たままま生活

子育ての間にこっそりおでかけ・手作り・韓国語・・・。
多趣味な毎日を紹介します。

『偽りになった心の歴史』 キム・ヨンスより

2011-06-29 21:55:34 | 韓国文学
イザベラ・バードを読みつつ、キム・ヨンスの作品を思い出したので。

『朝鮮紀行』を書いたイザベラ・バードが朝鮮を旅したのが1894年から1897年。

キム・ヨンスは [거짓 된 마음의 역사](タイトルの和訳は私が仮につけたもの)で
アメリカ人の青年の見た1888年のソウルの風景をこう描いています。

(主人公は王立写真館を運営している)
조선 국왕은 사진을 찍을 때마다 늘 같은 표정으로 늘 같은 자세를 취합니다.
하지만 예전의 사진과 인화한 사진을 비교해보면 그 안색에서 뭔가가 조금씩 저문다는 사실을 느낄 수 있습니다.
가을볕이 조금씩 스러지는 것처럼. 그럴 때면 제가 지금 대단히 위태로운 나라의 국왕을 시진에 담고 있다는 걸 새삼 깨닫게 됩니다.

(中略)
미국인들이 보기에는 아무짝에도 소용없을 것 같은 물건들로만 즐비한 상점가 앞을 가득 메운 흰 두루마기 차림의 사람들, 성문을 닫은 시간이면 낮은 초가집이 즐비한 도시에 은은하게 울려퍼지는 종소리, 남자들이 통행금지가 되는 저녁이면 마술에서 풀려난 것처럼 거리로 쏟아지는 여인들, 시궁창 속에서도 가을 하늘처럼 티없이 맑은 웃음을 지으며 뛰어노는 벌거벗은 아이들과 그만큼 더러운 개들,가꿈씩 야경꾼들이 두들기고 지나가는 막대기 소리에 겹쳐 들려오는 다듬잇들 소리와 개구리 우는 소리.....조용한 밤의 한가운데서 멀찌감치 이런저런 소리가 들려오는 밤이면 저는 병원에서 돌아온 착한 아내를 위해 휘트먼의 시를 읊습니다.

朝鮮の国王は写真を撮るたびにいつも同じ表情でいつも同じ姿勢をとります。
しかし以前の写真と撮ったばかりの写真を比較してみるとその顔色には何か少しずつ終わっていく事実を感じることが出来ます。
秋の日が少しずつ消えていくように。そんなときには私が今大変危うい国の国王を写真に収めていると改めて気づかされます。

(中略)
アメリカ人が見るに何の役にも立たなそうなものばかりずらりと並べた商店と、通りをぎっしり埋めている白いトゥルマギ姿の人びと、城門を占める時間になると低い藁ぶきの家が並んだ都市に殷々と鳴り響く鐘の音、男性たちが通行禁止になる夜には魔法が解けたかのように通りにあふれる女性たち、どぶの中でも秋空のように曇りのない澄んだ笑顔で駆けて遊ぶ裸の子供たちと同じくらいに汚い犬たち、時折夜警が打ち鳴らして通っていく拍子木の音に重なって聞こえてくる砧石の音と蛙の鳴き声・・・静かな夜の真ん中で遠くからあんなこんな音が聞こえてくる夜には私は病院から帰ってきたやさしい妻のためにホイットマンの詩を諳んじます。
(ここまで一文です、長い!)



キム・ヨンス作家の描写は写真に納まっている高宗のイメージにぴったり!で、そこから위태로운 나라に繋がるのはなんだかはっとしました。そして위태롭다という言葉を覚えました。
後半の朝鮮末期のソウル城内の様子、藁屋根の家とか商品が安っぽい!とか、子供と汚い犬が下水で遊んでいる、というのはイザベラ・バードも繰り返し書いています。
キム・ヨンス作家は歴史にむちゃくちゃ強くて、その上でたくさん本を読んでいるんだろうなぁ、と感じますが、同じ本を読んだかも。と思うとちょっとうれしいです。


で、거짓된 마음의 역사 って何なのかな?と考えてるんですけどわかりません。
宣教看護師として韓国に行ったきりの恋人を探してくれ、といったきり、女性への執着も捨て、主人公である探偵への依頼も破棄してしまった依頼主の心変わりもあり、
主人公の見るアメリカと、依頼主の考えるアメリカはひとつではない、という描写もありますが、アジアから見るアメリカ像も比較されているはずです。

本当に、おもしろいけど難しいです。でも好き。キム・ヨンス。





台風直撃

2011-06-26 23:04:44 | うちのこと
お天気はなんとかなりましたが

喘息っ子直撃。


いつものことながら病院がやっていない時間にかぎって調子が悪くなるもので、
昨日のお昼ご飯を食べないあたりから顔色が青くなってきました。

背中に耳を当ててみるとギコギコ言ってます。

土曜日の午後って・・・・病院やってないのよね~。



幸いというか奇跡的に私立病院の当直が小児科の先生で
夜間救急の時間を待って吸入してもらったら落ち着きました。

うちの私立病院ていつも小児科の先生が足りなくて、
広報○○に「小児科の先生募集してます」って求人広告出しちゃうほどだったんです。
子供が喘息の発作を出した週末の夜に
「当直 皮膚科・外科」なんて書いてある日にはもう・・・。



ので、小児科の当直の先生がいる日で本当にラッキーでした。


本人も慣れたもので
母親も慣れたもので

吸入して帰宅できれば一安心なので
(吸入してだめならそのまま入院ですが)

二人でスターバックスによって帰ってきました。



発作は辛そうだけど、ママを独り占めできてまんざらでもなさそうな次男です。

森と芸術展@庭園美術館

2011-06-23 13:16:27 | うちのこと
目黒の東京都庭園美術館で開かれている「森と芸術」典を見に行ってきました。





会場は目黒駅からすぐの都心の森、アール・デコの旧皇族の邸宅です。
内装が凝っていて、またアール・ヌーボーの植物のモチーフを多用しているところも今回の展覧会にぴったり。(館内は撮影禁止)
小さめの作品がたくさん来ていて見ごたえのある展示でした。
...美術展て、こういう環境で見なくちゃね!というところで友達と意気投合しました。
首都高のすぐとなりなので、お庭は広いんですが騒音がすごいです。





ここのカフェは金田中(行ったことはないけど超がつく高級料亭だということは知っています)の和風カフェ。厨房の中はみなさん板前姿です。
開放的なテラス席は台風の風で屋根がバタバタしてました。


友達の頼んだコーヒーのおわんとご飯のお茶碗が同じものでびっくり。
こじんまりとしたご飯と麺のセットに茶碗蒸しかサラダ、コーヒーか抹茶がついて1000円です。
デザートは300円で追加できます。

私たちの年だったら十分かな、としゃべっていたけど結局帰りにケーキを買ってしまいました。

あらら・・

2011-06-22 23:47:26 | ひとりごと
失業してしまいました~><

日本語学校の学生が減ってしまって、
7月からの学期も担当する授業がありません。


地震があって
原発の事故があって

今の日本は
がんばってがんばって何かを学びたいというほど
魅力的な国ではなくなってしまったのね。


地震の被害や原発の事故はいつか落ち着くでしょうが
日本への信頼とか憧れとか、
そういう目に見えない部分ていつかは戻るのでしょうか?



日本語教師なんて不安定な仕事だと百も承知でしたが
こんなにもろいと思いませんでした。


大学は休学していて(だけど毎週行ってるけど)
今年は働いて授業料をためる予定だったんだけど、
予定が狂ったし。

仕事がしたくて子供をいろんなところに預けて
息が切れるほど忙しく動き回っていたのに
下の子がようやく小学校に入った今年になって
仕事がないなんてあんまりです。


今の学校、試用期間は日給が6000円で、
子供を一時保育に預けて制服のレンタルと給食で
3500円払っていたの。
それなのに即戦力扱いで週に3日も通って、
始められるだけでうれしかったけど、
通勤も遠くて残ったお金を時間で割ったら韓国のアルバイト代くらいですよ。
なにをがんばっていたんだろう、
って思うと空しいです。


自分で選んだことだけどいろいろ失敗した~って
焦ります。


例えば、私が妊娠したときに
「今の仕事をやめて主婦になるのはもったいないぞ」と
夫に思わせるような仕事をしていればよかったな~とか。

資格は資格でちゃんと一回就職しておけばよかったな~。とか。


会社員をやめて日本語教師になることはできるけど、
逆は不可能だしね。

本当に自分は何にもスキルがないな、と思う。


あのね、韓国語は通訳案内士をとってもあんまり仕事には繋がらないと思ってます。
いくつか当たってみましたが

「仕事あんまりないんですよね~。
送りたかったら履歴書送っといてください。」
って言われましたもの。

今時留学帰りの若い人もたくさんいて、
大学で勉強しても、
それを仕事につなげようと思ったらぜんぜん役に立たない気がしてきました。


もちろん地震でもっと直接いろいろなものを失った人がいるのも
わかってはいるのですが。
思わぬ余波を喰らって、
体調も悪いので、
ネガティブなことしか考えられません。


今から別の仕事を探すことはあんまり考えてなくて、
幸い私が働かなくても困らないので
のんびり主婦をするのかな~。(←できそうもない)


ずっと忙しすぎたので、リセットしようかな。
自分に手をかけて。

体調管理のためにスポーツクラブに通うとか
友達と美術館めぐりをするとか
集中的に本を読み込むとかする予定。



仕事しなかったら毎日遊び歩いてすごく浪費しそうで怖いです。
ブログももう少し華やかになるかな?

明日は大学時代からの友達と美術館です。

「僕は幽霊作家」 byキム・ヨンス

2011-06-17 08:31:39 | 韓国文学


毎日新聞のきむ・ふなさんの連載によると、キム・ヨンスは<疎通>の作家だそう。



韓国語の소통は日本語の「意思疎通」以上に、相手に対する理解や理解しようとする態度を含めて表している感じがします。現代文学で扱われることの多いキーワードです。

付け足すとしたら<疎通>が、できないゆえに<疎通>を求めるのがキム・ヨンスの小説です。

心を通わせていたあの人はもういない、とか、
でも本当に分かり合っていたんだろうか、とか
一番わかりあいたい人とは分かり合えない、とか
あの人と分かり合えなかった気持ちをもしかしてあなたならわかってくれますか、とか。

<疎通>にくじけた話から、一層登場人物たちが<疎通>したがっていることを感じます。
そういうところに惹かれるのかもしれません。私も<疎通>に飢えているのでしょう。


キム・ヨンスの両親は大阪生まれで、その後韓国に帰っていますが、日本にも親戚がいるそうです。ちょっと離れて外から韓国を見ているような独特な視点が魅力です。

<疎通>がうまく行かない、という設定のため、非韓国人が登場するのもキム・ヨンスの特徴です。
この短編集では語り手である 나=私が、朝鮮戦争に出兵した人民支援軍(=中国軍)の中国人だったり、ロンドンで韓国女性と同棲する日本人留学生だったり、人探しのために太平洋を渡って韓国に来たアメリカ人だったりします。中国人は漢詩をたしなみ、アメリカ人はソネットを歌い、日本人は俳句を思い出す場面があり、それを全部知っているキム・ヨンスの頭の良さというか、センスの良さに関心します。

私は日本語を教えて韓国語を勉強して、それはとても楽しいことだけど、外国語を話して生きていくのは寂しいことじゃないかな、というのがあってキム・ヨンスのちょっと寂しい心細い感じがツボなのです。


[나는 유령작가입니다] は本だけのタイトルで、同じ名前の短編はないんです。「一人称の「私」の目で眺める世界」が短編集を通じてのコンセプト。作家の言葉には「一人称の「私」は全く嘘つきなので、天国にいけないだろう。」と書いてあります。

「若手で登壇し、多くの作品を書き、メディアに顔出しも結構好き」というあたりが私の中では島田雅彦に似ているな~と思って。

ので、短編集のタイトル、[나는 유령작가입니다]は「僕は模造人間」にちなんで
「僕は幽霊作家」という訳でいかがでしょう?


ボキャブラリーも豊かで、ぐるぐるとひねくれた重文・複文を多用するので慣れてもすごく時間がかかります。短編でも1段落ずつ読み返さないと先に進めません。
正直、途中で止まった長編もあるのよね~。
でも、今私が一番好きな作家なので、ぜひいつか読んでみてください。


かく言う私もまだ読みかけ。
図書館に延長の電話をしないと。

オリンピック

2011-06-17 08:26:15 | ひとりごと
東京オリンピックって1度やったよね。
私は生まれてなかったけどね。


世界中にまだオリンピックをやっていない国はたくさんあるし、
日本だって東京以外の都市ではやっていないんだし・・・・。



東京が2度目のオリンピックに手を上げるのって、


お兄ちゃんはもうおやつを食べて、
弟にはおやつをあげていないのに、
お兄ちゃんが2個目をほしがっている感じ。


お母さん目線だとすごく不公平でわがままな感じがしちゃうのよね。

しません?