「連合艦隊司令長官 山本五十六 ー太平洋戦争70年目の真実ー」」
DVD。
この作品は昨年の12月に封切られた時、劇場に観に行って、役所広司演ずる山本五十六の生き様に感銘を受けて帰ったのであるが、当時このブログは開店休業状態(T_T)だったので、レビューを書かずじまいになっていた。
今夏、DVDレンタルが始まる前に予約したので、程なく借りることが出来て、封切りで観て以来、二度目の鑑賞となった。
改めて、山本五十六という人物が持っていた“理念”に感銘を受けた。
おそらく日本全体が轟々と音を立てて「戦争」へ向かってゆく時代に、彼はその流れを止めようとした数少ない軍人の一人だったのであろう。
世界的な視野で物事を見て、聞いて、考える。
ケースは違うが、「硫黄島からの手紙」で渡辺謙が演じた栗林中将もグローバルな視野を持った人であったと思い出す。
ネタバレあります・・・。
グローバルな視野で世界を見てきた五十六故の、開戦反対だった。
しかし、日中戦争が先の見えないどろ沼と化して、その閉塞感が軍部だけでなく国民の間にも蔓延してきたところへ、ドイツからの三国同盟の誘い。
五十六、米内光政(柄本明)らの反対派が一旦は押さえるものの、遂には日独伊三国同盟が結ばれる。
この映画のなかでしばしば登場する小料理屋でのシーンが興味深い。
開戦前や開戦からミッドウェー海戦の頃は、大衆の一部は戦争に乗り気だった様子が描かれている。
戦争が始まれば景気が良くなる、と、お客の一人は言う。
それまでの“戦争”は、海の向こうでやるもので、直接本土の生活には関係してこなかったのであろう。
私自身、あの時代に生きていたら、すぐ新聞などの情報に踊らされて、そのお客と大差はなかっただろう。
驚くのは、その当時の新聞記事の作られ方だ。
政治部の主幹を演じた香川照之がそのニュアンスを上手く出していた。
国威発揚のためと称して好戦的で挑発的な記事を載せ、部数を伸ばす。
これらのシークエンスを見ていると、新聞をはじめとする報道の持つ責務について考えさせられる。
玉木宏演ずる新聞記者・真藤は「大日本帝國戦史」の取材で五十六と交流するうちに、少しずつ「何かが違う・・」事を感じ取ってゆく。
そして五十六は開戦を止むなくされる。
そこで彼が打ち出したのが「真珠湾奇襲」だ。
アメリカに比べ、物量ではるかに劣る日本が生き残る道・・それは、まず最初に、相手が戦意喪失するくらいのダメージを与えー早期講和に持ち込むーそれしか日本の生き残る道はないと五十六は考えた。
結果的に奇襲することはしたが、アメリカの空母が一隻も真珠湾に無かった(沈められなかった)上、アメリカ側への「開戦通告」が、不手際で奇襲1時間後に通告されたという
歴史的なミスもあり、五十六の「早期講和」の思いは断たれる。
このあと、「ミッドウェー海戦」で日本は惨敗することになる。本作のような作戦ミスなのか“霧で敵空母が見えなかった”という話も聞くが・・。
そして開戦から1年4ヶ月後、五十六最後の講和への戦いが描かれる。
ラバウル航空基地の航空機及び第三艦隊全空母艦載機を総動員し、ソロモン、ニューギニア方面に展開するアメリカ航空兵力の撃滅を図る・・・。
そしてその後、一気に戦線を縮小する・・。
後方の体勢がととのうまで・・前線は残って、捨て石になってもらう・・。
五十六は講和のために、兵を「捨て石」として前線の「死の戦い」へ送り出した。
五十六にとっては断腸の思いだっただろう。
この映画は彼の“温厚で情深い”という側面だけでなく、このような厳しい決断をした一面も描いており、「司令長官 山本五十六」として、とても興味深いものがある。
作品全体的にあまり派手さは無く、地に足がついた感じのストーリー展開で好感が持てる。
役所広司は期待を裏切らない俳優さんだ。何か、説得力があるんだなぁ・・。
ラスト近く。。。五十六がブーゲンビル島に散る。。。
劇場で観たときは平気だったのに、2度目は泣けた。。。なんでじゃろ。。。
見たあとに、背筋がピンとシャンとする、そんな映画でした。。。
成島 出監督、「孤高のメス」「八日目の蝉」と、本作。いい映画作るね(^^♪
ひきばっち的満足度★★★★
つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分
DVD。
この作品は昨年の12月に封切られた時、劇場に観に行って、役所広司演ずる山本五十六の生き様に感銘を受けて帰ったのであるが、当時このブログは開店休業状態(T_T)だったので、レビューを書かずじまいになっていた。
今夏、DVDレンタルが始まる前に予約したので、程なく借りることが出来て、封切りで観て以来、二度目の鑑賞となった。
改めて、山本五十六という人物が持っていた“理念”に感銘を受けた。
おそらく日本全体が轟々と音を立てて「戦争」へ向かってゆく時代に、彼はその流れを止めようとした数少ない軍人の一人だったのであろう。
世界的な視野で物事を見て、聞いて、考える。
ケースは違うが、「硫黄島からの手紙」で渡辺謙が演じた栗林中将もグローバルな視野を持った人であったと思い出す。
ネタバレあります・・・。
グローバルな視野で世界を見てきた五十六故の、開戦反対だった。
しかし、日中戦争が先の見えないどろ沼と化して、その閉塞感が軍部だけでなく国民の間にも蔓延してきたところへ、ドイツからの三国同盟の誘い。
五十六、米内光政(柄本明)らの反対派が一旦は押さえるものの、遂には日独伊三国同盟が結ばれる。
この映画のなかでしばしば登場する小料理屋でのシーンが興味深い。
開戦前や開戦からミッドウェー海戦の頃は、大衆の一部は戦争に乗り気だった様子が描かれている。
戦争が始まれば景気が良くなる、と、お客の一人は言う。
それまでの“戦争”は、海の向こうでやるもので、直接本土の生活には関係してこなかったのであろう。
私自身、あの時代に生きていたら、すぐ新聞などの情報に踊らされて、そのお客と大差はなかっただろう。
驚くのは、その当時の新聞記事の作られ方だ。
政治部の主幹を演じた香川照之がそのニュアンスを上手く出していた。
国威発揚のためと称して好戦的で挑発的な記事を載せ、部数を伸ばす。
これらのシークエンスを見ていると、新聞をはじめとする報道の持つ責務について考えさせられる。
玉木宏演ずる新聞記者・真藤は「大日本帝國戦史」の取材で五十六と交流するうちに、少しずつ「何かが違う・・」事を感じ取ってゆく。
そして五十六は開戦を止むなくされる。
そこで彼が打ち出したのが「真珠湾奇襲」だ。
アメリカに比べ、物量ではるかに劣る日本が生き残る道・・それは、まず最初に、相手が戦意喪失するくらいのダメージを与えー早期講和に持ち込むーそれしか日本の生き残る道はないと五十六は考えた。
結果的に奇襲することはしたが、アメリカの空母が一隻も真珠湾に無かった(沈められなかった)上、アメリカ側への「開戦通告」が、不手際で奇襲1時間後に通告されたという
歴史的なミスもあり、五十六の「早期講和」の思いは断たれる。
このあと、「ミッドウェー海戦」で日本は惨敗することになる。本作のような作戦ミスなのか“霧で敵空母が見えなかった”という話も聞くが・・。
そして開戦から1年4ヶ月後、五十六最後の講和への戦いが描かれる。
ラバウル航空基地の航空機及び第三艦隊全空母艦載機を総動員し、ソロモン、ニューギニア方面に展開するアメリカ航空兵力の撃滅を図る・・・。
そしてその後、一気に戦線を縮小する・・。
後方の体勢がととのうまで・・前線は残って、捨て石になってもらう・・。
五十六は講和のために、兵を「捨て石」として前線の「死の戦い」へ送り出した。
五十六にとっては断腸の思いだっただろう。
この映画は彼の“温厚で情深い”という側面だけでなく、このような厳しい決断をした一面も描いており、「司令長官 山本五十六」として、とても興味深いものがある。
作品全体的にあまり派手さは無く、地に足がついた感じのストーリー展開で好感が持てる。
役所広司は期待を裏切らない俳優さんだ。何か、説得力があるんだなぁ・・。
ラスト近く。。。五十六がブーゲンビル島に散る。。。
劇場で観たときは平気だったのに、2度目は泣けた。。。なんでじゃろ。。。
見たあとに、背筋がピンとシャンとする、そんな映画でした。。。
成島 出監督、「孤高のメス」「八日目の蝉」と、本作。いい映画作るね(^^♪
ひきばっち的満足度★★★★
つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分
その人たちの意見も通らぬほどだったのでしょうね、戦争への“大きな流れ”は・・・。
新聞記者も「戦争反対」などというコメントは間違っても載せられなかったそうですね・・。
おっしゃるとおり、大きな「時代のうねり」が轟々と日本を戦争へと導いていったのでしょう。
そんな時代を生きた山本五十六という人の「生き様」は、後世に語り継ぐべきであると思います。
成島 出監督はおっしゃるように地に足がついた作品を撮られますよね。
本作もまさにそういう感じでした。
時代のうねりとか空気というのに指導者層でも流されてしまったりしますが、山本五十六のぶれなさにうたれました。
今の日本にこそこういう信念をまげず、国民のことを考える人が必要だなと思います。