ボクシング・テレビ&ビデオ観戦記

VTR整理の為DVDへダビングついでにブログを設定し記録保存します。

No1830 ”アンタッチャブル”グスタヴォ・バラス(亜)vsラファエル・ペドロサ(パナマ)

2010年09月30日 06時10分36秒 | ボクシング
(WBA世界S・フライ級タイトルマッチ)
 ジャッカル丸山等を破り初代王者に輝いた52戦負け無しのバラスが迎えた初防衛戦は、L・フライ級時代具志堅用高(協栄)に挑んだ事もある1位ペドロサ相手の指名試合。

 アルマジロの様な超絶ディフェンステクニシャンの王者が、逃げ足とスタミナが特徴なしつこい挑戦者を捌くと予想される中試合が始まる。

 序盤、予想通り先ずはバラスがヒラリヒラリとしたフットワークでペドロサをあしらうと、4Rより地元のファンの声援を受けて挑戦者が愚直に盛り返す。

 8Rより王者が優勢となり、特に10Rには約2分間一方的な攻勢で、いつ止められてもおかしくない展開となる。

 しかし中盤のらしからぬ攻撃でスタミナを消耗したバラスは、11R以降ペドロサの攻撃を許す事となり、一旦傾いたシーソーを戻す事が出来ぬまま、15R終了のゴングを敵地で聞いてしまう事となる。

 私はそれでもバラスのテクニックが上回ったとみたが、オフィシャルは2-1ながら挑戦者を支持し、2階級上げて挑んだペドロサが新王者となりました。

 決して日本人が真似する事の出来ない、私が憧れるバラスだっただけに、この結果を知った時は、「バラスが負けた? ラファエル・ペドロサに!」という驚きだけでした。

 

No1829 呉民根(韓)vsドラゴン早川(新日本サイトー)

2010年09月29日 06時13分20秒 | ボクシング
(S・バンタム級10回戦)
 サウスポースタイルから繰り出す重い左で台頭してきた日本6位の早川が、豊富なアマキャリアはあるものの、プロ戦績は3勝1敗という世界6位呉との一戦、呉のキャリアと早川の強打を考えると”もしや”の場面も十分予想される中試合開始。

 初回早川が右フック・左ストレートを顔面に決めると、呉も左フックを叩きつけ応酬する。2Rも早川の右フックの脇腹打ちと、呉の右ストレートを顔面に打ち返して一歩も引き下がらないが、ラウンド終了のゴング後呉の右フックが顔面を襲い早川がグロッギーになった為、世界ランカーは減点1。

 3Rに入っても両者激しい打ち合いを展開し、消耗戦の様を呈してくる。4Rに入ると呉の鼻血が酷くなってくるが、顔面を真っ赤に染めながらも左右フックを叩きつけ早川からダウンを奪う、立ち上がった所に左右連打を浴びせてロープダウンを奪い、更に連打で勝負を決める。

 結果的にはランク通りになってしまいましたが、クリンチ・ホールドは一切無く、ファイター同士の激しい打撃戦の応酬に、場内のファンは大きな拍手を送っていました。


No1828 磯上修一(辰東)vs上江洲隆(角海老)

2010年09月28日 06時28分54秒 | ボクシング
(バンタム級10回戦)
 ホルヘ・ルハンに完膚無き迄にやられ秀一から名前も変えた世界5位の磯上と、危うい面が垣間見えるものの勢いには乗っている世界6位の上江洲という世界ランカー同士の一戦は、当時協会が立ち上げた好カード推進委員会推薦第1号となった戦いでもある。

 満員に包まれた熱気ムンムンのホールに良い意味で呑まれたのか、いつもは聞きしに勝るスロースターターな磯上が初回からコーナーを蹴り出て行くと、上江洲もこれを迎え撃って3R迄は互角の戦い。

 5R磯上の左が決まり出し、上江洲必死にアッパーを返すが、磯上のパンチで2度・3度とよろめき差が見えてきた。6Rゴングと共に放った磯上の右ストレートが顎を捉え上江洲アッと言う間にダウン、立ち上がったものの磯上の執拗な連打で血まみれになり、腰に抱きついた所で辛くもラウンド終了のゴング。

 8R・9Rと血止めに必死のセコンドの為上江洲立ち遅れ、磯上の乱打に晒されて8R1度・9R2度のスタンディング・ダウンをとられ試合終了。

 磯上の再起にかけた執念が、上江洲の勢いに勝り勝ち取った勝利と言えますが、同じ世界ランカーでも、正直モノが違いましたね。


No1827 朴賛希(韓)vs大熊正二(新日本木村) Ⅰ

2010年09月27日 06時07分46秒 | ボクシング
(WBC世界フライ級タイトルマッチ)
 ミグェル・カント(メキシコ)に王座を追われて以来、5度の再挑戦に悉く失敗し、初めて敵地に赴いて行われた一戦、28歳になり、若き韓国の王者にある意味噛ませ犬的挑戦者として指名のかかり、一部には「望み無き挑戦」とまで揶揄された戦いは、非常戒厳令のひかれたソウルで行われた。

 負け知らずの朴は35日前に4度目の防衛戦を済ませたばかりだが、みるからに自信満々のスタートで、サウスポーの大熊に対し上体を振ってフェイントをかけながら行き成りの右ストレートでグイグイと前に出る。

 しかし、王者のスタミナ難を考慮し中盤以降に勝負する作戦の挑戦者陣営は我慢のボクシング、朴が近づいてくれば左右のボディ、またクリンチの際には脇腹打ちを忘れなかった。

 4Rややペースダウンの兆しを見せ始めた王者は5R開始と共に猛然とラッシュ、しかしその攻撃は不正確で、逆に大熊の左がキレイに顎を捉えると鼻血が流れ朴の表情に一瞬戦意喪失のの色が浮かぶ。6R挑戦者のボディ攻めにクリンチの多くなった王者は、7R左フックをテンプルに喰らいクリンチにいった所で、此れを振り解こうとして力の入った大熊がチャンピオンを投げ飛ばした途端、リングにあちこちから怒り狂ったファンが瓶や缶を投げ入れ非常事態、しかし挑戦者はこんな仕打ちにも再開後は前にも増して力強いアタックをかける。

 8R朴は手数も少なくフットワークを使って休む作戦に出たが、終了間際大熊の右フックが脇腹を痛打すると堪らず崩れ落ちてダウン、どうにか立ち上がり終了ゴングに救われた王者だったが、一度失った戦意は取り戻す事が出来ず、9R開始とともにラッシュした挑戦者が左ストレートを送ると、此れがストマックに命中し、腹を抱えてヨロヨロとコーナーへ後退した所へ大熊トドメのコンビネーションが決まると朴はヘナヘナとしゃがみ込み、レフェリーはカウントも取らずに大熊の手を挙げ試合終了。

王座を失ってから苦節5年と4ヶ月、木村会長と大熊の執念が実を結んだ王座復活劇でありました。
 当時その結果をNHKラジオでしか知り得なかったのですが、今では「YOU TUBE」あたりで観られる時代になりまして、隔世の感が強い今日この頃です。

No1826 中島成雄(ヨネクラ)vsイラリオ・”シュガー”・サパタ(パナマ) Ⅰ

2010年09月26日 09時34分27秒 | ボクシング
(WBC世界L・フライ級タイトルマッチ)
 金性俊(韓)を破り具志堅用高(協栄)のライヴァル王者に君臨した中島の初防衛戦は、指名挑戦者で前評判の高いサパタが相手。

 サパタはパナマ人特有の柔軟でヒョロりとしたサウスポーのテクニシャンだったが、後に穂積秀一戦と戦ったフライ級と時と比べると、ジャブとフットワークで距離をとるだけの、まだまだ大人しいモノだった。

 しかし、そんな挑戦者の泣き所は非力さで、中島は最初から少しくらいの抵抗はお構い無しに前へ前へと出て行き、飛び込み様に振る行き成りの右がサパタの顔面を屡捉える。

 3Rあたりから押し気味に試合を進めていた王者だったが、9R挑戦者は1・2~左ストレートをまとめ打ちしてして中島を守勢に立たすと、王者も打ち返しこの試合随一の緊迫したヤマ場を迎える。

 この攻防を境に、暫くペースはサパタに移り、終盤中島がポイントを譲ったまま試合終了のゴング。

 私の採点は、中盤迄支配した中島が逃げ切って2点差だったが、オフィシャルはアッと驚く3-0でサパタを支持し、日本から初めてパナマに世界王座を持ち去りました。

 しかし、有数のテクニシャン相手に互角以上に戦い抜いた中島の実力を改めて確認出来得た点と、判定に不服を覚えた観客が、両陣営が控え室に戻ってからもリングにモノを投げ入れてりして、会場が騒然としていた事を思い出しますね。

No1825 ティト・アベラ(比)vs”大分の戦闘機”グラマン植田(大分)

2010年09月25日 17時10分51秒 | ボクシング
(L・フライ級10回戦)
 当初OPBF王者金龍鉉(韓)に挑戦する予定だった日本1位の植田、王者側の都合で出国できなくなり、急遽2ヶ月前に具志堅用高(協栄)の世界王座に挑戦し、完膚なきまでに叩きのめされた前世界10位のアベラを地元大分に呼び寄せ、一気に飛躍を狙った、ある意味美味しい一戦。

 しかも計量で1度オーヴァーし、辛うじてパスした経緯もあって植田はゴングと同時にコーナーから勢い良く飛び出し右フックから左ストレートを放つ、しかしアベラは動ぜず鋭い眼光で植田を追い、タイミングの良いストレートを伸ばすと、スピードでも遥かに植田を上回る。

 2Rになると、植田は減量苦のアベラのボディへ右ストレートを送るが、アベラも左アッパーを顎に突き上げ、右ストレートの反撃で互角の展開。そして植田にとって迎えた魔の3R,右に廻って飛び込む瞬間、アベラの鮮やかな右フックがカウンターとなってヒットすると、両膝から崩れ落ち横転するダウン、必死に立ち上がるも膝がガクガクな姿を見た短期決戦を目指すアベラは見逃す筈も無く、左右連打から右のショートストレートで2度目のダウンを奪ってフィニッシュ。

 豊後から世界を目指していた植田の夢が、儚くも消え去ってしまいました。

 もうちょっと、植田のパンチが通用するかと思っていたんですが・・・、残念!

NO1824 工藤政志(熊谷)vsアユブ・カルレ(ウガンダ)

2010年09月25日 06時04分35秒 | ボクシング
(WBA世界S・ウエルター級タイトルマッチ)
 マニュエル・ゴンザレス(亜)を返り討ちし3度目の防衛を果たした工藤が迎える指名挑戦者は、アマ世界王者からプロ入りしデンマークで活躍する無敗のカルレが相手。

持ち前のスタミナと根性で、カルレの超一流と言われるテクニックに対抗しようと試みた工藤は、何度も何度もKO寸前のピンチに陥ったが、私が心に残ったシーンは5R終了間際に放ったサウスポーの挑戦者に対する右ストレート一閃!

 この一発で一瞬カルレの腰が落ちたものの、此処でラウンド終了のゴング。
 王者の”攻め”も此れが唯一の見せ場で、次の6Rから再び挑戦者の攻撃に晒されるが、地元秋田のファンに東北人特有のおしんの様な粘りで15回迄戦い抜き試合終了。

 私の採点は工藤に1点のみ、オフィシャルも大差でカルレを支持し、本場欧州の実力を十二分に知らしめました。

 

No1823 磯上秀一(辰東)vs石垣仁(ヨネクラ)

2010年09月24日 06時19分52秒 | ボクシング
(バンタム級10回戦)
 当時バンタム級四天王と言われていた内の2人が激突、世界6位の叩き上げ磯上と、元五輪代表で6戦全勝の日本1位石垣という、ノンタイトル戦ながら延睡ものの好カード。
 
 初回いつもはエンジンのかかりの早い方ではない石垣だが、それ以上にスロースターターな磯上相手に開始ゴングと共にジャブを突き、世界ランカーが不用意に飛び込もうとした所に左フック、更に右ストレートを放つと接近戦の持ち込みたい磯上も容易に中へ入られない。2R~3R好調な石垣は接近したがる磯上へ、左右の脇腹打ちから顔面へ好打を浴びせロープへ後退させる。

 4R漸く磯上の放つパンチもタイミングが合い出すが、石垣もペースを譲らず左右フックの応酬が続く。5R終了間際磯上の放った右を受けて石垣はヨロヨロとリングを泳ぎ、ペース配分を誤った事が明らかになる。6Rになると、ヘバッた石垣はミスブローが目立ち、磯上の右ストレートに大きく泳ぐ。

 大きなヤマ場を迎えたのが7R、磯上得意の左フックが一振されると此れがモロに顎を捉え石垣ドッとキャンバスにダウン。8Rも立っているだけで精一杯の石垣は、磯上のプレスを受けヨロヨロとロープに後退し8カウントをとられる。9Rそして再び磯上の左フックが顎を捉え、石垣が大きくロープによろけた所で主審が試合をストップ。

 世界を目指して勢いのある二人が激突した紛れも無いナイスファイト、その証拠にリングサイド・クラブからダブル敢闘賞が贈られた一戦でした。
 磯上の勝因は前半我慢に我慢を重ねた点、逆に石垣にとってはその前半に決めることが出来ず、飛ばし過ぎが祟ってスタミナを失い捕まってしまった訳ですが、5回迄は世界6位をシャットアウトしかねない紙一重の戦いでしたね。


No1822 ”韓国の朱い虎”朱虎(韓)vs羽草勉(北九州) Ⅲ

2010年09月23日 17時52分43秒 | ボクシング
(OPBF東洋太平洋S・ウエルター級タイトルマッチ)
 此れより、私の心に残る試合の数々に暫しお付き合いを。
 先ずは韓国の重量級が本当に強かった’70年代後半に活躍した朱と、元王者羽草との3度目の対決。
 此れまでの2戦は敵地に赴いてKOで敗れている羽草が、王者を初めて国外へ連れ出す事に成功し、捲土重来を期して挑んだ一戦となった。

試合が動いたのは4R、ジックリとした不気味な構えからカウンターの右アッパーを狙う朱に対し、意を決して思い切り飛び込んだ羽草の右ロングフックが、朱の振った右アッパーより一瞬早く顎の届くと王者は腰からロープに崩れ落ちダウン、直ぐに立ち上がるも意識は未だ朦朧とする所に、挑戦者の左~右を浴びて尻餅をつくダウン、残り時間はたっぷりとあったものの思いがけないチャンスに焦った羽草が大きな左右を空振りした所でラウンド終了のゴング。

 この後の羽草は大降りでミスも多く、5回・8回と逆にビッグブローを浴びて反撃されるも、”口”で走らず”足”で走ったスタミナを生かし、王者と最後迄打ち合う中試合終了のゴングが鳴らされる。

 王者の油断と、3度目の正直を期した挑戦者の執念がミックスした試合は、三者3様の引き分けとなり、羽草惜しくも王座復活となりませんでした。

 しかし、今よりもチャンスの少なかった北九州で、満を期して挑んだ羽草一世一代の大勝負は、私の心に刻まれた無念の一戦でもありました。

 (追伸)
 当時、小倉に映画を観にいくと、映画が始まる前に流れるCMで、北九州ジムの宣伝が流れていて、ボクサー諸氏がロードワークしている姿が映し出されていた事を思い出しました。

No1821 淵崎秀人(京浜)vs平山司(ウエストジャパン)

2010年09月23日 10時52分21秒 | ボクシング
(’01全日本ミドル級新人王決定戦)
 背の低い淵崎だが、ジャブから右を叩きつけ良いペースで進んでいくと、平山は左眼上をカットする、更にインファイトからショートアッパーやフックを浴びせて守勢に回す中試合が終盤に向かう、平山も出血しながら最後迄意地で立ち続けるものの、結局判定は大差の3-0で淵崎を支持しました。

 (追伸)
 高山勝成を生み出した’01新人王決定戦でしたが、21世紀になったこの年を境に、新人王戦が小粒になり正直観ていてもつまらなくなってしまいました。
 その証拠に、放映は観るもののヴィデオに録画する事はなくなりました、残念!