車輪を再発見する人のブログ

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GMの繁栄の原点

2009年06月05日 | 経済一般

ゼネラル・モーターズがチャプター11による再建を発表したニュースが今でも色々なところで話題になっている。そこで、ちょうどいい時なのでGMがアメリカで成功したそもそもの原因の一つについて書いてみたい。

自動車工業は現在の大量生産の先駆けの一つであるということはよく言われる。実際そうで、フォードが開発生産し販売したT型フォードこそが大量生産システムによって大量生産された最初の自動車である。大量生産によって自動車の価格を下げることが出来るようになったフォードは、独占的な利益を追求するのではなく値下げによって更なる需要増を生み出そうとし、その方法論が現在に続く大量生産の基礎となった。

このように大量生産するためには、規格化が重要であった。そのためフォードはあらゆるものを規格化し、同じ自動車を大量に生産し、コストを削減しようとした。「黒ならどのような色でもある」というのは、有名な言葉だがフォードの規格大量生産の方法論をよく表している。つまり、アダムスミスのピン生産の例にあるような規格化と大量生産の方法を自動車のような大規模な産業に持ち込むことによってコスト削減を成し遂げたのがフォードが成功した原因だった。

それに対してGMはフォードのような大量生産を維持しつつ多様な色の自動車の提供や、毎年のモデルチェンジを実現することによって成長した。フォードのやり方においては、すべてが規格化され同じものが生産されていたが、GMは工程の最後で塗る色を変えることによって違う色の自動車を提供できることを発見し、製造工程を変えることなく新しいモデルを毎年生産できる方法を構築した。このことによってGMはフォードの大量生産によるメリットと同時に多様な製品を提供することによるメリットを上手くバランスさせ、消費者に提供することに成功した。これがGMがアメリカ最大の企業にまで成長した原因の一つであった。

GMがとったような方法論は、現在においても受け継がれ進歩している。現在では、同じ車台で色々な車を製造することによって全体としてコスト削減が図られている。他の製造業においても、工場の製造ラインの柔軟化によって効率を追求しつつ、品切れのコストを削減し、多品種少量生産の利益を享受できるようにしようとしている。大量生産というと、画一的という主張がよく聞かれるが、現実的にはこのような大量生産のシステムによって提供される商品の種類は劇的に増加しておりこれからもその影響が増していくことになるだろう。

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