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映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

2024秋ドラマの感想

2024-12-22 23:10:00 | 旧作映画、TVドラマ
リタイアせず全作品見終わった
大河ドラマも一年全話コンプリートできた
簡単に秋ドラマの感想を書き記す

「その着せ替え人形は恋をする」
深夜ドラマらしく低予算で作られたから知ってる役者は誰もいないけど、きっと生徒Aの中から将来プライムタイムのドラマに顔出す子がいるんだろうな
主役の永瀬莉子は映画「君は放課後インソムニア」で準主役っぽい美味しい役を演じていたから、来年はもう少し目立った活躍が見られるかもしれない
物語は学園祭の仮装コンクールで優勝し、人形作りが好きなコンプレックスを乗り越える事が出来た五条君の成長は良しとして、彼に恋心を上手く伝えきれない海夢ちゃんのモヤモヤが残った
原作も続いているようだし、アニメ2期も制作中と聞く。このドラマも2期があるのだろうか

「宙わたる教室」
NHKの良心が作らせた佳作だった
定時制高校の教室に火星を作りだすというロマンを、氏素性の異なる4人が研究者崩れの先生指導のもと達成させるまでの物語
途中の紆余曲折に些か退屈さを感じたけど、終盤に皆んなが同じ目標に向かう眼差しに泣かされた
一生懸命に何かを目指している人は老若男女関係なく格好良い

「光る君へ」
武者が騎馬で東国へ去るのを見送りながら、紫式部の「嵐が来る」と呟くストップモーションで平安大河は締められた
斬新なラストシーンだったけど、そもそも平安貴族のお話や女流作家を主人公にする設定が大河ドラマとしては斬新だった
視聴率は戦国三武将だったり幕末動乱の話しの方が派手だし、主な視聴者である高齢者男性に受けがいいだろう
もうその手のやり尽くされた蘊蓄系ドラマに飽き飽きしてるわたくしの様な者には、源氏物語を内裏で生活しながら書きあげた紫式部の物語は魅力的だった
1000年を超えるベストセラー作家とて、当時を生きた女性の史記はないから大部分は道長の歴史的事実を基にした創作だったろう。だからこそ、欲を言えばもっとトキメクような恋愛ドラマにして欲しかった気もする
死にゆく道長の枕元で物語を語る姿は神々しいので、あの穏やかな夜こそ二人の愛の深さなのかもしれないけど
源氏物語が優れているのは、人生の光だけを描写するのではなく、強い光には必ず濃い影があることを描いた点だ。このドラマで権勢の暗がりや道長の影、強いて言うなら紫式部の創作過程での苦悩がもっと描けていたならと、無いものねだりをしたくなる

「放課後カルテ」
最近の子役の演技力は凄まじいと、このドラマでも再確認する
昔から天才子役は必ずいた。その殆どは今も活躍してるから、才能は生まれながらに持っていて研鑽しながら一流の役者になってゆくのかもしれない
昨今の凄さは一握りの天才ではなく、押し並べてクラス全員がハイレベルな演技ができるのだ
こうなれば脚本も演出も偏る事なく色々なエピソードを用意することができる
先生同士のエピソードが燻んで見えたのは、子供たちが輝いていた事の写し鏡だったからか
主演の松下洸平は役幅を広げることができてお得なキャスティングだったと思う

「モンスター」
法廷劇がとても良くできてる話と、こじつけの無理ある展開のまま終わらせてしまう酷いエピソードがあって、最初から最後まで趣里の一人芝居鑑賞会を見るための時間だった

「海に眠るダイヤモンド」
やっぱり現代版は蛇足にしか思えない。いや、現代版だけでも下手なドラマより面白いと思うのだが、なにせ軍艦島に生きる人々が魅力的で現代人が薄っぺらく見えてしまうのだ。日本がダイナミックに変貌してゆくあの時代を懐かしく思える人は毎年少しずつ減っている。それ故に新鮮に映るのか、現代版の人々がつまらなそうに見えて感情が動かず、反して戦後を引きづりながら生きてた彼等に惹かれる
取り分け、池田イライザと斎藤工は影と光を持ち合わせている人物を好演してた
最終回でなんで鉄平と朝子は結ばれなかったのかが語られた。あの場から逃げざるを得ないのはある程度理解できるとして、朝子を置き去りにしたことの理由が弱くて感動しきれなかった
野木亜紀子作品としては今ひとつだけど、ドラマとしては一級品だ

「ライオンの隠れ家」
今までに一人だけ夫のDVから逃げてきたと言う人に会ったことがある。40年も前の事だから、20代のわたくしは本当の怖さを理解してなかった
このドラマの発端は家庭内暴力の恐怖で、描かれたのはプライド(ライオンの家族や集合体のことらしい)を作る温かな繋がりだ
最近の視聴者はサスペンスめいた仕掛けがないとドラマを見ないんじゃないかと勘違いしているテレビ局が、犯人当てのようなサイドストーリーを作るので主題がぼやけてしまった
あの邪魔な部分がなかったらもっと良いドラマになったと思う

2024秋ドラマ

2024-11-18 09:52:00 | 旧作映画、TVドラマ
秋ドラマは一年で一番秀作が揃う時季
今年も結構な力作が顔を出している
視聴している作品を並べてみた。今回は途中リタイアはなさそうだ

「宙わたる教室」
昔から定時制(夜間学校)は映画やドラマの題材として結構使われていた。やっぱり記憶に残るのは、山田洋次監督作品「学校」シリーズだろうか。山田監督は寅さんの中でも定時制で学ぶ人々を描いたから、思い入れがあるのだろう
このドラマも色々な理由で夜間学校に通う老若男女が登場し、そのバックボーンが語られ物語に厚みを加えてくれるが、山田監督が主題に置いた貧困とか劣悪な家庭環境問題などとは違う今日的で普遍的な問題が多い
民放お得意のお涙頂戴演出に流れがちな舞台設定だが、そこはNHK、主人公の先生は科学的な思考と適度な距離感を持った物静かな人で金八先生のようなオーラは発しない
定時制の学校にも部活動があることも知らなかったが、この作品がユニークなのは授業より科学部に集まる生徒が目標に向かって段々熱くなって行くところ
まあ分かりやすい筋書きではあるが、実際にあった話らしいし、最近尾鰭を付けてわざとミスリード狙ったドラマが多くウンザリしてるから堂々横綱相撲で押し切って欲しい

「モンスター」
趣里の女優芸を堪能するためのドラマになってしまい、チームで法廷闘争を勝ち抜くカタルシスは味わえない
相方弁護士のジェシーの演技力なんて期待する必要はなくて、要は使い方次第で良いアクセントになる。宇野祥平やYOUのような逸材をどうして無駄遣いしてるのだろうか理解出来ない
YOUにせよ、敵役になりそうな古田新太が弁護士に見えないのがそもそもミスキャストなのだが
結構お話しの本筋は面白いエピソードもあったので、趣里の芸を楽しみながら観るとしますか

「その着せ替え人形は恋をする」
アニメがとても面白かったのと、設定や物語がわたくし好みだから採点は途轍もなく甘い
これは原作の勝利だ。雛人形の頭師を目指す地味で真面目な男の子がクラスのヒエラルキートップに鎮座する派手なギャルと絡んでいくのだけど、女の子は見てくれに反しヲタクでコスプレ好きで結構しっかりした考え方をした良い子
話しが進むにつれ地味な男の子に恋心を増幅させていくところも、お約束のシチュエーションだけれど心地良い
いかにも深夜ドラマらしい気やすさもハードル低目で、手放しで楽しめるのが良い
アニメも二期制作中らしいので、そちらも早く観たいもんだ

「海に眠るダイヤモンド」
大方この作品が秋ドラマの大本命だろう
夏に劇場公開され大ヒットした映画「ラストマイル」の主要スタッフが、ドラマブランドNO1枠である日曜劇場に大風呂敷広げた。セットもキャストもふんだんに金を使いテレビドラマとは思えないクオリティー
重厚で骨太な作品を貶すとこ無いんだけど、この手の物にありがちな登場人物の多さに序盤惑わされた。誰に感情を寄り添わせたら良いのか未だ決めかねている
軍艦島のバイタリティ溢れた過去パートが秀逸過ぎるからか、現代パートになるとトーンが落ちる。金持ちの老女が誰なのかくらいしか興味はなく、要らなかったんじゃないかと今は思っている
近年稀に見る大作ドラマなので、じっくり味わいたい

「放課後カルテ」
松下洸平の別の顔が見られる
地ならしとして柔らかく良い人キャラが根付いてるから、ちょっとキツイ言い方しても根っ子のとこでは優しさがゆえなんだろうなと思わせてくれるのはナイスキャスティング。ここでドラマの半分くらいは成功している
物語自体にもうちょっと工夫は欲しいけど、子役の皆んなが自然体の上手な演技をしてるので良いドラマになっている
森川葵は久しぶりにメインキャストで演技するのを観たが、少女の時にあった儚げな面影は残しつつ大人の女優になっていた

「ライオンの隠れ家」
ミステリー色が強い序盤からホームドラマの温かさを感じられる中盤になって、隠れ家に住まう3人を応援したくなってきた
ただし、まだ残されたライオン君のDVに対する謎が未解決なのと、母子逃亡のお粗末な筋書きに違和感があって物語に没頭するまでには至らない
自閉症の障害をもつ弟役を演じてる坂東龍汰はノーマークだったけど、嘘臭くないリアルで繊細な演技が出色
幸せな家族が戻れるような結末になることを期待している

「おむすび」
橋本環奈が悪い訳じゃないけど、いくらなんでも女子高生で尚且つギャルメイクはキツすぎる。器用にどんな役も演じ切る力と度胸は持っているとは言え、瞬間的な変顔するのとは違う
ヒロインが既に充分認知されているのも良い悪いじゃないかな。安定感はあるしすんなり馴染みやすいから、朝ドラの短い時間の中で話を進めていくには重宝だろう。でも、利点はそのまま欠点でもある
物語は神戸に移り本題に入ろうとしてる。これから等身大の橋本環奈が見られると期待したい

「光る君へ」
大河ドラマもいよいよ最終章
紫式部より道長の話がメインになってしまうのは仕方ないか。圧倒的に内裏で繰り広げられる政権争いの方が面白いから
事実そうなんだけど、光源氏のモデルは道長だから源氏物語を読んだことある読者は、結構納得してるんじゃないかな
栄枯盛衰
終盤は枯れて衰えてゆく姿に安寧の光をどう差し込むのかが、大団円を締めくくる脚本演出の腕の見せどころ


夏ドラマはこの作品がすべて

2024-11-03 06:18:00 | 旧作映画、TVドラマ
夏から秋に放送されたドラマの中で、今年を代表する作品が生まれた事は忘れないようメモしておこう

海のはじまり
三流作家やプロデューサーなら、安直に夏ドラマだから連想しやすい海の単語を題名に付けて、ひと夏の恋の紆余曲折がダラダラ繰り返される薄っぺらな物語で場を繋ぐんだろうな
やっぱり、生方美久は本物だったことをこのドラマは示してくれた。いつかは前職の医療に携わった経験を活かした物語を紡いでくれると思っていたが、こんなにも早くそして想像を超える厳しい目線で観せてくれるとは・・・

確かに、夏君は一方的な別れ話をしてくる水季をもう少し深く詮索するべきだったし、水季が自分勝手に海を産むことを決めて結果周囲の人々の生き方まで左右させてしまったことは事実で、このドラマを素直に受け入れられない人がいることも理解出来る
それでも、人が生きていくのってそういう事の連続なんじゃないかな
その先に海ちゃんの笑顔があるなら許されると思った

古川琴音、大竹しのぶ、利重剛、有村架純の存在感に改めて唸り、池松壮亮を本当の意味で知った気がする
そして海ちゃんを演じた泉谷星奈ちゃんがいたからこのドラマは成り立っていた


他にも
芸達者な役者が家族を演じた「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」。クドカンの「新宿野戦病院」や朝ドラ「虎に翼」も最後まで楽しめた


2024夏ドラマのはじまり

2024-07-21 15:12:00 | 旧作映画、TVドラマ

オリンピックの夏だからか、どの作品もスタートが早くて、もうすでに3話目を観せてくれたドラマもある中
やっぱり大本命は生方美久脚本だろう
毎年夏ドラマに傑作は無いと思っていたが、この暑い夏はちょっと違うかもしれない


「海のはじまり」
丁寧に丁寧に、染み渡るような余韻をもって喪失感が優しく心を震わせる
生方美久の脚本はセリフやナレーションなんかで誤魔化さない本物のドラマを観せてくれる
前作がいささか主張が過ぎてしつこい後味だけが残る失敗作だったし、なんと言ってもあの月9枠。大昔は傑作を多数生み出していたフジテレビの看板枠だったのに、今や駄作を観るならこの枠で決まりみたいな酷さが続いているので嫌な想像しか湧かない
1話から3話まで二回観直して、これはひょっとして「silent 」を超えるような傑作になるのではないかという予感がする。生方美久の前職が助産師だったことを考えると上辺だけの感動ありがとう物語になろう筈もなく、重いかもしれないけどチープな感想で除外するのは余りにも短絡的だろう(まあ、その程度の人はこのドラマを観なくて良いし、ピントのずれた感想述べられても作品が穢れるだけなので早々に離脱して欲しい)
目黒蓮のために書き下ろされたとしか思えないナイーブな佇まい。天衣無縫のようで深い洞察を感じさせる古川琴音の瞳。抑えた演技が孤独感を際立たせてくれる有村架純を観れたのは有難い。わかっていたけど、大竹しのぶの凄さに打ちのめされる、あの目線呑み込む言葉尻の哀愁。そして、泉谷星奈ちゃんの健気さ
もしかしたらとんでもない名作ドラマにわたくし達はめぐり逢うのかもしれない






「マウンテンドクター」
初回で脱落しようかと思ったけど、2話目に持ち直したかも
大森南朋や檀れいに変な演技させているのは狙いなんだろうか?
岡崎紗絵に僅かな期待をしながらもう少し様子見してみる

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
NHKらしい攻めのドラマ。こういう作品をサラッと作ってしまうから受信料払っちゃうんだよなぁ
今年になって急に、私が発見しました的に紹介される河合優実が主人公。地上波より先にBSか何かで放送されたみたいで、その時は彼女がブレイクする前だったから特に目立った評判は聞いていない
大方、大衆が目を向ける頃になって過去の作品も見直され、こうして地上波に登場できたのだからありがたいことには変わらない。映画「愛なのに」を観たあとの感想に河合優実の名前を覚えておこうと書き記したのは2年半前だったか、あの頃の女子高生となんら変わりはしないけどこんなにも期待される女優になろうとは思いもしなかった
ドラマは題名通り、思いっきり家族を描いている
父親は既に亡くなり(そんなんだったら死んでしまえ。と捨て台詞を吐いたあと実際死んでしまったというエピソード付き)弟はダウン症を抱えている。家計を担っていた母親が病に倒れ下半身不随で車椅子生活を余儀なくされ、派手好きで多少アウトローな祖母との4人生活が始まる
最近社会問題になっているヤングケアラーの厳しさを描くのかと思えばそんな事はなく、慎ましいが決して悲観的な向き方ではない乾いたポジティブさがある。学校の友達(マルチってあだ名の由来も面白い)との絡みも風変わりな味で楽しみだ

「新宿野戦病院」
クドカンの悪いことが集まっちゃったかな
一人一人の登場人物は魅力的で面白いのに、集団劇になると煩いだけで胃もたれしてしまう
歌舞伎町にある怪しげな病院を舞台に、米軍医上がりの女医が命を助けるためだけに奮闘するお話だけでも充分面白いのだけど、クドカンは過剰に詰め込み過ぎて崩壊させてしまっている。最近の快進撃で誰も彼の間違いを指摘できないのか

「降り積もれ孤独な死よ」
これまた視聴する動機はあいみょんの楽曲が使われるからだけで、ドラマそのものの興味はほとんどない
いまどき陳腐な警察組織を見せられてもなあ。あんな学芸会みたいな刑事ごっこはウンザリだ
リアルにするのか思い切り端折るのかセンスだな

「光る君へ」
停滞気味
ここを乗り切るのは少々厳しいかも。選挙やオリンピックで中断せざるを得ないNHKのジレンマもある
早いとこ内裏で才覚を披露して、政争に絡むようになれば面白くなろうに

「虎に翼」
こちらも停滞気味
裁判官として一人前になるために新潟へ赴任するけど、親子の絆なのか仕事のスキルアップなのかがぼやけているので退屈に感じてしまう。やっぱり早いとこ家裁に戻り、軋轢と闘いながら奮闘してほしい
それにしても、岡田将生との絡みはどうなるのだろう。なんか不思議なキャラ設定で掴めない