文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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このような恐ろしい「司法」の仕組みがあるからこそ、共産党は中国で一党独裁体制を長く維持することができる。

2021年05月14日 08時24分40秒 | 全般

以下は昨日の産経新聞に、「政法委員会」の恐ろしさ、と題して掲載された石平さんの論文からである。
石平さんと私は数年前に紅葉が見頃となった東福寺で遭遇し名刺を交換した事は既述の通り。
石平さんも最澄が定義した「国宝」である。
世界一の中国通であるといっても過言ではないだろう。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
本論文は中国の実態を初めて日本国民に明かしてくれたのである。
このような実態である中国を全く批判しない経済人やマスメディアの酷さについては後述する。 

中国共産党中央政法委員会が短文投稿サイトに投稿した写真付きの短文が国内外で物議を醸している。
それは、新型コロナウイルスの感染が急拡大しているインドを嘲笑するもので、死者を火葬する様子を皮肉な表現で揶揄した。 
感染症による大量死を公然と嘲笑するあまりのひどさに一部の中国人ネットユーザーも非難の声を上げた。
投稿は後に削除されたが、多くの中国国民はこの一件から、「共産党政法委員会」という組織の冷血きと非道さを改めて認識できたのではないか。 
共産党中央委員会の直属機構である「中央政法委員会」は全国の公安・司法を統括する党組織である。
現在の政法委員会の構成メンバーの顔ぶれを見れば、この党組織の異様な性格と権力の絶大さがすぐに分かる。
委員会トップの書記となっているのは郭声琨共産党政治局委員である。 
彼の下で委員会の副書記を務めているのは現役の公安部長だ。
そして、この2人の下ではさらに、最高人民法院 (最高裁)の院長、最高人民検察院(最高検)の検察長らがヒラの政法委員として名を連ねている。
つまり、中央政法委員会という組織において、トップとして君臨している共産党政治局委員の下で警察トップの公安部長や、日本でいう最高裁と最高検のトップが皆、この部下として仕事をしているのである。 
三権分立・司法独立の民主主義国家ではありえない話であるが、一党独裁の中国ではそれが現実だ。
警察も検察も裁判所も全部、共産党という一政党の下部組織となっていて、党によって動かされているのである。 
このことによって、どのような恐ろしいことが起きるのか。
一つの例え話をすれば一目瞭然であろう。
例えば共産党政治局、あるいは共産党指導者の誰かが、A氏という国民を殺そうとしている。
この殺人意思は直ちに、政法委員会からの命令となり、公安部の警察組織に伝わる。
警察は直ちに、命令された通りにA氏を逮捕する。
次は検察の出番だ。
検察はまた、政法委員会から命令された通りにA氏を起訴して死刑を求刑する。
裁判になると、法院(裁判所)自体が政法委員会の支配下にあるから、裁判官は当然、命令の通りにA氏に死刑判決を言い渡すのである。 
つまり、共産党指導部が国民の誰かの命を奪おうと決めたその瞬間から、政法委員会の統一指揮下で警察と検察と裁判所は文字通りに一丸となってこの「殺人命令」を迅速、かつ円滑に遂行することができるのである。 
それが、中国における「司法」の実態である。
共産党はこれをもって国民からは人権と自由だけでなく、国民の生存権そのものを奪って自らの支配下においている。
一般国民は「司法の公正」を望むことなどできない。
生きていくためには共産党の支配に服従する以外にないのだ。 
このような恐ろしい「司法」の仕組みがあるからこそ、共産党は中国で一党独裁体制を長く維持することができる。
共産党の「私兵部隊」である人民解放軍は一党独裁維持のもう一つの柱である。
共産党自身の表現からすれば、彼らは警察・司法という名の「剣」と解放軍という名の「銃」を両手に握っているわけである。 
一党独裁は結局、「剣」と「銃」という2つの暴力装置によって保たれている。
このような独裁政権の存続は中国国民にとっての不幸以外の何ものでもない。
中共政権はその暗黒支配の範囲を周辺の民族や国々へと拡大しようとしているから彼らの暴虐から自由世界をどう守っていくのかが最重要課題となる。

 

 

 


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