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映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

生きてるだけで、愛。

2018-11-14 20:29:50 | 新作映画




「生きてるだけで、愛。」題名が良い。
だからといって甘いラブストーリーとはかけ離れたお話だ。
菅田将輝演じるゴシップ雑誌の編集者は、たまたま合コンで出会った女に惹かれてそのまま同棲している。自分に無いものに魅力を感じるのは動物の本能なのかもしれない。地味で感情の起伏に乏しい男には、趣里演じる引きこもりの女が持つ攻撃的で感情を爆発させる生き方に抗えない。
いつも、男にとって女は感情の捉えどころが難しい。わたくしもかつてお天気屋の女の子とお付き合いしたことがある(速攻でふられましたけど)。自分の感覚とはぜんぜん違うから楽しかったけど疲れた。この映画の主人公である引きこもり女ほどではなくとも、感情が不安定な人と付き合うには体力が要るのが良くわかった。還暦直前の今となっては、どんなに魅力的でも感情的な女は御免だ。

引きこもり女も自分を変えたいし、変えようと努力する。男の前カノに無理やり働かされたカフェバーにも徐々に馴染み、居場所を見つけたかに思えたが、一般人からすれば些細な感覚の違いが我慢できず飛び出してしまう。走りながら全裸になった女が男の胸で言う台詞にこの映画の全てがある。

「あんたはいいよね。あんたは、あたしを捨てられる」
「けど、あたしはあたしを捨てられない」

こんなに自分の感情に苦しむ人もいるのかと絶句した。ふと、永訣の朝、とし子の嘆きがよぎった。「うまれでくるたて こんどはこたにわりやのごとばかりで くるしまなあよにうまれてくる」(今度生まれてくるときは自分のことでこんなに苦しまないよう生まれてきたい)

主演女優の趣里は朝ドラ「とと姉ちゃん」で知った。彼女のお父さんのことは、ポルノ雑誌の切れ端を身体にまといドラム缶の風呂に入っていた頃から知っているし、お母さんに至っては全曲の音源をレコードで持っているし、ファイナルコンサートのDVDも買ってしまうぐらいのマニアックなファンだ。
そんな両親をもっているけど、彼女のエキセントリックな演技は素質だけではないように思う。舞台挨拶などで見せる素の表情からは小柄で小動物を連想させる普通のお嬢さんだ。お母さんも決して美人ではなかったが人を惹きつける顔立ちをしていた。趣里の目元にもそんな名残を感じる。暫く出演作を注目してみよう。


秋ドラマも折り返し

2018-11-10 06:36:29 | 旧作映画、TVドラマ

中盤に差し掛かった秋ドラマについて。

期待していた野木=新垣ペアの「獣になれない大人たち」にのりきれない。脚本も演出も演者も高水準の仕事をしているのは良くわかる。巷で云われているように、「あまりにも現実感がありすぎて観ているのが辛い」とまでは感じないけれど、確かに胸躍るような展開や感情移入できるような恋の顛末があるわけではない。新垣結衣の役どころは視聴者が望むような清潔感ある背筋の伸びた女性像だ。前にも書いたけれど、吉永小百合と新垣結衣は永遠にイメージどおりの役を演じきって欲しいし、多分誰もがそう望んでいる筈だ。煮え切らないまま他の女と一夜を過ごしてしまう彼氏に嫌気をさして、税理士の部屋で抱き合う寸前まで行くが事無く朝を迎えるところは、ガッキーファンをヤキモキさせただろうけど落ち着くところに落ち着いた感じ。題名の通り、松田龍平もガッキーも獣になれないままだ。お互い嫌いではないけど、一線を越えて今の現状から踏み外そうとはしない。プロデューサーが言ってたが、世の中の殆どの人は世間体とか良識とか倫理とかの社会に縛られて獣になれないのだ。小説や映画やTVドラマの中だけで頻繁に人は獣になる。
それは本当にそうなんだけど、モヤモヤした先行きの見えないドラマはやっぱり辛い。幸せになるでも不幸に打ちひしがれるでも、感情の蠢きを観ることで視聴者はリアルな毎日から逃避したいのだ。
五話で本編とは全然関係ないけど、彼氏の母親の若き挿話が映画的な色味で魅力的だった。今後、仕事も恋愛も生きることの毎日をどう舵を切ってゆくのか、野木脚本の真価が問われる。もう少し我慢して観てゆこう。

毎回応援したくなるように二人の感情が分かりやすく描かれているのが「大恋愛」。副題の(僕を忘れる君と)に切なさは募る。徐々に進む女医の病状が、癌や白血病のように見た目の身体を蝕むのとは違うだけに一層切ない。三話終わりに抱き合いながら名前を呼び間違えるシーンがあり、背筋が凍る思いがした。実際アルツハイマーを患うと近しい人の名前さえ混同してしまうものなのか。ドラマだからセンセーションに描かれたのだろうけど、いくら病気だとはいえ、好きな女に抱き合う耳元で違う男の名を呼ばれたら辛いだろうなぁ。四話になってちょっと違和感を覚えたのが、女医の元婚約者で若年性アルツハイマーの権威である医師が、女医に想いを募らせているところ。彼は優秀な医師(科学者)だし、結婚も論理的で現実的な選択をするキャラクターとして描かれていた。患者として手厚く接するのはいいけど、変に三角関係に引き吊り込まないで欲しいものだ。恋愛ドラマのセオリーとして、ある程度の障害がないと物語が進まないことは理解しているけれど、メインストーリーの味付け程度にしないとこの手の恋愛ドラマはかえって興ざめになる。視聴者が観たいのは消えてゆく記憶を支える無私の愛なのだから。
ムロツヨシと戸田恵梨香の相性は非常に良いと思う。二人のイメージをちゃんとベースにおいて、ほんの少しだけアレンジしているのが成功の要因だろう。喜劇的な役ばかりのムロツヨシに大真面目な恋愛を宛がうことで、普通の男たちの視座がさがり自分にも起こりうるドラマになった。意外に包容力と忍耐力を演技の行間に垣間見ることもできる。戸田恵梨香は強気で男勝りな明け透けさが持ち味だろうが、病に侵されてゆく恐怖心や男に対するベタ甘な依存性を可愛らしく演じている。わたくしのようにあまり彼女に魅力を感じていなかった者でさえ応援したくなる健気さがある。前編は結婚式で折り返した。これから辛く切ない話になるのだろう。
大石静の脚本も今のところべた付くくどさは無いので楽しめている。

朝ドラ「まんぷく」に関しては、奇を衒う事無く王道なつくり方がされている。毎回欠かさずこの時間に視聴している年配の方にとっては、安心して観る事ができるだろう。空襲疎開から転々と舞台は移ろっているが、主要人物に変わりはなくこれも安定した物語の進行に寄与している。判子の次は塩作りになって、派手さは無いが面白さも増してきている。
難点は、やっぱりヒロインの安藤サクラに思い入れができないことか。生理的にあの顔が嫌いなのと、従順な若妻を持ち前の演技力で一生懸命演じているが、その過剰な人物造形に馴染めないでいる。反面、松坂慶子や瀬戸康史のとぼけた味わいが癒しの潤滑剤になっているのが良い。

気になって四話から観始めた「今日から俺は」が面白い。福田雄一ドラマは癖が強く、嵌れば中毒になる。清野菜名と橋本
環奈のタイマンバトルが凄いらしいと聞いたので録画をしておいたのだが、最初から観ればよかったと後悔している。誰もが福田ワールドの中で振り切った見せ方をしているのが愉快だ。これからは必ず観てゆこう。


橋本環奈どこまで行っちゃうんだろう












ビブリア古書堂の事件手帖

2018-11-05 21:15:31 | 新作映画




三島有紀子監督の前作「幼子われらに生まれ」がとても良くできていたので、額面どおり原作をなぞることなく面白い味付けの作品にしてくれるのじゃないだろうかと期待していた。
原作はラノベにしては読み応えがあるが、ミステリにしてはちょっと物足りないくらいの6巻。映画になっているのは原作最初のエピソード(書店アルバイト大輔の祖母の隠された不倫恋愛)を過去のストーリーとして挿入しながら、古書店主栞子の蔵書をめぐる事件の顛末が描かれる。
三島監督は過去の不倫恋愛にかなりのウェートを置いている。映画の冒頭で栞子はさっさと持ち込まれた古書から謎解きをしてしまうので、大輔の祖母の人目をはばかる過去の謎解きを楽しむようにはできていない。監督の意図は原作の主題である謎解きではなく、夫をもった女の秘めた恋愛がやりたかったのだろう。イーストウッドが撮った「マディソン郡の橋」のような焦れる熱さを醸し出せたなら面白かっただろうに、平凡な不倫物にしか見えなかった。せっかく脚本にも女性を起用しているのだから、女にしか作り出せない感情を見せて欲しかった。
それでは本筋の現代パートの事件はどうかといえば、あまりにも脚本が雑すぎて全く楽しめない。先にも書いたように、原作そのものがミステリとしては大した事がないので、原作の事件をそのままトレースしたのでは面白くなるはずがない。稀少本をめぐる攻防に至ってはとてもプロの仕事とは思えなかった。監督も不得手なことには手を出さず、原作とは違う結末でも良かったと思うが。結局前作が良かったのは、荒井晴彦の脚本のおかげだったのか。

ここでいちいち粗探しをしても仕方がないので、原作の世界観を生かしながら登場人物を魅力的に見せるにはどうしたらよかったかを考えよう。
わたくしが原作のなかで面白く感じたのは三点。
栞子さんの本に対する知識と愛情が並外れていることは分かりやすいキャラクター設定だけど、コミュニケーション障害っぽい世俗離れのなかに垣間見せる少女性を感じさせる無垢な可愛らしさが魅力だった。付き合うには結構面倒臭いかもしれないが、一般的な常識さえあれば個性的で好きなタイプだ。そんな栞子さんを好きになり、不器用ながら彼女を守ろうとする店員の大輔との恋の顛末が微笑ましかった。
二人を見守るように配置されたエピソード毎に増えていく登場人物とのやり取りも、6巻もある長いシリーズならではの楽しみだった。2時間の映画では到底無理があり、大輔の祖母の恋と稀少本事件に的を絞ったことは良いとしても、主人公栞子を魅力的に描けなかったことはエピソードの分量といい計算違いだった。
舞台が北鎌倉であり、栞子さんのキャラクターに合っていると思う。映画でも切り通しとかが印象的に使われているが、鎌倉市の協力が得られなかったからか、あまりロケーションが上手くいってるとは思えなかった。
「日日是好日」では黒木華、「寝ても覚めても」では東出昌大をつい最近観たから、その二人が全く違う役回りで出演しているとなんだか変な感じだ。日本映画界の人材不足がここでも露骨に表れている。まぁ、ジャニ○ズとかEXI◯Eとかの学芸会を見せられるより良いか。(と、納得しておこう)





学園祭

2018-11-03 23:24:41 | お遊び

近所にある横浜国大の学園祭に行った。
学生のお祭りだから自分達本位で楽しめればそれで良い。
ビールと日本酒を焼鳥のツマミでいただき、こちらもお祭り気分だ。



国立大学だからか、地味なミス学祭コンテスト
始まってすぐ俄雨が降ってちょっと可哀想


帰りがけに昔よく通った横浜家系ラーメンの名店寿々喜屋に寄ってみる。
相変わらずこじんまりとしているがお客さんは途切れない。
心なしか叉焼が粗末になり、接客も淡白になった気がする。