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映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

キネ旬ベストテンでました

2020-02-07 21:27:00 | 映画ベストテン

キネマ旬報のベストテンが発表されましたので、早速特別号を買ってみました。
キネ旬らしい選出だなぁと感心したところです。ほとんど毎年キネ旬選者が選ぶベストテンに文句をつけていましたが、これはこれで伝統芸能とか工芸とかの部類として受け入れるのが寛容なんだろうと思いいたりました。
「火口のふたり」が一等賞です。観てません。ヨコハマ映画祭でもトップでしたから順当なのかもしれません。ただ、読者のベストテンには入っていないのが不思議です。荒井晴彦とうとう名脚本家から名監督へとなったということですね。
「半世界」の題材は面白そうだったのですが、監督の阪本順治とわたくしの感性が合わないため一作も面白いと思ったことがないので敬遠しました。今後も観ないと思います。読者選出では一等なので、いい映画なんだと思います。
「宮本から君へ」観ようかなとは思ったんですよ。本当に。何となくタイミングが合わなかったのと、他に観たい映画があったんだと思います。せっかくシネコンでもやっていたんだから観ればよかったと後悔してます。
「よこがお」の監督深田晃司とも相性が悪いので外しました。前作「淵に立つ」にあまり思い入れができなかったことだけしか覚えていなかったので。二作続けて同じ女優を使うとは相当惚れ込んだんでしょうね。筒井真理子、地味だけど確かにいい女優です。
「蜜蜂と遠雷」やっと鑑賞した作品が出てきましたが、あまり好きじゃなかったから微妙です。頑張った映画だとは思いますが、5位にランクインするほどかな?日本アカデミー賞はとると思いますけど。
「さよならくちびる」嬉しい嬉しい6位入賞。去年観た日本映画の中で一番好きな映画です。10位くらいに入ってくれればいいなと思っていたので、キネ旬選者をちょっぴり見直しました。こういう小品をうまく宣伝してもっと沢山のお客さんに観てもらうことが、ひいては日本映画の底力を上げることになると思います。そのために映画評論家や文化人と呼ばれる方々は発信して欲しいものです。読者の選出がなかったのは寂しいですね。
「ひとよ」が7位にランクインした白石和彌監督作品。個人的には「凪待ち」の方が優れていると思うのですが。読者も4位の「ひとよ」より、「凪待ち」を2位にしてます。近いうちに一等賞の映画を撮れる監督だと思うので期待してます。
「愛がなんだ」も観ようかどうしようか悩んでいるうちに上映終わってしまった作品です。この手の映画はツボにはまることもありますが、ドツボにはまって怒りしか残らないことも多いので難しいところです。もうちょっとお金と余裕があれば観ていただろうにな。読者選出もランクインしてます。
「嵐電」これこそはなんじゃこりゃですね。ノーマークどころか存在も知りませんでした。毎年1作はありますね。
「旅のおわり世界のはじまり」も悩んだ末に観ませんでした。黒沢清作品に絶対の信用を置いてないのが理由です。上記の阪本監督同様黒沢監督もキネ旬選者には好かれていますね。大体どんな作品でもランクインしてます。

読者選出で目立ったのは「新聞記者」が3位でした。評判も良かったから支持されたのは想像通りです。選者選出に入っていないことの方が驚きでした。「台風家族」はあまり評判良くなかった気がするのですがランクインしてますね。二つとも観てないから何にも言えません。相変わらずなのは新海誠監督作品「天気の子」は読者に愛されているのに選者からはまたしても無視されました。周防監督「カツベン!」をわたくしは駄作だと思いますが、読者の皆さんは10位にしましたね。題材が映画好きだったことが得点になったのかしら。
選者選出上位30作の内鑑賞したのは10本です。読者選出30本中では14本でした。やっぱり一般的な感覚を持った読者に親近感を覚えます。

外国映画は例によってつまみ食い程度にしか観てませんので、ろくなコメントできません。選者読者それぞれのベストテン選出作品で観たのは「ジョーカー」「グリーンブック」「ROMA」の3本のみ。どちらも「ジョーカー」を1位に選出してましたし、それ以外も順位は違えどほとんど一緒でした。家の奥様一推しの「存在のない子供たち」が読者7位にランクインしていたのと、これまた相変わらずイーストウッド教強しといったところです。

とか言っても、2019年は結構一生懸命観た割には優秀な作品を外してました。好き嫌いもあるし、仕方ありませんかね。今年も沢山映画館に通いましょう。

日本アカデミー賞を占う のもどうかと思いますが

2020-01-16 18:35:25 | 映画ベストテン

またあの日本アカデミー賞です。
もう43回目なんですね。第5回の発表前に行われたテレビ番組「日本アカデミー賞を占う」っていう大学映研の学生を集めてトークさせる番組に出て、スピーチもカットされず放送されたのが懐かしいです。
調べてみると、最優秀作品賞受賞作を36本観てました。その内納得の選出は27本だからそれ程間違いではないんだと思うんですが、何故か昨今のノミネート作品をみると首をかしげたくなるんですね。

今年のノミネートもやっぱり腑に落ちません。
観てない「新聞記者」「翔んで埼玉」は批評の仕様がありません。前者は日刊スポーツで受賞しているし、評論家や観客の評判も良かったので納得してます。後者はどうなんでしょうか。面白いとは思うし、興行的にも成功したから・・・でも、ノミネートされる作品なんでしょうか。
「キングダム」面白かったしこちらも興行は成功でした。が、映画賞はいかがなものでしょう。
「閉鎖病棟 それぞれの朝」が選ばれたのもよくわかりません。悪くはないけど5本に入選する作品ではないですね。
「蜜蜂と遠雷」も個人的には疑問です。山路ふみ子賞や報知新聞も大賞を上げてるし、発表されているベストテンにも顔を出しているので順当なんでしょうかね。

受賞作品はズバリ「蜜蜂と遠雷」でしょうか。東宝ですし。でも監督賞にノミネートされていないことを考えると、「新聞記者」かな。どれが受賞しても今年は納得できない年になりそうです。

監督賞に「カツベン」の周防正行をノミネートしちゃだめですよね。あの駄作で名前出しちゃ監督に失礼でしょ。主演男優は個人的に「記憶にございません!」の中井貴一に上げたいです。主演女優も下馬評では「蜜蜂と遠雷」の松岡茉優だと思いますが、「新聞記者」のシム・ウンギョンなんかもありかもです。未だ小百合さんとか宮沢りえじゃないですね。もっと新鮮味のある人を何故選べないのでしょう。助演男優女優は「閉鎖病棟 それぞれの朝」の綾野剛と小松菜奈にとって欲しいな。特に菜奈ちゃんはこのところわたくしのお気に入り女優なので、ステップにしてもらいところです。

アニメーション作品は「天気の子」外国作品は「ジョーカー」だと思いますよ。

2019 それじゃなくともBEST 10

2020-01-04 07:24:42 | 映画ベストテン

2019年は30本近い新作映画を観に行きました。最近ではすごく頑張った。いつものように洋邦取り混ぜてベストテンを発表します。と、毎度のことでやってる本人も飽きてきたので、今回は家の奥様のベストテンもお知らせしますね。凄いですよ。年間80本以上観てますから、映画秘宝の評論家のような10本が並びました。



❶ROMA
あの「万引き家族」を蹴飛ばしてアカデミーを獲ったことでもわかりますが、家族という謎の集合体の描き方が凄かったです。モノクロの画面も微細な音も技術の高さに手抜かりはなく、映画でなくてはなし得ない表現でした。知らない他所の国や人々の生活に圧倒され、自らの無力感を覚えた映画としても鮮烈でした。

❷さよならくちびる
日本映画では珍しい音楽を絡めたロードムービーです。三人の登場人物だけの小さな世界が描かれているので、いかにも日本映画とバカにしたくなるところではありますが、丁寧に若きミュージシャンの心の揺れ動きを捉えていて秀逸でした。小松菜奈と門脇麦、成田凌のアンサンブルも感心したし、あいみょんの楽曲も良かった。

❸ジョーカー
アメリカ映画とは思えない暗く陰湿な作品ですが、良いものは海の向こうでもこちらでもちゃんと評価されるんですね。わたくし所謂アメコミヒーロー物とかが苦手なため、「ダークナイト」すらあまり好きではないのですが、ネグレクトの怖さをも滲ませたこの映画は忘れ難いものになりました。

❹凪待ち
このところ絶好調の白石監督作品です。香取慎吾主演と聞いていたので危ぶんでいたのですが、中年男のだらしなさがそのまま存在していてとても感心しました。昨今、家族を描いた映画は血の繋がりに拘らないものが多く、また傑作が多い感じもしますけど、この作品もその枠に入りそうです。

❺長いお別れ
前作「湯を沸かすほどの熱い愛」が号泣ものの力作でしたからとても期待してました。前作ほどの強さは感じられませんでしたが、荒削りな演出が円やかになり円熟した旨味が加わったと思います。この映画はドップリ血縁の家族が描かれていて、痴呆老人介護の問題も合わせ今日的な日本社会を切り取っています。

❻天気の子
やっぱり前作の大ヒットが強烈でしたから、監督スタッフとも苦労しただろうなと思います。仕上がったこの作品は内向きな少年少女を登場させますが、結局誰かのため何かのためって、自分と自分が大切な人のために生きることですよね。だからそれで良いんだと思うのです。世界は二人のためにあればそれで。

❼グリーンブック
アメリカ人が好きそうな綺麗事です。その意味では素直に拍手はできない自分がいます。白人運転手は黒人のミュージシャンを差別しないでしょう。気心知れた友達になったからです。でも、根本的に人種差別がなくなった訳じゃないですよね。そこを描かないアメリカ映画は狡い。アカデミー会員も狡い。

❽ひとよ
これまた白石監督作品。演技上手の役者が母とその子供たちを演じています。子供に暴力振るう父親を殺し服役していた母親が15年振りに三人の子供の前に現れる。少し不気味に田中裕子が母親をやって、地方都市の家族や親族が揺れ動く様は実際には無いのかもしれなけど、隣家に起きる出来事かもしれない。

❾Yesterday
発想だけでベストテン入りしたかも知れません。もし自分しかこの世にビートルズを知らなかったら、そう思うと自分ならどうするでしょう。メロディーは口ずさめても歌詞は全くダメだなぁ。そこが英語圏に生まれなかった悔しさですね。わたくしは無邪気なラブストーリーとして好きな映画です。音楽言うまでもありません。

❿アナと雪の女王2
別に「冴えない彼女の育てかた」がランクインしても良かったんです。同じくらい好きなので。何故こっちなのかと言えば、前作のテイストを踏襲した単なる続編にしなかった勇気と気概を感じるのです。ディズニー好きじゃありませんけど、ものづくりに対する真摯さは素晴らしい。ミュージカルとしても一級品です。

番外に「男はつらいよ お帰り寅さん」を選びました。偉そうなこと書いても映画は観客を喜ばせてナンボ。大声で笑ってしんみり泣いて一緒に歌って最後に拍手できる映画が世の中にどれ程あるでしょう。寅さんの凄さはそれを50作続けたことです。真似できるクリエイターいるのかしら。

個人賞も
監督 白石和彌(凪待ち)
今一番脂がのってる監督でしょう。それでいて出し惜しみせず年に二作もすぐれた作品を発表できるなんて凄いことです。心配なのはその手の監督に多いのが枯れるのも早いってことです。そうならないよう願うばかりです。家族の物語をしっかり語れる監督は必ず成功しますね。
脚本 塩田明彦(さよならくちびる)
王道の男女三人組のロードムービーなんですが、それぞれ三人が皆魅力的に書かれていました。起伏の少ないストーリーだから飽きられてしまいそうなものなのに、最後まで引きずられてしまいます。日本映画にありがちな尻切れエンドにならず、余韻を残しながらも明日を信じられる結末が良かったです。
主演女優 小松菜奈(さよならくちびる)
助演も含めてこのところ映画に出ずっぱりで、存在感が高まってきました。癖の強い顔立ちなのも映画向きなのかもしれません。可愛いだけのお姫様役なんかやる必要はないので、汚れ役も含めて本格的な女優になっていただきたいものです。その期待も含めての主演女優賞です。
主演男優賞 香取慎吾(凪待ち)
今まではどこかアイドル歌手の面影がチラついて気に入らなかったのですが、この作品に関してはだらしない中年男を等身大で演じることができていたと思います。この人のキャラクターとして、どんなに悪ぶってもどことなく甘えん坊の人懐こさがうまく生かされた作品でした。
助演女優賞 松岡茉優(ひとよ)
主演で頑張った「蜜蜂と遠雷」より数段優れた演技でした。あの田中裕子と対峙しても引けを取っていませんでした。上手い役者ばかりの中でも頭抜けた存在感を出せる女優になったんだなと嬉しく思うのですが、もともと器用な質とみえて才能が散在してしまわないかと心配してもいます。
助演男優賞 成田凌(さよならくちびる)
この俳優もグイグイ頭角を現しています。暮れに公開された「カツベン」では堂々主役を演じていました。無色無臭な風貌が演出者の創作欲を掻き立てるのか、映画にテレビにとよく使われています。女二人の間に入った難しい役どころを、乾いた中性的立ち位置で上手く演じました。
新人賞 恒松祐里(凪待ち) 鈴鹿央士(蜜蜂と遠雷)
恒松祐里は「くちびるに歌を」で元気で一生懸命な中学生を演じていたのが印象に残っていますが、美しい女性に成長しつつあり、演技もしっかりしています。かつての柴咲コウのような目力を感じさせてくれるのも良いですね。
鈴鹿央士が演じた天然系ピアニストは原作そのままでした。広瀬すずがインスピレーションでスカウトしたといわれてますが、そんな雰囲気が未知数な彼に期待を抱かせてくれます。

さて、奥様のベストテンにも触れておきましょう。
脱帽です。流石我が家の奥様です。1〜3は世界中の映画祭で絶賛され数多く受賞されてる傑作ばかりですね。だけど、映画通じゃなきゃ観に行きません。8、9も評価の高い作品だし比較的メジャーだから知っている人も観た人も多いかと思います。奥様の大好きなアメコミ作品がちゃんと二作品入っているところも見事です。4、6、10なんかきいたこともありません。もう、映画評論家のレベルですね。
番外も含めわたくし一作も観ちゃいませんのよ。


雨夜の品定め

2019-07-14 05:22:35 | 映画ベストテン

気がつけば今年も半分が終わり、この七月でわたくし58になりました。
いつもの年よりハイペースで映画を観ているので、備忘録としてこの半年を振り返っておきましょう。
光源氏と頭中将のようにはいきませんが、今宵(もう朝になってしまいましたが)は採点表もお付けしてみました。
★20点 ☆10点 の100点満点です。


1/20 夜明け ★★☆
是枝・西川監督の愛弟子にしては人間観察がお粗末だった。
柳楽優弥も雰囲気は伝わるけど、あの脚本では無理があった。
夜明けが来ないまま薄闇に取り残されたような映画。

1/20 マスカレードホテル ★★★★
東野圭吾原作もそれほど面白くは無かったのに、映画は頑張った。
グランドホテル形式のドラマは2時間で観せる映画にはぴったりだ。
木村拓也と長澤まさみの相性も良かったと思う。

3/8 グリーンブック ★★★★☆
今年度のアカデミー作品賞だからそれなりの品質の仕上がり。
最近のアカデミー批判を受けて黒人と白人の友情に的を絞ったのが成功の要因。
但し、これは本当のアメリカの暗部を描けたわけではない。

3/10 ROMA  ★★★★★
アルフォンソ・キュアロンの凄さをはじめて知った。
俳優たちも全く知らない人ばかりだけど、完全にこの映画に引き込まれてしまう。
優れた作品は作られ方がどうであれ、大きなスクリーンで上映して欲しい。

3/16 君は月夜に光り輝く ★★★☆
永野芽郁を堪能するための映画で、彼女が好きか否かだけの映画だ。
アイドル映画で充分なんだけど、「君の膵臓・・・」を意識しすぎたかな。
芽郁ちゃんは最後まで明るく笑った顔でエンディングを迎える映画に出て欲しいな。

3/23 まく子 ★★★
生まれ故郷がロケ地になっているから観ただけで、何の期待もなかった。
故郷はほぼ全編にわたって美しく描写されていたので満足。
もう一つ心躍るような作品になってくれたならとちょっぴり残念。

5/1 キングダム ★★★★
スピード感もあるし、物語も王道の漫画ストーリーなので楽しめた。
長澤まさみの艶っぽいコスプレも良かったし、男優陣もみんな頑張っていた。
油の乗っていた頃の深作監督が撮ったら面白いアクション映画になったかしら。

5/25 空母いぶき ★★★☆
戦後日本のあり方を考えさせるには必要な企画だったと思う。
リアリティが欠けてしまうのは架空の国や地域での戦闘でしか描けなかった事。
今の日本の専守防衛という考え方が未来永劫続くことを願う。

6/1 ゴジラ キングオブモンスター ★★★☆
ゴジラは勿論、ラドン、モスラ、キングギドラまで日本が生んだ傑作怪獣たち。
それだけでも充分楽しませてくれたのに、渡辺謙の「さらば、友よ」には参った。
次回作が待ち遠しいシリーズになった。

6/1 さよならくちびる ★★★★★
上半期一番の拾い物だったと思う。期待をはるかに超えたロードムービーだった。
門脇麦と小松菜奈のデュオはきっと日本中に沢山いる内の一角なんだろうな。
あいみょんの提供曲も二人の世界にとても合っていた。

6/8 町田くんの世界 ★★★
こちらは期待を大きく裏切られた感じの残念な作品だった。
監督の無機質で乾いた笑いのセンスが好きだったけど、ファンタジーじゃない。
脇を演じる若手俳優達に将来を感じることが出来たのは良かった。

6/9 長いお別れ ★★★★★
今回の中野監督が描く家族も小さいけど好きだなぁ。
痴呆老人の介護を社会的な視点から取り上げてしまうと胡散臭くなるしね。
あまり鬱々とした話は観たくないし。いい按配だと思う。

6/29 凪待ち ★★★★★
こちらも家族の話だけど、血縁のない他人同士が結びつこうとする話。
ギャンブル依存症の男が震災の傷癒えぬ東北の町で再生出来るのか。
日本映画の得意とする半径の小さな世界が描かれた。


これからも楽しみな映画がやってきます。
新海誠の名前で客が呼べる「天気の子」、このとろ駄作ばかりだけど密かに期待している矢口監督「ダンスウィズミー」取り敢えず夏はこの二本に注目しましょ。冬にはスターウォーズ最終話も待ってます。
今日も雨降り。映画館にでも出かけましょうか。









キネマ旬報ベストテン考 その弍

2019-02-07 20:31:24 | 映画ベストテン

キネマ旬報社のベストテンが発表されたので、過去のベストテンにはどんな作品が選出されていたんだろうかと調べてみました。
選外にも大好きな映画は沢山ありますが、限が無いので、取りあえず毎年のベストテン作品の中からわたくしが特に大好きな映画を拾い上げてみました。

1950年代
「七人の侍」「東京物語」「幕末太陽伝」
流石に後世に残るような傑作しかピックアップできませんでした。
黒澤、小津の世界的評価も上記二作品に代表されるでしょう。コメディ映画の最高峰として川島作品を選びました。

1960年代
黒澤作品で一番好きなのが「赤ひげ」。チャンバラでは「用心棒」より、一層エンターテイメントが冴えてる「椿三十郎」。原作の凄さを忠実に映像化した「砂の女」。長大なシリーズの原点として「男はつらいよ」一作目を。実験的な映像と古典の融合を成し遂げた傑作「心中天網島」。みんな怖ろしく面白い作品ばかりです。

1970年代
TVで子供の頃一度だけ観て感激した「旅の重さ」は今ちゃんと観てみたい。山田洋二「故郷」「幸福の黄色いハンカチ」は山田作品群でも一番好き。田中絹代と高橋洋子に圧倒された「サンダカン八番娼館希望」。いかにも'70年代の日本映画「祭りの準備」「サード」暑苦しく暗い。横溝=市川昆の中でも傑出した出来の「悪魔の手毬唄」や野村芳太郎監督作品で一番好きな「事件」のように、ベテランも活躍している。日本映画の枠を超えた発想とスケールだった「太陽を盗んだ男」。長谷川監督はどうしちゃったんだろう。もったいないなぁ。

1980年代
日本映画の面白さに目覚めた'80年代。倉本聰+高倉健の最高傑作「駅STATION」。今でも日本映画で一番好きな「遠雷」。大林監督の美しいファンタジー「転校生」。深作演出の切れ味が気持ち良い「蒲田行進曲」。早世の天才相米監督と女優夏目雅子が残した「魚影の群れ」。後期今村作品の傑作「楢山節考」「黒い雨」。日本の美しさを再発見させてくれた「細雪」。独特の映像と語り口で衝撃的だった森田監督「家族ゲーム」。アイドル薬師丸ひろ子を女優に開眼させた「Wの悲劇」。新しい映画のあり方を提示してくれた伊丹監督「お葬式」。声高に叫ぶ事無く反戦を語り続けた黒木監督の「TOMORROW/明日」。そして、とうとうアニメ映画が確固たる地位を確立するために宮崎駿の「となりのトトロ」は生まれた。個人的には「魔女の宅急便」が一番お気に入りですけど。

1990年代
大林監督作品で一番好きなのが「ふたり」中島朋子がまだ可愛かった頃。アルタミラの青春コメディ「シコふんじゃった」「Shall We ダンス?」「がんばっていきまっしょい」周防監督は期待を裏切らなかった。地味だったけど、優しい気持ちになれる映画の「うなぎ」今村昌平晩年の傑作。ゆとりが無くてあんまり映画を観ていなかった頃です。

2000年代
沖縄のおばあの若かりし恋を描いて新鮮だった「ナビィの恋」。アルタミラ青春コメディの代名詞「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」は矢口監督の快作。在日の若者を描いた「GO」も新鮮だった。柴崎コウが幼い!子供の頃行ってみたかった常磐ハワイアンセンターの創生期を描く「フラガール」。静謐な「阿弥陀堂だより」熟練の「たそがれ清兵衛」は日本映画の気高さを教えてくれた。「誰も知らない」「歩いても歩いても」は大好きな是枝ブランド。弟子の西川監督作品「ディアドクター」は上手い映画だった。山下監督の「リンダリンダリンダ」「天然コケッコー」は癖のある映画だけど、とても可愛い作品。中年女子に焦点を当てた「かもめ食堂」は美味しい映画。中島監督の毒気と中谷美紀を堪能できる「嫌われ松子の一生」。麻生久美子の儚げな命の灯火を描いた「夕凪の街桜の国」。落語家の日常が心地良い「しゃべれどもしゃべれども」。好きな映画はそれぞれ名場面が浮かんできます。

2010年代
アクション時代劇を観せてくれた「十三人の刺客」。鬼才園子温監督が血まみれの狂気を描いた「冷たい熱帯魚」。いつも脚本の見事さに感銘する内田監督「鍵泥棒のメソッド」。同じく構成に非凡さを感じる吉田監督「桐島、部活やめるってよ」。堂々たる横綱相撲の映画を撮り続ける石井監督「舟を編む」。長大な原作を2部作でまとめた成島監督「ソロモンの偽証」と母と娘の情愛に涙が止まらなかった「八日目の蝉」。李監督も失敗作は無いが、一番好きな「怒り」を。ジブリ以外でもアニメ映画の優秀さを再認識させてくれた「この世界の片隅に」。初見より回を重ねるごとに愛おしくなる「海街diary」と「万引き家族」。新しい恋愛映画を感じさせてくれた「寝ても覚めても」。
2010年代最後の今年も記憶に残る大好きな映画に出会えるよう、元気に映画館通いをいたしましょう。