電車が来たらよける場所がありません。
これは後から撮った写真ですが、写っているコンクリート柱に疲れ切った様子で寄りかかるように立っていました。


私はためらうことなくその場に行き「ここで何をしているのですか?」と尋ねました。
老人は「仕事中だ」と答えたのですが、仕事の服装ではないので「危ないから踏切まで移動しましょう」と言いました。
すると老人は「仕事の道具が置いてあるから取ってこなくちゃ」と言うのです。
線路の先を見ましたがそれらしい物は無いので、老人に手を差し出し「歩きましょう」と言いました。
老人は黙って私の手を見つめるだけで、手をつかもうとはしません。
「俺は大人の男だぞ」と思っているのかもしれないと考え、線路の端の歩きやすそうな部分を指して歩くように促しました。
老人はノロノロと歩き始め、ようやく二人で踏切までたどり着くと、50歳くらいの大柄な男性が立っていて「大丈夫ですか?」と声をかけてきました。
「二人で線路の中にいるからただ事じゃないと思って様子を見ていた」と言いました。
老人が歩けないようなら、あるいは踏切の警報機が鳴った時には、自分が老人を抱えて連れ出そうと考えていたようです。
3人で踏切から歩道に移動したところで、老人は崩れるように道端に座り込みました。
私は男性に向かって「認知症だと思うけど、どうしよう」と助けを求めました。
男性は「パトカーを呼ぶしかない、自分がかけようか?」と聞いてきました。
私は心を決めて「女性の方がいいかもしれないから私がかけます」と言ってスマホを出しました。
110と入れたつもりが画面は0110になっている・・・パニックになりかかっている自分に気付きました。
なにしろ生まれて初めての110番ですから。
もう一度入力し直して発信したら「こちら110番、事件ですか?事故ですか?」と男性の声が聞こえてきました。
私が「認知症と思われる男性を保護したのですが」と話したところで、踏切を電車が轟音を響かせて通過していきました。
ほんの数分の差だったと今更ながらゾっとしながら、パトカーに場所を知らせて到着を待ちました。
その間に50歳くらいの男性の姿は消えました。
取り残された私は老人に「おうちはどこなの?」と尋ねてみました。
すると老人は「アキチ」と答えたのです。
「空き地?」・・・空き地なんて答えるんだからこれはいよいよ認知症だなと思いました。
「生まれはどこなの?」と聞いたら「岩手」と答えてくれたので「岩手のどこ?」と続けてみました。
「下閉伊郡(しもへいぐん)〇〇」とスラスラ答えてくれました。
しばらくするとさっきの男性がペットボトルを手に戻ってきました。
36度越えの炎天下、老人の熱中症を心配して自分のお金でスポーツドリンクを買ってきたのです。
私、感動しました。
「自分で飲める?」と聞いたら老人は自分で蓋を開け美味しそうに飲んだので、熱中症にはなっていないようです。
そうこうするうちに顔見知りの警察官がバイクに乗ってやってきました。
110番の連絡を受けて来たらしいのですが、50歳くらいの男性と私は顔を見合わせて「パトカーじゃなくちゃ運べないよね~」と言ってしまいました。
警察官は老人に近付くと「名前は?」と尋ね、続けて「住所は?」と尋ねました。
老人はすぐに名前を答えることができましたが、住所は相変わらず「空き地」と答えています。
すると警察官が「秋津?」と聞き直したのです。
私はビックリ!
空き地じゃなくて秋津か~~~   それなら「所沢から電車に乗った」という老人の話とも合うじゃありませんか。
警察官は「今パトカーが来るので、とりあえず署で保護します」と言いました。


私たちが立ち去ろうとすると、老人が「ありがとう、世話になったな」と言いました。
私は座っているおじいさんの顔に顔を近付けて「じゃあね、元気でね」と言い、手を振って別れました。

用事を済ませてから、さっきの警察官がいる交番に立ち寄ってみました。
警察官は私が行くのがわかっていたように外で待っていて、結果を報告してくれました。
パトカーの中でもう一度住所を聞いたら「東久留米市前沢」と答えたので、
東久留米市、清瀬市、東村山市あたりの行方不明者の届を調査したら該当者がいたというのです。
それも行方不明になってから昨日で三日目だったとか。
警察官は「今頃パトカーで送ってもらってると思うよ」と言い、「すごい人助けだ」と言ってくれました。
しかしこの日の私はこの後もずっと脈拍が上がってしまい、夜中まで寝付くことができませんでした。
コメント (4)
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