
セトという初老の男が、
ロシア料理店を営んでいた。
そして、
この店は、
毎年クリスマスになると、
サンタのソリを引く立派なトナカイの置物が評判になっていた。
当然、
多くの見物人が、
感嘆したもんやった。
クリスマスイブ前夜。
店の前に飾られているトナカイの置物のそばに、
酒に酔った、
極左ババアの革マル子ちゃんが来て、
トナカイの置物に、
「サンタに労働の対価を搾取されたばかりやなく、宗教色まで出して、社会革命を妨害する反動が❗️」と怒鳴って、
懐から出した鉄パイプで、
トナカイの置物を叩きまくった。
トナカイの置物は崩れ果てた。
警察が来て、
革マル子ちゃんを連行しようとすると、
革マル子ちゃんは警察官達に、
「お前らここは北町の管轄や!南町の反動与力が❗️」と叫んで抵抗したが、
パトカーに乗せられて、
去ってしまった。
多くの見物人に混じったセトは、
クリスマスの長年の象徴やった、
店のトナカイの変わり果てた姿を見た。
翌日のクリスマスイブ🎄
多くの見物人が、
セトの店の前に、
ぎこちなく、
サンタのソリを引くトナカイを見ていた。
そして多くの者が理解した。
このトナカイが、
トナカイ着ぐるみしているセトやということを。
やがて粉雪が舞い、
賑やかなサイレントナイトが始まった。
多くの人々が行き交い、
喜びの歓声があちこちであがった。
けど、
サンタのソリを引くトナカイ着ぐるみのセコは、
一切動くことなく、
そのままの姿勢で、
クリスマス🎄を祝った🎉