「奇妙な味の小説」所収。
昭和45年に刊行されて、1988年、20年
ほどして、バブル期によって、文庫化されたこの
「奇妙な味の小説」というアンソロジーも最後と
なった。
どの短編も大層上質なものばかりだった。それに、
この「奇妙な味」とは、江戸川乱歩の造語だそうだ。
この島尾氏の作品も実に奇妙に後味のさっぱりとし
ている割にこってりとした味わいの小説だ。
あとで考えて、なにが書いてあったのかちょっと
わからないような夢のような手触りの短編だった。
(読了日 2024年9・16(月)14:10)
(鶴岡 卓哉)