ごぶさたから早一ヶ月。ライターのくせに筆不精でスミマセン…(汗)
毎日「もりびこ」でコラムを書くようになってから、ますますこちらの更新がごぶさたになってしまっておりますが、「もりびこ」での私の担当コラム「今日のこだま」と合わせ、この「日々旅日記」もお楽しみいただけたら幸せです♪(「もりびこ」の各記事には、シェアボタンなども付きましたヽ(^o^)丿)
さて、今日は、8月2日に札幌で行われた、アラブについて学び五感で感じるイベント「アラビアンナイト」の様子をお伝えします。
勤医協札幌病院の整形外科医であり北海道パレスチナ医療奉仕団の団長でもある猫塚医師が、イスラエルによる大虐殺が公然と繰り広げられているパレスチナの現状を、
・現地の写真
・医療支援時の体験談
・問題をわかりやすく伝える資料
・現場で今も医療支援を続けている医師への
スカイプでのインタビュー画像
…などを通じて明快に伝えてくださり、
(こちらが、団長の猫塚医師)
◆上記の現場最新レポートと、悲惨な状態のパレスチナへの黙祷
(本業は建築家ながら、この医療団の副団長をつとめる宮嶋さん)
◆パレスチナ人たちの虐殺を止めるためのハガキアクション
(イスラエル大使館に、殺戮と攻撃をやめるよう声を届けるハガキを参加者みんなで一人一枚ずつ書きました)
(↑写真:モノノケユースケさんFBより)
◆心をひとつにする音楽
(↑写真:モノノケユースケさんFBより。モノノケユースケさんの言葉と声、胸にしみました…!)
◆五感でアラブを知る多種多様なエキゾチック料理(アラブ人留学生の皆さんの手づくり!)
◆うれしい出会いと交流
(私がフェイスブックで発信した情報を見て参加してくださった初対面の方々と、ご飯タイムの会場の片隅でオフ会状態に(笑))
(以前私の取材をしてくれた新聞社のフォトグラファーTちゃんや、活動家の知人とも再会!)
…など、意味深く楽しいプログラムが盛りだくさんで、札幌エルプラザの広い調理室が、たくさんの人とインターナショナルな雰囲気に満ちあふれました。
やはり、じかに会って交流するって、グッと身近に感じ合えるものですね♪
【猫塚医師のパレスチナレポート】
●最新の現状報告をお聴きし、画像を見て、私が現地を体験した2002年6月より格段にひどい状況になっているのが、ありありとわかりました。
現状を知れば知るほど、猫塚さんが力説していらした
「これは単なる攻撃ではなく、歴然とした大虐殺です」
という言葉に、120%同意せざるを得ません。
●イスラエル軍の目的は、パレスチナ人を根絶やしにしてイスラエルを「ユダヤ人の国」にすること。
イスラエル=ユダヤ人国家ですから、以前自分たちがユダヤ人というだけで迫害・抹殺された苦しみを、そっくりそのままパレスチナ人に対して行っているのです。(もちろんイスラエル人の中には、この虐殺に反対の声を上げている人々もいますが)
●特に衝撃的だったのは、
「将来復讐されることを恐れて、イスラエル軍は、特にパレスチナの子どもたちを皆殺しにしている」
という報告でした。
私がパレスチナに行った2002年6月に対話した若いイスラエル軍兵士は、
「俺は子どもが怖がって持っていた人形を落としたから、拾ってやったんだ」
と、自爆犯さがしのため夜中にパレスチナ人家庭に押し入った自分の行動を弁明していましたが、今や恐らく、兵役を拒否することもできず兵士として訓練され現場に行かされているイスラエルの若者たちは、そんな人間らしい心は訓練中に抹殺されているのだろうと予想できます。
●私が旅していた10年以上前ですら、兵役を終えたばかりの若いイスラエリーガールは、
「イスラエル軍の兵舎には窓のない小さな独房があり、共同部屋に上層部のスパイ役を依頼された同僚がいて、少しでも軍に反することを口にしたらすぐに密告され、独房で“反省”させられる」
と話してくれました。
優秀な兵士だった彼女はあるとき上層部に呼ばれ、スパイ役にならないかともちかけられてそのことを知り、恐ろしくてたまらなかった、と打ち明けてくれたのです。
もしかするとそのこと自体が、若い兵士たちをマインドコントロールするための軍の作戦だったのかもしれない、とも考えられますが、そうだとしたらなおのこと、どんなに軍の中が殺伐としているか想像できます。
●猫塚さんが胸に焼きついたこととしてもう一つ力説していらしたのは、
「パレスチナ自治区では送電網が破壊されていて、まったく電気が使えない」
ということ。
医療施設にすら、充分な薬や道具がないことはもちろん、電気システムも破壊されていて使えないので、
「夜は真っ暗闇で手当てもできず、救える命も救うことができない」
と。
「でも、パレスチ自治区から見えるイスラエルエリアは、別世界のように電気があふれているんです」
と言いながら、手前はまっくらなのに、遠方の一帯がまばゆいばかりに明るく輝いている夜のパレスチナ自治区の風景写真を見せてくれました。
【戦争をなくす方法】
●私が「使い捨て生活」を止め、電気代が月600円台(現在は200円台)になったきっかけは、パレスチナ自治区の小さな町でバリケードを張っていたイスラエル軍の1人の若い兵士と思いがけず問答することになったとき、彼が最終的に
「俺は誰も憎んでいないし、誰のことも殺したくない!」
と叫んだことに衝撃を受け「戦争の原因」を調べた結果、戦争は必ず「資源の搾取」とセットであることを知ったこと。
●宗教問題や民族間の紛争は、「資源の搾取」を狙う“戦争クリエイター”たちが、対立させたい両者の憎しみをあおるために利用・操作している事柄であり、「利害の格差」や「コミュニケーションの断絶」が生み出されていなければ、解決不可能ではない事柄だと私は思います。
現に、今ひどい殺し合いをしている民族や国々の民も、互いが平等に扱われ交流がスムーズだった時代には、互いを侵すことなく、ふつうに共生していたのですから。
●「資源の搾取」を狙う人々の目的は、資源が豊富な土地を、国際的なバッシングを受ける手間をこうむることなく「乗っ取る」こと。
そのために、資源のある土地の住民や、そこに影響力を持つ人々を「分断し、殺し合わせ」、彼らを断絶・混乱・疲弊させることで、彼らが自分たちが暮らす土地にある資源を自分たちのために使うという意識や行動に向かえないように仕向けているのです。
それだけでなく、戦争で破壊された場所に新しい建物などをつくるときには「支援事業」という形で介入する他国の企業は莫大な利益を得ることができ、もう一方では武器を作って戦争している両国に売れば、手っ取り早く巨額を得ることもできる。
「戦争で得するのは誰か」を冷静にたどり、お金の流れを見てみれば、真相は自ずとあぶり出されてきます。
●“戦争クリエイター”たちが存在する理由は、自分たちが直接危険をこうむらずにすむ場所で戦争を起こせば、上記のような方式で儲けつつ、自分たちの儲けの原資となる多種多様な資源を支配する、という“二重三重の儲け”を得ることができるから。
でも、もし私たちが暮らしを見直し、「遠くの資源をお金で買う生活」から、「身の周りにある地元の資源」を活かす生活に目覚め、そのための知恵をみんなで交し合い、意見の違う人同士が「互いを生かし合う有益性」に気づいてそれを実践するようになれば、
“戦争クリエイター”たちの
「みんなが欲しがる資源を支配すれば、それが尽きるまで儲かり続ける」
という方程式は、自ずと成り立たなくなる。
「周りの人々と協力して“地元の資源”を活かす知恵と技を身につけ、身近な流通の上に成り立つ暮らしの方が、遠くの資源を買い続ける暮らしより、ずっと安上がりで安心」
とわかり、それを実践する人々が増えれば、「戦争のうまみ」はなくなり、
「憎しみ合う」より「親しみ合う」方がずっとオトクで安心かつ安全に生きられることを体現する人が増えれば、この世は自然と、みるみるうちに、それぞれの風土に合った自然なくらしを取り戻し、地域ごとの個性と多様性に富んだ、ワクワクする新時代が始まると思うのです。
●「パレスチナ問題」が発生する前は、今、虐殺が繰り広げられている同じ土地で、ユダヤ人もパレスチナ人もふつうに共生していました。
どんな場合においても、反感・争い・暴力の源をたどれば、「コミュニケーションの断絶」に行き着くのではないかと、私は思います。
いさかい・憎しみ・戦争の養分は、「断絶」と「依存」。その逆を行動することは、デモや署名にも勝る。私にはそう思えます。
●だから“戦争クリエイター”たちはそうならないように、マスコミや、公的な教育の場などに多額の資金を注ぎ込み、自分たちにとって都合のいい情報をいろいろな形で流し、それらの情報を受け取った人々が、真相を疑ったり自分の頭で考えることなく鵜呑みにするように仕向ける取り組みを、精力的にやり続けてきました。
例えば、マスメディアで流布される「広告」も、「考えない買物」をさせるのにとても役立ちます。
私は旅に出る前、東京の大きな広告代理店で働いていたので、その一端をありありと知ることができました。
コマーシャルでは、イイコトしか言えません。15秒、30秒の間に覚えやすいメッセージや商品名をまとめ、それを1日に何度も流し、そのために何億円ものお金が投じられています。
聞いていないつもりでも、音は人の感覚にすり込まれ、記憶されます。耳や目に記憶されたものには親しみが湧くから、なんとなくいいような気がして、深く考えたり吟味するほどの金額でなければ、ほとんどの場合気軽な気持ちで買い求めるのです。
たとえ、その原料が遠い国々の粗悪な労働条件のもとで奴隷のように働かされている人々によって作られたものであっても、石油原料でつくられた化学物質が、信じられないようなズサンなやり方でタップリ添加されていようとも、そんなことは、その生産現場で働いたことがある人以外は、その商品を販売している会社の人ですら想像する余地もありません。
「便利・安い・おいしい」という与えられた宣伝文句を丸呑みにして、私たちは「お金」という社会エネルギーの一票を、訪れたこともない企業の会ったこともない人々の働きに対して投じてしまう。それが、今のほとんどの「買物」のあり方だと思います。
●そこで肝心なのは、「各現場で働いている人々には悪気がない」ということです。
私もそうでしたが、自分に与えられた目の前の仕事を精一杯やっているだけ。
原料調達から始まるその商品の背景やストーリーをじかに取材して、本当に納得したものだけをオススメする、という作り方をしている広告なんて、少なくとも大きな広告代理店ではつくられません。
自分が食べないもの・使わないもの・よく知らないものも、ほとんどの広告の作り手は平気で宣伝します。
コマーシャルに出てくるタレントも同じ。みんな「お芝居」。でも、それでヨシとされていて、それが「当たり前」になっています。
そんな虚ろな「当たり前」の効果で、劣悪な労働条件のもとで資源が「大量採取」され、無数の巨大な工場が稼動して「大量生産」が行われ、24時間ひっきりなしに各地に「大量運搬」され、ありとあらゆる店で「大量販売」され、そこに訪れた「大量の消費者」たちが「大量購買」し、その後「大量廃棄」される。
一人一人の力は小さくても、みんながやっていることを合わせれば、「大量」の行為になり、その全ての工程に必要な「資源・エネルギー」を牛耳っている企業は、このしくみが進めば進むほど儲かるのです。
●一生のうちに膨大な買物をし、電気をはじめ、あらゆる商品に姿を買えた世界中の資源を「消費」している日本。
そこに暮らす私たちが精神的にも物理的にも「自立」することは、世界を大きく変えることにつながる。私は心からそう思っています。
●以下は、猫塚医師が、最後に見せてくれたスライドです。
「今、パレスチナを攻撃し大虐殺を繰り広げているイスラエルが公言している大義名分は、“自衛のための戦い”です。
日本も今、それを大儀とした政治と法が推し進められている。
決して他人事ではないのです」
日本は森林資源も多く、水も豊かで人材も豊富。
日本人は基本的に器用で賢く、しかも、マスメディアを信じる人が7割以上というデータがあるほど、コントロールされやすい。
“戦争クリエイター”たちにしてみれば、今までマスコミ・政府・企業にコントロールされ慣れてきた“勤勉で従順な日本人”を、自前の能力や力量に気づかないように操作しつづけ、戦争に加担する生活と労働をさせつづけることなど、たやすいことだと思います。
以前味わった戦争の悲惨さや苦しみを経験していない世代が大半となった今の日本は、“戦争クリエイター”たちに再び狙われやすい条件がバッチリ揃っているように、私には思えます。
でも、だからこそ、パレスチナとイスラエル、または、原発事故がもたらしている日本人同士の断絶など、各所で起こっている対立や戦争に学び、その構造と根本にある「争いの原因」を解きほぐし、「海外からの資源を買い続ける生活」から、「地元と自分の資源」を活用する生活に、今すぐ変えてゆく必要があると思うのです。
●私が尊敬してやまない工業デザイナー、故・秋岡芳夫氏は、すばらしい言葉を遺してくれました。
「消費者をやめて、愛用者になろう」
それを胸に響かせるだけで、変わっていくものがあるように思えてなりません。
毎日「もりびこ」でコラムを書くようになってから、ますますこちらの更新がごぶさたになってしまっておりますが、「もりびこ」での私の担当コラム「今日のこだま」と合わせ、この「日々旅日記」もお楽しみいただけたら幸せです♪(「もりびこ」の各記事には、シェアボタンなども付きましたヽ(^o^)丿)
さて、今日は、8月2日に札幌で行われた、アラブについて学び五感で感じるイベント「アラビアンナイト」の様子をお伝えします。
勤医協札幌病院の整形外科医であり北海道パレスチナ医療奉仕団の団長でもある猫塚医師が、イスラエルによる大虐殺が公然と繰り広げられているパレスチナの現状を、
・現地の写真
・医療支援時の体験談
・問題をわかりやすく伝える資料
・現場で今も医療支援を続けている医師への
スカイプでのインタビュー画像
…などを通じて明快に伝えてくださり、
(こちらが、団長の猫塚医師)
◆上記の現場最新レポートと、悲惨な状態のパレスチナへの黙祷
(本業は建築家ながら、この医療団の副団長をつとめる宮嶋さん)
◆パレスチナ人たちの虐殺を止めるためのハガキアクション
(イスラエル大使館に、殺戮と攻撃をやめるよう声を届けるハガキを参加者みんなで一人一枚ずつ書きました)
(↑写真:モノノケユースケさんFBより)
◆心をひとつにする音楽
(↑写真:モノノケユースケさんFBより。モノノケユースケさんの言葉と声、胸にしみました…!)
◆五感でアラブを知る多種多様なエキゾチック料理(アラブ人留学生の皆さんの手づくり!)
◆うれしい出会いと交流
(私がフェイスブックで発信した情報を見て参加してくださった初対面の方々と、ご飯タイムの会場の片隅でオフ会状態に(笑))
(以前私の取材をしてくれた新聞社のフォトグラファーTちゃんや、活動家の知人とも再会!)
…など、意味深く楽しいプログラムが盛りだくさんで、札幌エルプラザの広い調理室が、たくさんの人とインターナショナルな雰囲気に満ちあふれました。
やはり、じかに会って交流するって、グッと身近に感じ合えるものですね♪
【猫塚医師のパレスチナレポート】
●最新の現状報告をお聴きし、画像を見て、私が現地を体験した2002年6月より格段にひどい状況になっているのが、ありありとわかりました。
現状を知れば知るほど、猫塚さんが力説していらした
「これは単なる攻撃ではなく、歴然とした大虐殺です」
という言葉に、120%同意せざるを得ません。
●イスラエル軍の目的は、パレスチナ人を根絶やしにしてイスラエルを「ユダヤ人の国」にすること。
イスラエル=ユダヤ人国家ですから、以前自分たちがユダヤ人というだけで迫害・抹殺された苦しみを、そっくりそのままパレスチナ人に対して行っているのです。(もちろんイスラエル人の中には、この虐殺に反対の声を上げている人々もいますが)
●特に衝撃的だったのは、
「将来復讐されることを恐れて、イスラエル軍は、特にパレスチナの子どもたちを皆殺しにしている」
という報告でした。
私がパレスチナに行った2002年6月に対話した若いイスラエル軍兵士は、
「俺は子どもが怖がって持っていた人形を落としたから、拾ってやったんだ」
と、自爆犯さがしのため夜中にパレスチナ人家庭に押し入った自分の行動を弁明していましたが、今や恐らく、兵役を拒否することもできず兵士として訓練され現場に行かされているイスラエルの若者たちは、そんな人間らしい心は訓練中に抹殺されているのだろうと予想できます。
●私が旅していた10年以上前ですら、兵役を終えたばかりの若いイスラエリーガールは、
「イスラエル軍の兵舎には窓のない小さな独房があり、共同部屋に上層部のスパイ役を依頼された同僚がいて、少しでも軍に反することを口にしたらすぐに密告され、独房で“反省”させられる」
と話してくれました。
優秀な兵士だった彼女はあるとき上層部に呼ばれ、スパイ役にならないかともちかけられてそのことを知り、恐ろしくてたまらなかった、と打ち明けてくれたのです。
もしかするとそのこと自体が、若い兵士たちをマインドコントロールするための軍の作戦だったのかもしれない、とも考えられますが、そうだとしたらなおのこと、どんなに軍の中が殺伐としているか想像できます。
●猫塚さんが胸に焼きついたこととしてもう一つ力説していらしたのは、
「パレスチナ自治区では送電網が破壊されていて、まったく電気が使えない」
ということ。
医療施設にすら、充分な薬や道具がないことはもちろん、電気システムも破壊されていて使えないので、
「夜は真っ暗闇で手当てもできず、救える命も救うことができない」
と。
「でも、パレスチ自治区から見えるイスラエルエリアは、別世界のように電気があふれているんです」
と言いながら、手前はまっくらなのに、遠方の一帯がまばゆいばかりに明るく輝いている夜のパレスチナ自治区の風景写真を見せてくれました。
【戦争をなくす方法】
●私が「使い捨て生活」を止め、電気代が月600円台(現在は200円台)になったきっかけは、パレスチナ自治区の小さな町でバリケードを張っていたイスラエル軍の1人の若い兵士と思いがけず問答することになったとき、彼が最終的に
「俺は誰も憎んでいないし、誰のことも殺したくない!」
と叫んだことに衝撃を受け「戦争の原因」を調べた結果、戦争は必ず「資源の搾取」とセットであることを知ったこと。
●宗教問題や民族間の紛争は、「資源の搾取」を狙う“戦争クリエイター”たちが、対立させたい両者の憎しみをあおるために利用・操作している事柄であり、「利害の格差」や「コミュニケーションの断絶」が生み出されていなければ、解決不可能ではない事柄だと私は思います。
現に、今ひどい殺し合いをしている民族や国々の民も、互いが平等に扱われ交流がスムーズだった時代には、互いを侵すことなく、ふつうに共生していたのですから。
●「資源の搾取」を狙う人々の目的は、資源が豊富な土地を、国際的なバッシングを受ける手間をこうむることなく「乗っ取る」こと。
そのために、資源のある土地の住民や、そこに影響力を持つ人々を「分断し、殺し合わせ」、彼らを断絶・混乱・疲弊させることで、彼らが自分たちが暮らす土地にある資源を自分たちのために使うという意識や行動に向かえないように仕向けているのです。
それだけでなく、戦争で破壊された場所に新しい建物などをつくるときには「支援事業」という形で介入する他国の企業は莫大な利益を得ることができ、もう一方では武器を作って戦争している両国に売れば、手っ取り早く巨額を得ることもできる。
「戦争で得するのは誰か」を冷静にたどり、お金の流れを見てみれば、真相は自ずとあぶり出されてきます。
●“戦争クリエイター”たちが存在する理由は、自分たちが直接危険をこうむらずにすむ場所で戦争を起こせば、上記のような方式で儲けつつ、自分たちの儲けの原資となる多種多様な資源を支配する、という“二重三重の儲け”を得ることができるから。
でも、もし私たちが暮らしを見直し、「遠くの資源をお金で買う生活」から、「身の周りにある地元の資源」を活かす生活に目覚め、そのための知恵をみんなで交し合い、意見の違う人同士が「互いを生かし合う有益性」に気づいてそれを実践するようになれば、
“戦争クリエイター”たちの
「みんなが欲しがる資源を支配すれば、それが尽きるまで儲かり続ける」
という方程式は、自ずと成り立たなくなる。
「周りの人々と協力して“地元の資源”を活かす知恵と技を身につけ、身近な流通の上に成り立つ暮らしの方が、遠くの資源を買い続ける暮らしより、ずっと安上がりで安心」
とわかり、それを実践する人々が増えれば、「戦争のうまみ」はなくなり、
「憎しみ合う」より「親しみ合う」方がずっとオトクで安心かつ安全に生きられることを体現する人が増えれば、この世は自然と、みるみるうちに、それぞれの風土に合った自然なくらしを取り戻し、地域ごとの個性と多様性に富んだ、ワクワクする新時代が始まると思うのです。
●「パレスチナ問題」が発生する前は、今、虐殺が繰り広げられている同じ土地で、ユダヤ人もパレスチナ人もふつうに共生していました。
どんな場合においても、反感・争い・暴力の源をたどれば、「コミュニケーションの断絶」に行き着くのではないかと、私は思います。
いさかい・憎しみ・戦争の養分は、「断絶」と「依存」。その逆を行動することは、デモや署名にも勝る。私にはそう思えます。
●だから“戦争クリエイター”たちはそうならないように、マスコミや、公的な教育の場などに多額の資金を注ぎ込み、自分たちにとって都合のいい情報をいろいろな形で流し、それらの情報を受け取った人々が、真相を疑ったり自分の頭で考えることなく鵜呑みにするように仕向ける取り組みを、精力的にやり続けてきました。
例えば、マスメディアで流布される「広告」も、「考えない買物」をさせるのにとても役立ちます。
私は旅に出る前、東京の大きな広告代理店で働いていたので、その一端をありありと知ることができました。
コマーシャルでは、イイコトしか言えません。15秒、30秒の間に覚えやすいメッセージや商品名をまとめ、それを1日に何度も流し、そのために何億円ものお金が投じられています。
聞いていないつもりでも、音は人の感覚にすり込まれ、記憶されます。耳や目に記憶されたものには親しみが湧くから、なんとなくいいような気がして、深く考えたり吟味するほどの金額でなければ、ほとんどの場合気軽な気持ちで買い求めるのです。
たとえ、その原料が遠い国々の粗悪な労働条件のもとで奴隷のように働かされている人々によって作られたものであっても、石油原料でつくられた化学物質が、信じられないようなズサンなやり方でタップリ添加されていようとも、そんなことは、その生産現場で働いたことがある人以外は、その商品を販売している会社の人ですら想像する余地もありません。
「便利・安い・おいしい」という与えられた宣伝文句を丸呑みにして、私たちは「お金」という社会エネルギーの一票を、訪れたこともない企業の会ったこともない人々の働きに対して投じてしまう。それが、今のほとんどの「買物」のあり方だと思います。
●そこで肝心なのは、「各現場で働いている人々には悪気がない」ということです。
私もそうでしたが、自分に与えられた目の前の仕事を精一杯やっているだけ。
原料調達から始まるその商品の背景やストーリーをじかに取材して、本当に納得したものだけをオススメする、という作り方をしている広告なんて、少なくとも大きな広告代理店ではつくられません。
自分が食べないもの・使わないもの・よく知らないものも、ほとんどの広告の作り手は平気で宣伝します。
コマーシャルに出てくるタレントも同じ。みんな「お芝居」。でも、それでヨシとされていて、それが「当たり前」になっています。
そんな虚ろな「当たり前」の効果で、劣悪な労働条件のもとで資源が「大量採取」され、無数の巨大な工場が稼動して「大量生産」が行われ、24時間ひっきりなしに各地に「大量運搬」され、ありとあらゆる店で「大量販売」され、そこに訪れた「大量の消費者」たちが「大量購買」し、その後「大量廃棄」される。
一人一人の力は小さくても、みんながやっていることを合わせれば、「大量」の行為になり、その全ての工程に必要な「資源・エネルギー」を牛耳っている企業は、このしくみが進めば進むほど儲かるのです。
●一生のうちに膨大な買物をし、電気をはじめ、あらゆる商品に姿を買えた世界中の資源を「消費」している日本。
そこに暮らす私たちが精神的にも物理的にも「自立」することは、世界を大きく変えることにつながる。私は心からそう思っています。
●以下は、猫塚医師が、最後に見せてくれたスライドです。
「今、パレスチナを攻撃し大虐殺を繰り広げているイスラエルが公言している大義名分は、“自衛のための戦い”です。
日本も今、それを大儀とした政治と法が推し進められている。
決して他人事ではないのです」
日本は森林資源も多く、水も豊かで人材も豊富。
日本人は基本的に器用で賢く、しかも、マスメディアを信じる人が7割以上というデータがあるほど、コントロールされやすい。
“戦争クリエイター”たちにしてみれば、今までマスコミ・政府・企業にコントロールされ慣れてきた“勤勉で従順な日本人”を、自前の能力や力量に気づかないように操作しつづけ、戦争に加担する生活と労働をさせつづけることなど、たやすいことだと思います。
以前味わった戦争の悲惨さや苦しみを経験していない世代が大半となった今の日本は、“戦争クリエイター”たちに再び狙われやすい条件がバッチリ揃っているように、私には思えます。
でも、だからこそ、パレスチナとイスラエル、または、原発事故がもたらしている日本人同士の断絶など、各所で起こっている対立や戦争に学び、その構造と根本にある「争いの原因」を解きほぐし、「海外からの資源を買い続ける生活」から、「地元と自分の資源」を活用する生活に、今すぐ変えてゆく必要があると思うのです。
●私が尊敬してやまない工業デザイナー、故・秋岡芳夫氏は、すばらしい言葉を遺してくれました。
「消費者をやめて、愛用者になろう」
それを胸に響かせるだけで、変わっていくものがあるように思えてなりません。
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