
カッちゃんの高校時代の出来事。
両親に小遣いをもらったカッちゃんは、
モールに買い物に出かけた。
すると、
親しそうにカッちゃんを見つめている青年がいた。
青年はカッちゃんに近づき、
「よお!俺のこと覚えているか?」と尋ねたので、
カッちゃんは「いいえ」と返答した。
青年はカッちゃんの返事をよそに、
「そうだろ?実は俺もお前のことぜんぜん知らないんだ」と答えたので、
カッちゃんはこれはどういう意味かと考えた。
青年は、
「けど、こうしてダベってんだからもう友達みたいじゃねえのか?」と再びカッちゃんに尋ねたので、
カッちゃんは「ええ」と返答した。
青年は、
「じゃあ、俺とお前は友達な訳だ。よければ一万円くれないか?」と頼むので、
カッちゃんは「いいですよ」と言って、
青年に一万円を渡した。
青年は「サンキュー!」と言って駆け出し、
どこに行ったのかわからなくなった。
カッちゃんは家に帰り、
一部始終を両親に話し、
「だから一万円無いからくれよ」と言った。
父親は、
「お前の言い分はわかった。けど、言わせてもらうが、その一万円をやった男から一万円を取り戻したのなら父さん二万円をお前にやる。けど、お前が一万円をその男から取り戻せなかったのならびた一文やらんわ」と答えた。
そういう訳で、
カッちゃんは、
この一万円を渡した男を探して、
今年で10年目になる。