文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

半導体をつくる際に電子系の設計作業を自動化、支援するEDAの技術を持つ大企業が世界に4社ありますが、そのうち3社はアメリカで、1社は日本。

2020年07月08日 16時47分35秒 | 全般

以下は前章の続きである。
やまぬ技術流出
孫 
先日、アメリカ商務省が自国の安全保障上における脅威となる企業リストにファーウェイと関連会社である114社を登録し、今年9月からの禁輸措置の強化を発表しました。
これまではアメリカ製品を直接輸出したり、他国経由で輸出したりする場合が規制対象でしたが、今回からアメリカ企業の生産技術や生産機器を用いて海外で生産された半導体なども新たに禁輸対象に追加されます。
深田 
アメリカの制裁を逃れるために、技術者を移転しながら他国から軍事技術を盗み続けてきた。
モノが動くと足が付きますから。ここ最近はアメリカの制裁が強化されたから、このような動きをより一層加速させるはずです。 
事実、ここ1年ほどで日本の半導体企業は4社ほど、中国と深い関わりを持つ台湾企業に次々に買収されています。
その技術が制裁逃れとして、そのまま台湾から中国へわたる可能性がかなり高いと考えた方がいい。
そうなると、いくらアメリカが中国に制裁を科しても、日本が抜け道になってしまう。
これではアメリカの信用も失いかねません。
孫 
半導体をつくる際に電子系の設計作業を自動化、支援するEDAの技術を持つ大企業が世界に4社ありますが、そのうち3社はアメリカで、1社は日本。
もし日本が抜け道なら、この技術もいずれは中国にわたることになる。
深田 
2019年末には大量破壊兵器や兵器関連技術の拡散防止を目的とした「ワッセナーアレンジメント」が改訂され、その対象に半導体製造装殼や技術も加えられ、半導体技術は日本から中国へは売れなくなったはずです。 
ところが、まだ売れ行きが落ちておらず、出荷が続いている。
運用側が追い付いていないのか、実情は分かりません。
孫 
中国における最大の抜け道は、台湾の大手企業である「TSMC」(台積電)です。
世界各国から半導体部品を受け取り、組み立てた後にファーウェイに流している。 
ですが、このTSMCもアメリカの生産技術を利用しているので、今度の追加制裁の対象になります。
トランプ大統領は大統領選に向けて、9月から本気で「ファーウェイ潰し」に動き出す気では?  
深田 
ファーウェイを潰すためには、必ずTSMCを制御することが必要になってきます。 
その他にも、ファーウェイの基地局に配備されているサーバー製品には「インテル」と「ザイリンクス」が製造する特殊なチップが使用されていますが、いまだにザイリンクスはファーウェイに製品を供給している可能性がある。
アメリカは関係者を呼び出して聞き取り調査を行っていますが、ザイリンクスもファーウェイが大口顧客です。
表向きには売っていないと言っても、製造過程で不良品と分類した良品チップを横流ししている可能性は大いにあります。
事実、ザイリンクスはチップの不良品は全部回収できていないどころか、そこまで追っていないと。
孫 
なんと無責任な……。
深田
この前、富士通の関係者に話を聞いたら、台湾の企業に半導体チップを焼いてもらったら、納品されたのは3割で、7割が不良品として納品されなかったとか。
孫 
そんなことありますかね(笑)。
本当だとしても、企業として問題がありますよ。 
またファーウェイは他国の企業との合弁会社も含めて多くの子会社を設立し、自社と関係ないように見せながら、事実上の支配下においている。
中には架空の会社もあります。
深田 
なので、これまでファーウェイを取り締まる際は、国防権限法で名前を明記した上で、何十社とある関連企業を「エンティティリスト」にしていましたが、今では社名を公表してしまうと、それを逆手にとって違う名前の子会社をすぐにつくってしまう。 
そのようにして、これまで数々の制裁を逃れてきたわけなので、今回の禁輸強化はファーウェイやTSMCにとってそれなりに影響があるはずです。
この稿続く。


最新の画像もっと見る