goo blog サービス終了のお知らせ 

たままま生活

子育ての間にこっそりおでかけ・手作り・韓国語・・・。
多趣味な毎日を紹介します。

星の野原 by コン・ジヨン  2

2009-11-20 19:03:06 | 韓国文学
「星の野原」の感想はこちら

最後の中編小説「星の野原」から。
心に残った文章だけ、紹介しておきます。


父親たちの集まりを見ながら生き別れの母親を想像するところ。

저 늙수그레한 아저씨들에게 청춘이 있어서 아직 아이도 주름살도 없었다는 것이 상상되지 않았지만 무언가, 그녀가 알아내고자 하는 엄마에 대한 느낌이 있었다.

한 번도 보지 않았기에, 그 상상은 더 쉬워서 간호복을 입은 한 무리의 젊은 여자들이 횐 국화다발처럼 서러 어깨를 나란히하고, 제가 젊어서 얼마나 아름다운지 몰라서 더욱 아름다운 얼굴로 베를린이라는 도시를 행진하고 있는 그런 환영.

その老け込んだ中年男たちに青春があり、そのときは子供もしわもなかったとは想像もつかなかったが何か、彼女が見つけ出そうとしている母親に対する思いを感じた。

一度も会っていないから、それはより想像しやすく、看護服を着た一群れの若い女性たちが白い菊の花束のように互いに肩を並べて、自分が若くてどれだけ美しいか知らずにだからいっそう美しい顔でベルリンという都市を行進している、そんな幻影。


朝鮮戦争からベルリンにいたる話

"우리집, 육이오 때 면장 하던 할아버지 인민군들에게 처형당하고, 우리 삼촌들 공산당 하다가 지리산에서 다 돌아가셨다고 했는데...
우리 엄마 날 여기 보내면서 좋은 나라 가서 살아라,공산군도 없고 국방군도 없는 넓은 나라 가서 살아라, 하면서 우셨는데 그 지긋지긋한 무슨 주윈가 여기 독일까지 쫓아와서 내 친구를 반쯤 죽어놓은 거야.
난 그 때 알았어. 남극에 간들 복극에 간들...우리는 그걸 벗어날 수 없다고."

「私のうちはね、朝鮮戦争が始まったときに村長をしてたおじいさんが人民軍に処刑されて、いとこたちは共産党に入って智里山でみんな死んじまったって。
うちのお母さんが私をここに送り出すときにいい国にいって暮らせと、共産軍もなく国防軍もない広い国へ行って暮らせと、いいながら泣いていたよ。それなのに、あの忌まわしい何とか主義だかが、このドイツまで追いかけてきて私の友達を半殺しにしたんだ。
私はそのときわかったよ。南極へ行っても北極へ行っても私らはそこから抜け出すことなんてできないって。」


コン・ジヨンのよいところはどんなに重くて深い話でも平易な言葉で書いていること。
上の文章と下の文章とは内容も、なにより現実の重みが全く違うけど同じシンプルさで語り切っていると思います。

白い菊の花束のように・・・ってくだりがすごく好きです。
シンプルだけど、とっても韓国的な言い回しだと思います。



星の野原 by コン・ジヨン

2009-11-20 10:33:26 | 韓国文学
韓国って日本よりもドイツとの関係が深いみたい。
・・というのはうすうす感じていたのですが、歴史があったんだなぁ。



「韓国人in ベルリン」というくくりで6編の短~中篇小説がまとめられています。
これを書くために取材もかねて1年ベルリンに滞在したとか。

パク・チョンヒ政権下で外貨獲得のために多くの若い女性が看護婦として、男性は鉱夫として当時の西ドイツに渡ります。

労働者として渡独したもの、そして帰国したもの。帰国せずに現地のコリアンタウンで働くもの。その二世たち。

学生としてドイツに行ったもの。経済発展した韓国の現地駐在員。また、その妻として現地に行ったもの。

韓国人同士での結婚とドイツ人に嫁いだ韓国人。(←かなりひどく差別されているよう)

それぞれの矜持と優越感と劣等感がない交ぜになっている話です。


コン・ジヨンの小説で明るい話なんてないけど、今回もまた、行ったことないけどドイツの冬の低い雲のようにどよ~んと重い話です。


어릴 적 외국사람들이 우리 나라의 파란 하늘을 보고 우리나라를 다시 찾는다는 글을 교과서에서 읽었어요.
그 후 파란 하늘을 볼 수 있는 것은 우리 나라 뿐인 줄 알았어요.
그런 생각은 외국여행과 함깨 께져버렸지요.

子供のころ外国人が私たちの国の青い空をみて、また韓国を訪れるのだと言う文を教科書で読みました。
それからは青い空をみられるのは韓国だけだと思っていました。
そんな考えは海外旅行に行ったら砕けてしまったわ。


と、オンニがこの間手紙に書いてくれた言葉を思い出しました。


언니, 이 책에 나오는 사람들이 다 한국 파란 하늘을 많이 그리워해요.

と伝えたいです。あ~、また手紙書こうっと。


最初の短編に離婚して手放した娘をニュージーランドに迎えに行ったらぐれて髪の毛を真っ赤に染めていた・・とありますが、これたぶん彼女の体験談ですね。


そして、ドイツに対して、日本人の私たちには決して感じられない思いがそこにはあるのです。

동지 という言葉が出てきてはっとしました。

共産圏の中の離れ小島であるベルリンで、韓国人が生きるというのは気づいてしまうとずしんと重いことのようです。


枯葉も舞っているし、秋の夜長にちょっと暗い小説が読みたいわ。
コン・ジヨンは読んでいて胸がつまる感じがサイコーでしょ。

と言う方にはおススメです。
私は後者なので、読み応えありました。
そして最後にちょっと泣きました。