武井武雄をあいする会

童画家武井武雄が妖精ミトと遊んだ創作活動の原点である生家。取り壊し方針の撤回と保育園との併存・活用を岡谷市に求めています

岡谷市議会会議録より4(平成22年12月定例会)

2013年06月29日 18時22分33秒 | 岡谷市議会会議録
武井武雄をあいする会の設立趣旨入会申込み生家の保存・活用を求める署名生家保存・活用のための募金


岡谷市議会会議録

平成22年12月定例会
平成22年12月13日

◆15番(横内東洋雄議員) 15番 横内東洋雄です。
 次に、大きな2番、武井武雄生家の保存と文化財的評価についてであります。
 武井武雄生家は、平成20年5月、東京家庭裁判所の審判により、特別縁故者より岡谷市に土地・建物ともに寄贈されたものですが、その建物の保存、取り壊しをめぐり、市側と有識者や地元関係者の間で見解が分かれ、物議を醸してきました。私は、過去2回、この問題を取り上げてまいりましたが、今回もあくまでも文化財保護の観点から質問し、保存を訴えてまいりたいと思います。
 まず、(1)生家敷地の現状と管理状況ですが、いまだ門を閉ざし、ひっそりとたたずむ生家は寂寥著しく、武井武雄先生も草葉の陰でさぞかし嘆いているように思えてなりません。市は現状をどのように見ているのか、また、寄贈以来、維持管理はどのように図ってこられたのかお伺いします。
 次に、(2)寄贈をめぐる客観的背景と市の方針であります。
 市は、当初より寄贈者である特別縁故者の意向に沿って、建物の取り壊し後、土地の有効活用を図るとしてきましたが、今もこの方針に変わりはないのか。また、寄贈から2年半もたっているが、その活用についてはどのような検討がなされてきたのかお伺いします。
 次に、(3)文化財的評価の再検討ですが、私は、過去の質問の中で再三文化財的評価の必要性を訴えてきましたが、いずれも納得のいく答弁ではございませんでした。その後の状況を踏まえ、教育委員会としての検討結果と見解をお聞きします。
◎教育長(岩下貞保君) 次に、大きな2番、武井武雄生家の保存と文化財的評価の(3)文化財的評価の再検討でございますが、武井武雄生家につきましては、これまでに文献による建物の経歴調査や2度の火災に遭遇したこと、後世に大きな増築改修工事が行われていることなどから、江戸時代中級武士の家として一定の評価をしておりますが、その後の建物を再評価するような新たな事柄はございませんので、よろしくお願いいたします。
◎経済部長(島田勇君) 大きな2番、武井武雄生家の保存と文化財的評価の、まず(1)生家屋敷の現状と管理状況についてお答えさせていただきます。
 武井武雄生家につきましては、寄贈以来、母屋、長屋門の補修等は行っておりません。土蔵につきましては、屋根の一部が破損していたため職員により補修をいたしてございます。建物、庭木の管理につきましては、定期的に建物内の換気を行い周辺の点検を行っております。庭木につきましては、道路等にはみ出している枝等の剪定、草刈り、アメシロの駆除・消毒を行っております。周辺には保育園、住宅がございますので、安全面には十分配慮し管理を行ってまいりたいと考えております。
 続きまして、(2)寄贈をめぐる客観的背景と市の方針でございます。
 武井武雄生家につきましては、平成20年5月14日に東京家庭裁判所の審判があり、寄贈契約を結ぶこととなりました。生家敷地につきましても、特例的に寄贈されることとなったのは、三春氏が大切に守ってきた童画文化を岡谷市が継承し、さらに童画のまちづくりを進めるために活用するという意思を示したことと、特別縁故者もそれを望んだためであると考えております。寄贈に当たりましては、特別縁故者の方からは「保存には多大な金額が必要となることから、永続的に武井武雄の童画文化を伝えるために、老朽化した生家建物は取り壊し活用していってほしい」との要望をいただいております。市といたしましては、その意向を踏まえ、老朽化の著しい生家建物につきましては基本的に取り壊す方向とし土地活用をしていきたいと相続財産管理人に対してお話ししてまいりました。以上のような経過で寄贈されたことを重視し、敷地の利用を含め慎重に検討してまいりたいと考えております。
◆15番(横内東洋雄議員) 次に、2番、武井武雄生家の保存と文化財的評価の質問に移ります。
 まず、生家敷地の現状と管理状況の関係ですが、敷地内の樹木や雑草などの手入れはなされているようですが、母屋や土蔵は寄贈から2年半もたっても放置されたままです。この生家は、武井武雄が後年童画家として確立したメルヘンの原点ともなっています。また、近くの墓には墓碑もあり、これらは武井武雄ゆかりの、欠くことのできない重要な観光スポットでもあります。岡谷市は、武井武雄の作品やネーミングを丸ごと使いまちづくりに生かしていながら、その生家を守り保存できないのか、再度お伺いします。
◎経済部長(島田勇君) 現在、岡谷市では、武井武雄の作品を利用し各種の事業を行っております。生家は、岡谷市に寄贈された経過、特別縁故者の要望を受けとめたものであり、その意思を尊重していく方向に変わりはありません。先ほども御答弁させていただきましたとおり、敷地の利用を含め慎重に検討を深めてまいりたいと考えております。
◆15番(横内東洋雄議員) 文化財的建物を保存することと記録を残すこととは、全く次元が異なる問題です。記録を残せば、どんな貴重な建造物でも壊してもよいなどという論法は通りません。
 次の寄贈をめぐる客観的背景と市の方針に触れながら、再度お聞きします。
 寄贈以来、市は、寄贈者の意思を理由に土地の有効利用を打ち出してきましたが、市内外の多くの有識者が首をかしげており、私は多くの生の声を聞いてきました。寄贈者が特別縁故者であり、生前の武井先生や地元とは全くかかわりなく単なる寄贈手続として要望書を市に提出したのではないか、それも、市に書かされたのではないかという声すらあります。寄贈に当たってのそのような画策は、行政にあるまじき所業と言わざるを得ません。寄贈者の要望も大事だが、その対象物の歴史的・文化的評価を一貫性と主体性を持って良識ある判断をすることこそ大事です。こうした多くの有識者の声を代弁して、再度市のお考えをお伺いします。
◎経済部長(島田勇君) この寄贈に当たりましては、東京家庭裁判所の審査を得て行っておりまして、市がそれを書かせたというような事実はございませんので、まずそのことについては申し述べさせていただきます。
 いずれにいたしましても、武井武雄生家は江戸時代に建てられたということでございますけれども、その後2度の火災に見舞われておりまして、昭和の時代には貸し家として使用されていた時期もありまして、改造工事など、後世の手が加えられながら現在に至っているものでございます。内外とも老朽化が進み、破損状態が著しい状態でございます。武井武雄の生家として何らかの形で記録ということは必要と存じますが、先ほども申しましたとおり、敷地の活用を含め検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
◆15番(横内東洋雄議員) その答弁では、到底承服できるものではありません。
 ところで、大分前のことですが、風の便りで、東京板橋南常盤台の武井武雄宅が売り払われたといううわさを耳にしましたが、市の担当部署ではこのことを把握していたのか、また、その後の現地確認などされたのかを含めて、その辺について御説明願います。
◎経済部長(島田勇君) 東京都板橋区の武井武雄邸の取り壊し・売却につきましては、特別縁故者より連絡をいただきまして承知しております。市といたしましても、武井武雄の執筆活動の拠点として記録を残したいということで、取り壊し前に建物図面の作成ですとか写真撮影等の記録保存を行っております。その後の現地の様子につきましては確認しておりませんので、よろしくお願いします。
◆15番(横内東洋雄議員) 私は、過日上京した際、板橋区の武井邸跡に立ち寄るとともに、東京法務局板橋出張所に行き土地・建物の登記簿も確認してきました。ここにその登記簿です。これを見ると、建物、土地ともに平成20年12月18日付で売買により所有権移転され、建物は翌1月5日に取り壊しとなっています。私は、このことを知ったとき大きな憤りを感じました。岡谷市にもっともらしい要望を付して西堀生家を寄贈したわずか半年足らずの後、板橋区の武井邸を売却するとは、余りにも身勝手な振る舞いと言わざるを得ません。しかも、本人は、もっと暖かいところで暮らしたいと東伊豆の熱川のマンションに住んでいるとのことです。現在、武井武雄邸は跡形もなく更地となって、広い敷地にペンペン草が生い茂っていました。これがそのときの模様です。この駐車場です。市は、こうした事態をどう見ておられるのか、その感想をお聞きしたい。
◎経済部長(島田勇君) 東京都板橋区の武井武雄邸につきましては、特別縁故者の方が相続を受けたものでございまして、岡谷市がその活用について異議を唱えるものではないと考えております。特別縁故者の方も相当の検討を重ねた結果の御判断だというふうに推測をしているところでございます。
◆15番(横内東洋雄議員) ただいまの答弁では、特別縁故者が相当の検討を重ねた結果の判断とおっしゃいましたが、とんでもない、私は御近所のお宅でいろいろ話を伺ってきました。具体的な内容は差し控えますが、御本人は相当前からあきれるような打算的なことを平気で言っていたようで、決してよくは言っておりませんでした。市は、しきりに特別縁故者の提出した要望書に沿って方針を決めてきたと言い通してきましたが、こうした結果を照らし合わせると、社会通念にはほど遠く、寄贈者の意思には大いなる疑問を感じ、到底うなずけません。結果的に市の対応は甘かった、軽々であったと言わざるを得ませんが、これについて市のお考えを再度お伺いします。
◎経済部長(島田勇君) 先ほども御答弁させていただきましたけれども、東京都板橋区の武井武雄邸につきましては、特別縁故者の方が相続を受けたものでありまして、岡谷市がその異議を唱えるものではないというふうに考えております。
 また、武井武雄生家の寄贈につきましても、特別縁故者はもちろん、相続財産管理人や東京家庭裁判所に御理解をいただいたことでの結果であると考えております。こうした寄贈に携わった方々の思いを受けまして、市といたしまして方針を決めたものでありまして、決して軽々と判断したものではございません。岡谷市といたしましては、武井武雄の心を心とし受け継ぐことが大切であるというふうに考えておりまして、御寄贈いただきました土地また建物それから著作権等を今後のまちづくりの中で生かしてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
◆15番(横内東洋雄議員) 私は、そうした答弁を繰り返す市の姿勢に大きな疑問を感じます。
 そこで、市長にお伺いします。板橋区の武井邸がなくなった今、なおさら西堀生家は残さなくてはならないと強く感じるところですが、市長はこの状況を踏まえどのように感じておられるのか、率直な御所見をお伺いします。
◎市長(今井竜五君) 経済部長のほうから先ほどから答弁をさせていただいておりますけれども、敷地等の利用を含め慎重に考えてまいりたいと思っております。また、地元西堀区の方たちからもいろいろな御意見をいただいているところでございます。お屋敷と呼んであの地域を大切にしていた西堀区の方たちの気持ちも酌み取りながら、相談しながら進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
◆15番(横内東洋雄議員) 市長の御所見、一応お聞きしたことといたします。
 次に、私は、寄贈者の申し出を都合よく判断の決め手としてきた市側の決定が、文化財保護をつかさどる教育委員会の対応を鈍らせることになったのではないかと考えますが、これについて教育委員会の見解をお伺いします。
◎生涯学習課長(小松厚君) 武井武雄生家の武士住宅としての調査を昭和58年に湖北の建築設計監理協会、また、昭和60年には千葉大学工学部の建築学科によりまして調査を行いまして、その結果として、建物の火災遭遇による損傷の痕跡、また、大きな改修・増築工事が行われていたことが明らかになっております。また、長期にわたりまして空き家となっておりまして、雨漏りなどの老朽化が激しいことは現地を観察することでも明らかでございます。東京家庭裁判所の審判の後、結ばれました寄贈の契約書も尊重する中で、教育委員会として総合的に対応を判断してまいったものでございますので、よろしくお願いいたします。
◆15番(横内東洋雄議員) 答弁を聞く限り、教育委員会の対応は市側と全く変わらない。本来教育委員会は、市長部局とは独立した執行機関でなくてはならないのに、それでは余りにも主体性がないと言わざるを得ません。
 また、生家の建物調査に触れましたので、その調査報告の関係で再度お聞きします。私は、前回の一般質問の際、武井武雄生家の文化財的価値について質問しましたが、このときの前教育部長の答弁には大きな矛盾、疑問を感じました。それは、平成2年3月に市の主な建造物の調査報告の冊子が出ており、その中では、「童画家武井武雄を記念する建造物だけでなく、中級武士の生活をしのばせる遺構として重要で、何らかの保存が望まれる」と報告されていますが、これと前教育部長の答弁とには余りにも隔たりがあります。その答弁は意図的なのか、余りにも認識不足と言わざるを得ません。改めて、教育委員会にこのことに対し答弁を求めます。
◎生涯学習課長(小松厚君) 武井武雄生家の文化財的価値につきましては、これまでにも答弁をさせていただきましたとおり、江戸時代の中級武士の家という部分の価値がどうであるかというふうに考えております。その中で、この建物が2度の火災に遭遇していること、大きな増改修等が加えられていることなど、そのまま江戸時代の建物として受け入れていくには保存状態がよくないものと認識しているところであります。
 御指摘のありました平成2年3月発行の「岡谷歴史の道文化財めぐり」の中で、「中級武士の生活をしのばせる遺構としても重要で、何らかの形での保存が望まれる」とある部分でございますが、これまでに制作した住宅の地図、また、建物の写真を保存してまいっているという状況でございます。
◆15番(横内東洋雄議員) その答弁では、保存という言葉を記録保存にすりかえ、こじつけたにすぎません。
 次に、文化財指定について文化財審議会への諮問をするかとの質問に対して、寄贈を受けた際の経過から見ると、教育委員会としては諮問対象にならないと考えると答弁されましたが、文化財の審査、評価は、寄贈の経過よりも対象物そのものの一貫性を持った公正な審査、検討ではないのか。その審査基準など、再度お聞きしたい。
◎生涯学習課長(小松厚君) 建物などの有形文化財指定の基準につきましては、市の区域内に存する有形文化財で国や県の指定を受けたものを除き、市にとって重要なものを指定することができるとなっておりまして、これまでも諮問された文化財につきましては、文化財保護審議会において十分な審議を行っていただいております。文化財に対して指定を行う場合、教育委員会は文化財保護審議会にあらかじめ諮問をいたしますが、寄贈を受けた際の経過の中に、既に建物が非常に危険な状態にあるほど老朽化が進んでいるとの認識があったことや、東京家庭裁判所の審判の後結ばれた寄贈契約書を尊重いたしまして、指定の諮問の対象にならないと判断をしたものでございます。
◆15番(横内東洋雄議員) 建物が幾ら老朽化しても、それを文化財に指定し、一定の改修を行い永久保存されている事例は幾らでもあります。老朽化については、調査報告で重要な建造物であることを認めながら、20年余にわたり放置してきた教育委員会にも責任の一端があることをこの際指摘しておきます。
 そこで、教育長さんにお聞きします。武井武雄生家を取り壊してしまえば、すべてが終わりです。文化財保護行政を守るためにも、今こそ教育委員会の主体性を発揮して行政の独走にブレーキをかけ、重要な歴史的建造物の保存に責任を果たすべきと考えるが、これについての教育長さんの偽らざる本音をお聞きします。
◎教育長(岩下貞保君) 江戸時代の中級武士住宅としての武井武雄生家の問題でありますけれども、ただいま課長が申し上げましたように私も考えておりまして、行政の独走というふうには考えておりません。住宅図面並びに写真の記録保存で責任が果たせるのかなというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
◆15番(横内東洋雄議員) 余りにもそっけない答弁ですので、再度お聞きします。教育長さんは、前回の私の「あなたの判断が岡谷市の文化財保護、いや、教育行政にまた一つ汚点を残す結果となったらどうするのか」との質問に対し、「あるいは汚点を残す結果になるやもしれない。迷うところもある」と答弁されました。私は、それがあなたの人間性から来る本心、実像だと感じました。しかし、きょうの答弁は余りにもまやかしであり、虚像です。あなたは実像と虚像を使い分けておられるのかお聞きします、お答えください。
◎教育長(岩下貞保君) 実像と虚像を使い分けるほど、私、人間ができておりませんので、何ともお答えのしようがないわけですけれども、2年前に、汚点を残さないかとの厳しいお言葉をいただいたわけです。その後も熟慮を重ねたわけですけれども、どうしてもこれだけ破損してしまっている江戸時代の武家住宅というふうに考えていったときに、本当にどうなのかと何度も何度も熟慮を重ねたその結果でございます。そんなことでお許しいただければと思います。
◆15番(横内東洋雄議員) 御答弁ありがとうございました。


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