逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

時津風部屋リンチ殺人事件と犬山署

2008年02月08日 | スポーツ・文化


『財団法人日本相撲協会は、力士と親方という社員を抱える会社』

大相撲は、収益面での安定感は、目を見張るものがある。
日本相撲協会の2006年度の収入は129億円。対して支出は122億円で、差し引き7億円の黒字となっている。7年度も6億円の黒字になる計画で、経営の安定感は横綱級。
ボクシングなどほかの格闘技の場合、選手はそれぞれジムに所属し、ジムは競技団体から独立して、練習費やファイトマネーなどで経営を成り立たせている。
ところが相撲の場合、親方・力士にとどまらず、行司や呼び出し、床山までか相撲部屋に所属し、その給料から育成費まですべての費用を協会が負担する仕組みになっている。

今まで、元時津風親方が逮捕されるまでの北の海理事長は、『稽古は部屋独自に行われており相撲協会(理事会)は関係ない』との趣旨の発言を繰り返して、自身の責任問題に、知らんふりを押し通していた。
しかし実態として、ボクシングのコミッショナーなどとは大きく違う。
相撲協会全体に対して強大な権限を持っている最高責任者としての理事等の責任は免れないはずだ。
しかし記者会見において、『相撲協会としての責任』や『申しわけありませんなどの謝罪の言葉』などの言葉が一切無かった。
このような無自覚、無責任体質の北の海理事長を4選した相撲協会や理事会全体の体質も問題で、其れこそ日本の相撲の品格が問われている。


『犯罪を隠蔽する地元警察署と医者』

今回の集団リンチ死事件での被害者は入門2ヶ月目の(時太山本名・斉藤俊さん)17歳の少年。
対して傷害致死(三年以上の懲役刑)容疑で逮捕されたのは元時津風親方57歳と主導的に暴行した兄弟子3人(22歳、24歳、25歳)など成人した立派な大人。
大人になっていない格闘技の素人の子供を、プロの大人達が寄ってたかって集団リンチする様は、石原慎太郎が絶賛する戸塚ヨットスクールの相撲版で、浅ましい鬼畜の所業である。

平成になってからでも、相撲協会で12人の死亡者が出ている。
明らかな暴行の痕があったにも拘らず、最初に検視した医院では、心不全(病死)として処理していた今回のケースを考えると、今までの病死の中に本当に『集団暴行死』は無かったのか。?
今回の事件でも関係者が口裏あわせをして、事件をもみ消そうとした形跡が在る。

相撲部屋後援会員で集団暴行事件目撃者のN氏は、詳しい事情を警察に届けているにもかかわらず、犬山署も「事件性」を最初から否定していた。
犬山署が「リンチ死事件」を無かったこととして有耶無耶に隠蔽しようとした形跡が在る。

地元の医師も、地元の警察署長も、旦那さんとして、地元に稽古場を設けた時津風部屋の親方衆も、一緒にちゃんこ料理を食べる間柄で(困った時には助け合う)旧知の仲。
昔の西部劇に出てきた、田舎町の悪ボスと其れに癒着する悪徳保安官の話に酷似している。

今回の教訓は、事件関係者(犯人)と、検視をする医者と、捜査を担当する地元警察が癒着して談合すれば、恐ろしい事に、ほとんどすべての事件が、もみ消される可能性が在ることを証明している。
こんな不正事がまかりとおるような愛知県は、本当の都会と言えるのでしょうか。?
本当の中身は、?実は愛知は大きな田舎にしかすぎないのではないかとの疑問が浮上する。


『地元紙(メディア)と地元有力者との距離の近さ』

都会と田舎の違いとは。?都会の概念は、人口密度とか人口の多さで決るが、都会人と田舎者の差は情報量とその範囲でおおよそ決る。
情報の質と量で都会人が決るとすれば、田舎に住む都会人も、都会に住む田舎者もいることになり、東京の真ん中に住んでいても、自分の住処の周辺以外に関心の無い人物は田舎者と呼んでも差し支えないであろう。

田舎者は自分と関係する極狭い範囲の情報には貪欲だが、関係の薄い問題には比較的に興味が向かない。
其れで都会では全国紙が、田舎では地元紙が購読される傾向が在る。
ちなみに、東京は地元紙の東京新聞5%、埼玉は地元埼玉新聞6%、神奈川では神奈川新聞6%でそれ以外は全国紙。
関西は京都の地元紙京都新聞が41%と高いが、それ以外は6%~26%の間で、大阪には地元紙そのものがなく0%。
まあ、しかし、産経新聞は全国紙ではなく、大阪の『地元有力地方紙』であるとの説もあるようです。(産経の夕刊は大阪周辺のみ発行している)
次に低いのが九州の福岡で地元紙西日本新聞が32%である。

逆に地元紙が80%以上なのが沖縄、徳島、鳥取等で、大都市圏を除く日本のほとんどの県で50%~80%も、全国紙ではなく地方紙が読まれている。
日本人の常識とは逆に、普通、みんなが読んでいると思っている『全国紙が読まれている』のは、都会に限った特殊な現象になっている。

しかし何事にも例外が。

東京・大阪の大都市圏は、全国紙(朝日・読売・毎日・産経)が普及してが、名古屋都市圏(愛知・岐阜・三重)の東海3県において、中日新聞の世帯到達率は他紙を寄せつけないレベルに達している。

その数値は、愛知県内では80.7%、岐阜県では74.9%、そして三重県では63.3%と、圧倒的とも言える強さである(2001年3月調査)。また、一世帯における平均回読人数は約3人。しかも個人個人に読まれている。
したがって、名古屋都市圏の住民は、中日新聞1紙に洗脳されている状態である。このことから、名古屋は三大都市圏の一つにかかわらず、閉鎖的な体質である要因となっている。


『守るべき大相撲の伝統は何か?』

今大勢いる大関陣の不甲斐なさは目を覆うばかりの酷さ。勝負に拘る朝青竜の爪の垢でも飲ませたいと思うのは私一人では在るまい。
大関陣の不調の原因の大半は体の故障にある。
故障の原因は年6場所の過密スケジュールであることは論をまたない。体を十分に治さないで場所に出てきて余計に悪くする。

大相撲改革の第一歩は地方場所の廃止。
大相撲を見たければ、東京の国技館に足を運ぶのがモノの筋道。限られた場所で見れるから希少価値も出てくる。本物を本場で見るのが本当のファンであろう。

廃止の最有力候補は名古屋場所。年5場所にするだけでも、力士の負担は随分違う。
今回の事件で露呈したように、名古屋は都会とは呼べない。
名古屋場所を、本場所ではなく定期的地方巡業の一つに格下げして、力士の負担を少しでも軽くする努力こそ一番肝心ではないでしょうか。
相撲の宝は力士。リンチであれ故障であれ、目先の利益の為に、力士の寿命を縮める行為はあまりにも愚かしい。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 橋下現象=赤木君現象=不適... | トップ | 人は見た目が9割「メラビア... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そういえば (Luxemburg)
2008-02-08 19:41:02
むかし北天有の弟がものすごい目に逢いましたが、事件の当事者はいまだに相撲協会の権力者をやっているようで、こういうスポーツを国技と呼んでいるのかと思うとちょっと情けなくなります。
 確かに場所数を少なくするのは必要だと思います。相撲取りが短命なのも体型から来るもので仕方のない面があるかもしれませんが、多少なりとも彼らの寿命が延びるかもしれません。
返信する
産経新聞は大阪の商人の新聞です(笑) (kaetzchen)
2008-02-08 23:02:57
ついでに言うと,朝日新聞は大阪の役人の新聞です.人事情報が非常に詳しいから.毎日新聞はそれ以外の大阪の庶民の新聞です.

名古屋に関しては中日と東京中日スポーツが圧倒的に強い.しかも,もともと夕刊を読む人間がいないから,名古屋タイムズという名古屋の経済紙は潰れたとの話.中日新聞も夕刊は全んど読まれていません.また,読売新聞は一度500円という目茶苦茶なダンピングをしたせいで,公取から販売店そのものの追放にあい,地下鉄や名鉄やJRの売店でしか入手できません(笑) そして知識人や工場経営者は朝日新聞を朝刊夕刊アエラ3セットで買うというと,あるメーカーの偉いさんから聴きました.
返信する
Luxemburgの主張に反対しているわけでは (ブログ主)
2008-02-09 14:12:45

先ず最初に、
「全国紙を取るな」に反対している訳ではないんですよ。
東京の周辺では全国紙より、地方紙の方が少しはまし。これは確か。
ただ、地方では話が逆転する。
例えば長野県.羽田元首相系列の地元地方紙が連日田中康夫知事の悪口を書く続ける中で、選挙戦が行われていた。そして地元民のほとんどは地方紙を読んでいる。これでは田中康夫が落選して当たり前ですね。



産経新聞は大阪の商人の新聞とはkaetzchenさん大阪商人をからかっていますね。(笑)

産経は購読していないが機会があれば、参考の為に熱心に読んでいます。
産経だけにあって他紙に無い特徴を見つけました。就職欄が特に面白い。
パチンコ屋従業員とか、建築現場とか、運転手の欄が特別に在る。特に面白いのがパチンコ屋の募集の内容で、夫婦社員の文字が在る。(サラ金などに追われている若いカップルが住み込みで働くらしい)
産経新聞は、日本の底辺、最下層の人達の新聞ですね。





一昔前は、しごきで死んだといえば大学山岳部の話だった。
もっと昔は、私的制裁で有名な旧日本軍の話。
今回は、相撲部屋。

共通点は、
1)死ぬのが新人であること。
2)組織の拘束時間が24時間であること。
3)組織が『美しい伝統』とか『輝かしい歴史』とか、やたらと『歴史』や『伝統』を強調するところ。
などの同じような傾向があるようです。

1)は、先輩(コーチ)の力量不足を如実に物語っている。
2)は、やはり逃げ場が無かったことが最悪の結果を招いている。
3)は、そもそも、その組織が主張している美しい伝統や輝かしい歴史に、根本的に問題がある可能性が在る。

相撲協会は新人教育を、今までのような相撲部屋単位で行うのではなく、協会として一定期間責任を持って行うような体制にしないと、時間がたてば、今後も懲りずに繰り返される恐れが在る。
北の海理事等は、この問題でとうとう最後まで謝りませんでした。
若い横綱の品格云々を主張するなら、その前に、づっと年長の「理事長」の品格が問われるべきです。

返信する
サンケイスポーツはその上を行ってますよ(笑) (kaetzchen)
2008-02-09 19:26:43
布引さん,こんにちは.

| 産経新聞は、日本の底辺、最下層の人達の新聞ですね。

はははは,だから「最下層の」経営者たちの新聞だとも言えるんですよ.とにかく使い捨てができる,組合など作りそうもないアホな従業員が欲しければ,産経に求人広告を載せるんです.

産経の唯一まともな欄は家庭欄ですね.無料で配っているリビング紙と提携して,主婦層に受ける紙面を作っています.合コンで一度だけつきあった某女子大の子が珍しく産経を取ってて,夜明けのコーヒータイムにイデオロギーで取ってるのかと尋ねたら,日本の良き妻・良き母になるために取っているのですと言われて,あごがはずれた(笑) それ以来,逃げ回るのに苦労しました.(^^;)
返信する
東京新聞が面白いのは (kaetzchen)
2008-02-09 19:47:02
実態の本社が名古屋城の隣の中日新聞社だということでもあります.関東で売られてる「パスコ」ブランドの食パン・菓子パンも,実は名古屋の敷島パンが本家(笑)

要するに名古屋から見た「東京」のイメージだから,非常に客観的なんですね.

あと,全国紙が地方で売れないのは「ニュースが腐っているから地方新聞に負ける」からですね.北海道新聞や河北新報や東京新聞や中日新聞や京都新聞や神戸新聞や中国新聞や西日本新聞のように「ちびまるこちゃん」が載ってる大規模地方新聞を読めば,ほとんど全国ニュースが網羅されてたりします.

ちなみに全国紙で右上に▲がついていたら,それは夕刊がない「統合版」地域の紙面になりますから,ニュースが腐っています.また,左上に載ってる○版という文字は,そのまま半日ずらすと印刷・梱包・運搬時間になります.例えば夕刊4版だと14時に印刷,15時に配達てな感じ.広島の新幹線ホームで新聞を買った人は,ニュースの古くささに何じゃこれと思ったかも.5版だから前日の17時に閉めきった大阪本社の新聞なのです.小倉の西部本社で刷ればいいのに.
返信する
新聞より早い週刊誌 (ブログ主)
2008-02-10 14:28:33
今回の事件で、毎日発行される新聞よりも、一週間にいっぺんの週刊誌の方が「報道」は早かった。

安倍晋三の統一協会祝電事件でも、週刊誌の方が早かった。
厳密にいうと共産党機関紙赤旗が一ヶ月遅れで、最初に統一協会祝電記事を掲載し、全国紙が追従した。
ただ、新聞紙の紙上に掲載される以前に、週刊誌が記事にすることを公表していたので、タッチの差で週刊誌より早く報道できて新聞の面目がたったらしい。?

なんでもありの週刊誌に比べ、新聞にはタブーが多すぎるんですね。
返信する

コメントを投稿

スポーツ・文化」カテゴリの最新記事