一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

第1回 「一日の王」映画賞・日本映画(2014年公開作品)ベストテン

2015年01月25日 | 「一日の王」映画賞
第38回日本アカデミー賞のノミネート作品(優秀賞)が発表されたが、
ちょっと首をかしげたくなるような候補作が多かったので、
ブログ「一日の王」では、このほど、
第1回「一日の王」映画賞を創設し、(コラコラ)
作品賞は、1位から10位まで、ベストテンとして10作を選出、
監督賞、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞は、
5名ずつを選出し、
最優秀を、各部門1名ずつを決めた。(赤字が最優秀です)

あまり映画や俳優に順位はつけたくはないのだが、
「一日の王」管理人・タクの極私的な意見ということで、
そのつもりで楽しんでもらえたら嬉しい。
(タイトルをクリックするとレビューが読めます)


作品賞
『そこのみにて光輝く』

上映時間120分、
スクリーンに目が釘づけになり、
一瞬たりとも目が離すことができなかった。
それほどの傑作であった。
貧困、歪んだ性、薄汚れた日常、人生の底辺、
不器用な人間たちの暗い夏……
そこに差し込む一筋の光。
どこまでも絶望的な救いのない場所での、
どこまでも純粋な魂をもつ達夫と千夏の、
泥水に咲いた美しい蓮の花のようなラブ・ストーリーだった。



『0.5ミリ』

安藤桃子(監督)・サクラ(主演)姉妹による驚嘆すべき傑作。
上映時間196分に恐れをなしていたが、まったくの杞憂であった。
安藤桃子監督の脚本、演出に、
安藤サクラの演技に、
すっかり魅了されてしまった。
安藤桃子監督は、
「姉妹で映画を作ることは生涯続けていきたいです」
と語っていたので、
今後、本作以上の作品がきっと生まれることであろう。



『百円の恋』

主役の一子役に選ばれてからの安藤サクラは、
作品以外のことは何も考えず、
この“闘い”に肉体も心もすべて投げ出して挑んだとか。
その努力の甲斐あって、
本作は素晴らしい作品に仕上がっている。
驚くべくは、安藤サクラの、その変貌ぶりだ。
序盤のたるみきった肉体が、
ボクシングをやることによって引き締まっていき、
動きも俊敏になって、顔の表情まで精悍になっていくのだ。
その変貌には、死を意識するくらいの凄まじい努力があったとか。
それは、終盤の、ボクシングの試合のシーンに集約され、表現されている。
安藤サクラの時代がやってきたことを実感させられた作品である。



『ぼくたちの家族』




『紙の月』




『舞妓はレディ』




『小さいおうち』




『私の男』




『蜩ノ記』




『渇き。』




この他、強く印象に残った作品に、
『ジャッジ!』
『白ゆき姫殺人事件』
『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』
『柘榴坂の仇討ち』
『バンクーバーの朝日』
『るろうに剣心 京都大火編』
『青天の霹靂』
などがあった。



監督賞
『そこのみにて光輝く』呉美保
『0.5ミリ』安藤桃子
『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』石井裕也
『舞妓はレディ』周防正行
『小さいおうち』山田洋次


『そこのみにて光輝く』は、
呉美保監督の目が細部にまで行き届いた素晴らしい作品であった。
新人監督は三本目が勝負といわれているが、
三本目でこれほどの傑作をものするとは……
いやはや、「呉美保監督、畏るべし」である。



主演女優賞
『そこのみにて光輝く』池脇千鶴
『百円の恋』『0.5ミリ』安藤サクラ
『私の男』二階堂ふみ
『紙の月』宮沢りえ
『白ゆき姫殺人事件』井上真央


主演のジョゼを演じた『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)以外、
代表作と呼べるほどの作品はなかった池脇千鶴。
だが、久しぶりにと言うべきか、ついにと言うべきか、
新たな彼女の代表作が誕生した。
「体当たりの演技」なんて言葉が陳腐に思えるほどの素晴らしい演技であった。



主演男優賞
『そこのみにて光輝く』綾野剛
『渇き。』『蜩ノ記』役所広司
『ジャッジ!』『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』妻夫木聡
『私の男』浅野忠信
『柘榴坂の仇討ち』中井貴一


『そこのみにて光輝く』での綾野剛は、
過去に仕事の事故で一人死なせてしまったという心に傷を負った男の役であったが、
寡黙で、口数が少ないため、
顔の表情や体の動きで表現しなければならない部分が多く、
それだけ難しい役であったのだが、実に上手く演技していた。
これまで見た彼が出演した映画の中では、最も優れたものであったと思う。



助演女優賞
『紙の月』小林聡美
『小さいおうち』黒木華
『舞妓はレディ』『トワイライト ささらさや』富司純子
『ぼくたちの家族』『蜩ノ記』原田美枝子
『バンクーバーの朝日』高畑充希


『紙の月』での小林聡美は、
厳格なベテラン事務員・隅より子の役であったが、
素晴らしい演技をした主演・宮沢りえと同じくらい、
いや、それ以上に強く印象に残った。
梨花(宮沢りえ)と対照的な生き方をしてきた隅より子が、
梨花をジワジワと追い詰めていき、
ラスト近くで対峙するシーンでの彼女の存在感は圧倒的であった。



助演男優賞
『ぼくたちの家族』『紙の月』『バンクーバーの朝日』池松壮亮
『0.5ミリ』坂田利夫
『0.5ミリ』津川雅彦
『蜩ノ記』岡田准一
『そこのみにて光輝く』菅田将暉


2014年は、池松壮亮にとって、大活躍の年であった。
2014年に公開された出演作だけでも、
『愛の渦』(2014年3月1日公開)主演・ニート役
『大人ドロップ』(2014年4月4日公開)主演・浅井由役
『ぼくたちの家族』(2014年5月24日公開)若菜俊平役
『春を背負って』(2014年6月14日公開)須永幸一役
『わたしのハワイの歩きかた』(2014年6月14日公開)田嶋祐一役
『海を感じる時』(2014年9月13日公開)高野洋役
『紙の月』(2014年11月15日公開)平林光太役
『バンクーバーの朝日』(2014年12月20日公開)フランク野島役
と、8作もあり、一気にブレイクした感がある。
若手演技派俳優として、今後の活躍が楽しみである。



昨年(2014年)は、
例年にも増して秀作が多かった。
存分に楽しませてもらった。
今年も(2015年)も楽しみな作品が多くラインナップされている。
ワクワクしながら待ちたいと思う。

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