富山に魅了された気象予報士

ブログ引越し中です。

21年ぶり埼玉県光化学スモッグ警報発令!

2005-09-02 | 気象、地震
 2日午後に埼玉県は、県南東部(春日部市など)、南中部(さいたま市など)、北東部(幸手市など)の3地域に光化学スモッグ警報を発令しました。午後5時20分には全て解除されたのですが、小中学校3校で、児童・生徒約400人が、喉の痛みや咳などの被害を訴えたそうです。
 埼玉県で光化学スモッグ警報が発令されたのは21年ぶりですが、当時私が小学3~4年生の頃は毎日のように午後になると光化学スモッグ警報、注意報が発令されていたのを覚えています!


【光化学スモッグ】自動車や工場などから排出される大気中の窒素酸化物や炭化水素(特に不飽和炭化水素)が太陽光線(紫外線)を受けて、光化学反応により二次的汚染物質を生成することにより発生します。
 二次的汚染物質としては、オゾン、パーオキシアシルナイトレート(PAN)及び二酸化窒素等の酸化性物質、ホルムアルデヒド、アクロレイン等の還元性物質があるんですが、ほとんどがオゾンです。なお光化学反応により生成される酸化性物質のうち、二酸化窒素を除いたものを「光化学オキシダント」と呼んでいます。

【オキシダントが高濃度になる条件】
①気温: 日最高気温が25℃以上
②日照時間:9~15時の間に2.5時間以上の日照があること
③海風:東京湾及び相模湾からの海風の進入があること
④安定度:安定であること(館野高層気象台9時の状態曲線0~1000mの気温差が7℃以下)
⑤上空の風:館野高層気象台9時の状態曲線で、1000m以下の風が南よりの風でないこと
⑥天気図:夏型の気圧配置(鯨の尾型)、移動性高気圧又は低気圧や前線の間で気圧傾度が緩い場合
   



05 夏の気象 (7月30日赤城山3時間雨量199mm、8月12日寄居時間102mm)

2005-09-02 | 気象、地震
 今年は、一日夏の強い陽射しが照りつける日は少なく、ジメジメして蒸し暑く、雲の多い天気が多かった気がします。南から暖かく湿った空気が流れ込みやすい状態が続き、ときには、日本列島を大回りして、日本海方面から暖かく湿った空気が流れ込んでくる場合もありました。
 
 近年はコンピュータ技術の進歩により、パソコンの画面を見ているだけで、ある程度は天気予報はできる環境となっています。これでは将来的にはコンピュータに任せて、私たち気象予報士はいらなくなってしまいます。だから、コンピュータには出来ないこと、空を見たり、季節の移り変わりを教えてくれる植物や動物の変化にも注目しています!(天気のネタなども、ネットなどで調べることが多いのですが、それが正しい情報なのか?時間があれば、実際に体験するようにしています!)
 
 自然に触れるようにしていたら、今年の夏は相当温位345K(非常に暖かく湿った空気で、集中豪雨が発生する可能性があることを示します)を肌で感じようになりました。7月30日と8月12日なんですが、この2日は湿り具合が尋常ではなかったのを覚えています。空気が上昇さえすれば大雨になると直感しました!

 7月30日は非常に湿った空気が流れ込んでいる状態(相当温位345K程度)で、関東地方は全般に南風が吹きあげました。その結果、群馬県赤城山で30日21時~24時の3時間総雨量が199mmを観測しました。(今年の梅雨に鴻巣で降った雨量が225mmですから、それと同じくらいの雨がたった3時間で降ったことになります!)

 8月12日も非常に湿った空気が流れ込んでいるところに、上空の気圧の谷が接近して、また、鹿島灘、東京湾、相模湾から内陸部に吹き込む風が、ちょうど埼玉県北西部で合流したため、雨雲が発達して、埼玉県寄居では20時20分までの1時間に103mmの猛烈な雨を観測しました。

写真:アメダス(寄居地点)