文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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多種多様な人物が登場しているが…いわゆる著名大学 (旧帝大など)医学部教授がほとんどいない

2021年04月18日 08時20分56秒 | 全般

以下は、古典個展、と題して産経新聞一面に掲載されている大阪大名誉教授加地伸行の論文からである。
為政者は批判を避けるな
新型コロナ禍の日々、老注、家に籠ったまま、新聞は隅々まで読むわ、テレビも相当に見るわ、という受け身ばかりの日々。
その中で、コロナ禍状況に関して起こった疑問のいくつかを述べてみたい。 
第一点、医学関係について。
文系の老生はもとより何も知らない。
それだけに、かえって強く思うことがある。
それはコロナ禍に関しての説明や解釈や対策等々について弁じている医学関係者の肩書である。
多種多様な人物が登場しているが、老生の見る限り、いわゆる著名大学 (旧帝大など)医学部教授がほとんどいない。
これは、何を意味するのか。 
医学部の構成は、伝統的に議座制である。
旧帝大などは講座制であったが、現在の大学は次第に科目制に移りつつある。讚座制とは、講座それぞれが専門別に独立している構成となっている。
いわば講座それぞれが独立国家の状態。
科目制とは、専門の独立性がなく、学部内の人事は、必要に応じて変動する。いわば諸教員の寄り合い所帯。 
すなわち科目制の大学(戦後に生まれた大半の大学系)は、教授の権力が小さい。
講座制大学(旧帝大系など)は、教授の権力が大きい。
わけても医学部教授のそれは絶大。
だからこそ〈白い巨塔〉となるのである。 
ところが、今回のコロナ禍に対して、著名大学医学部教授の多くは沈黙を貫いている。
なぜなのか。
感染症(コロナなど)研究の講座はないのだろうか。
あるいは、強大な権力を持つ教授なる者は、メディア等で軽々にコメントなどしない、という態度なのか。 
第二点。
新聞・テレビに登場する医師(多くは旧制大学関係外)が、われわれ一般人に対して、コロナ対策を述べている。 
こうだ、マスクを着けよ。人混みを避けよ。健康体操をせよ。
それは、風邪予防の心得ではないか。
そんなこと皆知っている。にもかかわらず、大まじめに言っているところを見ると、こう思う。
まだ対コロナの的確な方法はないのだと。 
となると、これまで、感染症について、どういう研究成果を出してきたのだと問いたい。 
第三点。
コロナ禍に昨る失業者が増えたという。そこで政府等は補助金を出すという。 当分はそれでいい。
しかし、政府は就職斡旋をすべきである。
テレビ取材で見る限り、元気そうな人々だからである。
人手不足で困っている諸産業に対して全国規模で政府が斡旋すればよい。
緊急事態なのであるから、就職希望者もそれに応じるべきである。
昨日は板前、明日は草刈り、それでいいではないか。
取りあえずならば。それがいやというのならば、自力で生きることだ。
という調子で世に対して文旬をつけてゆくと、果てしなくなるであろう。
しかし、為政者は批判を避けてはならない。
人々の在り方の真相をしっかり見据えることである。 
『論語』衛霊公に日く、衆 [が]之(或ること)を悪(にく)むも、必ず〔その真相を〕察し、衆之を好むも、必ず察せよ、と。 
(かじ のぶゆき)


 


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