古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

青い月曜日    開高健

2022-11-23 13:23:33 | 開高健

集英社文庫     1974年

 

深い狂気をともなった戦中、爛熟した廃退の漂う戦後を

 

背景に、青く爛れた青春の日々を描いた作品だ。

 

そこには、汚わいと、唾や痰の飛ぶ薬草があったり、どこか

 

卑猥で臆病な悲鳴が響いているが、どこか純潔で純血な

 

ところがあり、爽やかさとは隔絶された孤独がある。

 

響いてくるのは、いつも祈りに近い鳴き声であり、空腹の

 

混沌がないまぜになり、詩を生み出す。

 

そこに開高文学の萌芽があり、前期の青春時代の終わりを

 

炙り出し、パリパリとする狂乱の時代も終焉を迎える。

 

喧騒の中の静寂が文学それ自体を包んでいて、読者を圧倒

 

する。そんな、力強い文学の抵抗を感じた。

 

       (読了日 2022年11・8 11:34)


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