「TATTOO[刺青]あり」
1979(昭和54)年・1月26日に大阪で起きた「三菱銀行人質事件」をベースとして、この映画は作られている。
といっても、事件発生後の、「立てこもり」状態での、当時報道が伝えたいわば「事件中」の事については、この作品は殆んどふれていない。
映画は、この事件を起こすことになる竹田明夫(宇崎竜童)の少年時代から20代の頃の生き様に焦点が当てられる。
とても母親思い。「田舎のかあちゃんを楽に・・」というセリフがよく出てくる。
お金に几帳面。数百円の借りでもきちっと手帳に書いて、必ず返す。これは後に銀行強盗を起こす人とは思えない・・根幹の部分はきっと几帳面なのかもしれない。
読書家であるというシークエンスが出てきます。大藪春彦をはじめに「ニーチェやフロイトはまあまあやったけど・・」ってびっくりしました!
射撃の名手。クレー射撃のシーンが出てきますな。あそこまで百発百中だったかどうかは判りませんが・・。
そんな明夫は、15才で強盗殺人、20才でようやく保護監察処分取り消しとなる・・。
ほどなく、自分が勤めるナイトクラブのホステス、三千代(関根恵子)と暮らし始める。
いつもながらですが、関根恵子さん綺麗
高橋伴明監督が決起(?)したのも解りまっす!
しかし竹田の唯一の欠点は、怒り出すと手が付けられない、ことで、三千代への暴力も、彼女は我慢の限界に来てしまいました・・。
三千代は去って行きました。
一人になった竹田は、以前から言っていた言葉をまたつぶやきます・・。
「30才になる前に、何かどデカイことをやるんじゃ・・母ちゃんとの約束なんじゃ・・」
そしてあの日、猟銃を持った彼は、銀行に向かったのです・・。
「バイオレンス・スペクタクル・ムービー」ととらえるならば、明らかに事件中のシーンがハイライトとしてあったほうが良いとは思いますが、本作は実際にしかもそれほど昔ではない過去に起きた事件を基にしている、というのが一つ。
そして、その後の報道等で分ったのですが、「現場は凄惨を極めた」ということ。
そして何より高橋監督は、本作のような映画を作りたかったのではないか、と思うわけであります。
四国から緊急ヘリで母親が現場に到着するも、足かけ3日間に及ぶ立てこもりの末、竹田は第2機動隊・零(ゼロ)中隊によって射殺される。
大阪警察病院で検死される際に、検死官が服を脱がせると、竹田の肩にはTATTOOがあった・・。
ひきばっち的満足度★★★☆