逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

後期高齢者医療制度廃止法

2008年06月11日 | 政治

『野党四党が後期高齢者医療制度廃止法案提出』
民主党、共産党、社民党、国民新党の野党四党が提出した後期高齢者医療制度廃止法案が6月6日の参院本会議で全会一致で可決され、衆院に送付される。
自民、公明両党は採決を欠席。



「老人も痛みを感じろ!」厚労省の「Mr。後期高齢」
日本中の老人から「死ねということか」と怨嗟(えんさ)の声が出ている後期高齢者医療制度。
その制度設計に関わり、「ミスター後期高齢」の異名をとる厚労省国民健康保険課課長補佐の土佐和男氏(55)。



『Mr。後期高齢土佐和男氏語録』

『医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした』
『家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が支援金として負担しなければならないということになると、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある』

『それを抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題』
と、あたかも終末期治療が医療費増大の元凶のよう。
 
年金からの天引きも『確実に保険料を徴収し、財政安定を図る』

『国保はお金が払えない人っていうのは対象にしていない』
と、国民皆保険を否定する。

『地方ではクルマは必需品。滞納したらタイヤをロックしてしまえ』
と、ヤミ金の取り立てと変わらない発想。




『終末期相談(死亡相談)と厚労省』

後期高齢者医療制度の中でも、とりわけ悪評高いのが「終末期相談支援料」だ。
医者は、回復の見込みが薄い患者と“治療”について話し合い、文書に残せば報酬2000円を受け取れる。
患者に自ら、『延命治療はいらない』と言わせるのを奨励した制度である。
まさに“姥捨山”の象徴だ。一体、誰の発案なのか。

『審議会議論誘導しながら責任転嫁』
 
終末期相談支援については、患者団体などが「延命治療の中止を迫られる」と猛反発。
与党内からも『お年寄りに早く死ねということにつながる』と異論が噴出し、廃止も含めて見直す方向で検討され始めている。

厚労省社会保障審議会は完全に厚労省主導で進められ、最初から『終末期医療の在り方についての合意形成を得て、診療報酬を評価する』とあった。
複数の有識者委員から『誰がどう合意するのか』『財源の面だけで判断することではない』と疑問の声が上がっていた。


『厚労省保険局の原徳寿医療課長語録』

『終末期医療は医師に看取られることが絶対条件なのか』
『(合意とは)医師であり患者であり家族であり、そういうことになる』

『75歳以上になると必ず亡くなるわけですから』
『本人から書面で示された終末期医療に診療報酬上の評価を検討する』
として、中医協で具体化される。




『姥捨て山』か、『老老介護』か。

医療保険の赤字解消の為、多少の高齢者の我慢はしょうがないとは自民党や厚生労働省の言い分。
しかし医療保険の赤字は当たり前で、元々儲けるものではない。
年寄りが若者より病気がちなのも当たり前で、年寄りより若年層の方が病気がちなら国が滅びる。
高齢者が増えたのは、今までの日本の医療関係者の努力と国民皆保険の成果で、大喜びすべき目出度い出来事である。
その国が、高齢者の医療費にどれだけ金を使ったかは、その国の国家の品格、国家としての値打ちである。

健康な人も病気の人も若い人も年寄りも入っているから健康保険と呼べる。年齢で区割りする保険など世界中何処にも無い。
健康な40代限定の健康保険を組めば、今の保険料の十分の一でも黒字になる。
80歳代以上限定なら、保険料が十倍以上でも赤字になるのは自明の理。
これでは、日本の医療保険は保険の体をなしていないし、自民党政府の日本国は国家の体をなしていない、言わざるおえない。

この制度は「姥捨て山」との見方も出来るが、75歳以上の高齢者の負担で、75歳以上の病気の高齢者の医療費を賄う制度ですから、健康な高齢者が病気の高齢者の面倒をみる『老老介護』の医療保険版。
『老老介護』は、誰がやっても、本人達がどんなに努力しても、そんなに遠くない、極近い将来に必ず破綻する、恐ろしい宿命を背負っている。
この自民党公明党が考えた高齢者医療制度も間違いなく、同じ運命が待っている。


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2 コメント

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「高齢者死ね死ね制度」 (Runner)
2008-06-13 18:27:41
>その制度設計に関わり、「ミスター後期高齢」の異名をとる厚労省国民健康保険課課長補佐の土佐和男氏(55)。

なぜ、マスコミはこの人物をもっと取り上げないのか。
米国では各法案に関して、誰が作成してどの議員が賛成していてどの議員が反対しているのかわかるようになっています。
法律に作成者の名前を付けて通称したりもしていますね。
我々も見習って、この人物の名前を付けて通称するのもよいでしょう。

そういえば、「ネーミングでごまかせばよい」と考えたのか、「長寿医療制度」とか言い出していますね。
反省するどころか、ふざけています。これは誰のしわざなのか。
ならば、我々は「高齢者死ね死ね制度」とか呼びましょうか。
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終末期医療=後期高齢者医療 (ブログ主)
2008-06-14 09:36:11
>法律に作成者の名前を付けて通称したりもしていますね。
我々も見習って、この人物の名前を付けて通称するのもよいでしょう。

実に良いアイデアです。!!
長寿医療制度では無く『小泉純一郎医療制度』の方が良い。
2年前の厚労大臣の名前を付けるも良いが、・・・・・名前が出てこない。調べたら川崎 二郎だったので川崎二郎医療制度ですね。
(今ならさしずめ『枡添医療制度』。枡添要一はビビリまくるでしょう)
政治家の真価が問われますね。政治家のモチベーションが上がること請け合い。


制度設計に関わった厚労省の高級官僚の発想の根幹部分は、ある種の哲学?(宗教?)の究極的極北の世界観を顕わにしていて、怖いです。

A)75歳以上で病気になると、ほとんどが治らず、長期化する。
B)長期化した75歳以上の病人は、ほとんどが寝たきりになる。
C)75歳以上の高齢者は、いずれ必ず死ぬ。

D)解決策として、75歳以上を、他から切り離し、別枠で管理運営していく。

Runnerさん。この高級官僚氏は決して偽科学の類いや嘘はついては居ない。
その逆でA)もB)もC)も単に科学的真実、客観的事実を言ったに過ぎない。
何れ必ず死ぬ者に、手間や金を使うのは、無駄であるとする考えD)も、一見もっともで科学的です。
自然科学的には、全く正しいんですよ。20世紀前半に欧米世界を席捲した『優生学』の老人医療保険版です。
この考え方をもう少し進めると、治らない難病や重度の障害者を隔離して別枠で管理して無駄を省く方法(優生学ですね)と、同一なやり方に向かうでしょう。

自然科学では正しくとも、しかし社会科学では、完全に間違っている狂気の行為で、悪魔の所業です。
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