今夜は久し振りにオペラ座の夜を聴こう
中学生になって日本のフォークソングから外国人が歌う洋楽へと興味は移ったけど、最早ビートルズは解散してしまい何を道標にすればいいのか分からなかった。
女の子はみんなタータンチェック柄の下敷きに、ベイシティローラーズのお気に入りメンバーをしのばせていた。そんな頃、男の子は同じイギリス人バンドでも正反対な暗さを醸し出すクイーンを応援した。本当は「キラークイーン」や「ボヘミアンラプソディ」の重さより「サタデーナイト」の軽やかさが好きだったのかもしれない。
わたくしも二歩も三歩も先に大人になってゆく女子に対する屈折した思いを抱えながら「オペラ座の夜」を何度も聴きかえした。翌'76年にはイーグルス「ホテルカリフォルニア」に衝撃を受け'77年フリートウッドマック「噂」でアメリカウエストコーストに嵌り込む。だから日本語で歌うクイーンを三流バンドと貶すようになっていた。「世界に捧ぐ」までは聴いていたが、その後の楽曲はピンポイントでしか知らない。クイーンに対する認識はその程度だから、フレディの自伝的な映画が公開されると知っても観るつもりは無かった。奥様が観に行くとのたまうまでは。
コンパクトにフレディの短い生涯が描かれていて、クイーンの美しいハーモニーが無かったとしても楽しめる映画だ。ボヘミアンラプソディに至るまではワクワクする出来事ばかりだけど、ちょっぴり不満なのはすんなりビッグバンドにのしあがったみたいなっているところだ。本国イギリスより極東にある異文化の国で熱烈に歓迎されたことや、決して順風に売れ続けたわけじゃないことも描いて欲しかった。襦袢を寝巻きにし、お札を壁に貼っているのが何故なのか、日本人でもクイーンを知らなければその理由は分からなかったのではないだろうか。あんなにとんとん拍子で出世していったい何が不満なのかと思ってしまうのは、お金も才能も無い人間の僻みか。反面、理解するのは難しいけど、美しい恋人がいながら同性愛へ動かされた心の葛藤や苦しみが正面から描かれていたことは評価したい。最後まで元恋人だった女性とは人間として繋がっていたのだと思えるような作劇も、同性愛をあまり前面に出されるより受け入れやすい。偏見とかではなく心情とはそういうものだと思う。
誰もが褒めるように、ラストのライブエイドのステージは圧巻だった。ユーチューブで本物を観直したけど、細かいところまで本当によく再現されていた。
IMAXでの観賞を薦める方がいたので、音響も考慮してそうしたが正解だった。
ピアノを弾くフレディと「伝説のチャンピオン」は一緒に口ずさまずにはいられない。
天国のフレディもきっと満足していることだろう。
中学生になって日本のフォークソングから外国人が歌う洋楽へと興味は移ったけど、最早ビートルズは解散してしまい何を道標にすればいいのか分からなかった。
女の子はみんなタータンチェック柄の下敷きに、ベイシティローラーズのお気に入りメンバーをしのばせていた。そんな頃、男の子は同じイギリス人バンドでも正反対な暗さを醸し出すクイーンを応援した。本当は「キラークイーン」や「ボヘミアンラプソディ」の重さより「サタデーナイト」の軽やかさが好きだったのかもしれない。
わたくしも二歩も三歩も先に大人になってゆく女子に対する屈折した思いを抱えながら「オペラ座の夜」を何度も聴きかえした。翌'76年にはイーグルス「ホテルカリフォルニア」に衝撃を受け'77年フリートウッドマック「噂」でアメリカウエストコーストに嵌り込む。だから日本語で歌うクイーンを三流バンドと貶すようになっていた。「世界に捧ぐ」までは聴いていたが、その後の楽曲はピンポイントでしか知らない。クイーンに対する認識はその程度だから、フレディの自伝的な映画が公開されると知っても観るつもりは無かった。奥様が観に行くとのたまうまでは。
コンパクトにフレディの短い生涯が描かれていて、クイーンの美しいハーモニーが無かったとしても楽しめる映画だ。ボヘミアンラプソディに至るまではワクワクする出来事ばかりだけど、ちょっぴり不満なのはすんなりビッグバンドにのしあがったみたいなっているところだ。本国イギリスより極東にある異文化の国で熱烈に歓迎されたことや、決して順風に売れ続けたわけじゃないことも描いて欲しかった。襦袢を寝巻きにし、お札を壁に貼っているのが何故なのか、日本人でもクイーンを知らなければその理由は分からなかったのではないだろうか。あんなにとんとん拍子で出世していったい何が不満なのかと思ってしまうのは、お金も才能も無い人間の僻みか。反面、理解するのは難しいけど、美しい恋人がいながら同性愛へ動かされた心の葛藤や苦しみが正面から描かれていたことは評価したい。最後まで元恋人だった女性とは人間として繋がっていたのだと思えるような作劇も、同性愛をあまり前面に出されるより受け入れやすい。偏見とかではなく心情とはそういうものだと思う。
誰もが褒めるように、ラストのライブエイドのステージは圧巻だった。ユーチューブで本物を観直したけど、細かいところまで本当によく再現されていた。
IMAXでの観賞を薦める方がいたので、音響も考慮してそうしたが正解だった。
ピアノを弾くフレディと「伝説のチャンピオン」は一緒に口ずさまずにはいられない。
天国のフレディもきっと満足していることだろう。