松本さんのところでも紹介されている「権利ばかり主張して義務を果たさない無能人」という炎上したブログ記事(現在はもう削除されている)であるが、改めて雇用者の意味不明な思考回路を明らかにしたといっていいだろう。
ブログ主はベンチャー企業の経営者のようで評判が非常に悪く、社員にちゃんとした待遇を与えているようにはとても思えない企業の経営者である。失業者や派遣社員に対する批判の時にも見られたが、その人たちがどれだけの待遇を受けているか、特権によって恩恵を受けているのかを考えずに、ひたすら自己責任の下に相手を批判する。それでいて、正社員のような特権階級に対しては信じがたいほどに寛容である。そのような、差別的な思考回路による自己満足記事であったのだろう。
きっとブログ主は、ベンチャー企業の経営者であるために自分が偉いと思っていて、それに奴隷として従うべき社員の中にひたすら働き続けることを受け入れない人間が存在することが許せなかったのだろう。大企業の経営者や労働組合の思考回路と同じで、自分達とそのしもべ達を身分によって差別し、自分達に対してはひたすら甘く、奴隷達に対しては徹底的に厳しい日頃の思考方法がつい出てしまって、それが炎上の原因に成ってしまったのだろう。
高い待遇を約束すれば優れた成果を期待でき、高い待遇を得ていれば優れた成果を上げることが求められるという当然の原理を無視して、自分の考えた勝手な区分に従って物事を判断する。結局は自分に対してはひたすら甘い基準を、他人に対しては徹底的に厳しい基準を適用する。そのような無責任な責任論によっては、健全な社会は訪れないだろう。