2020年5月1日、トランプ大統領は米国送電網に関する国家非常事態を宣言し、中国共産党主導の「グローバル・スーパーグリッド」構想による米電力インフラ浸透を阻止した。
Huawei関連企業を通じたメキシコ・カナダ経由の侵入計画、孫正義や郭台銘ら有力経営者の関与、そして米国・メキシコ両国が同時に取った対応までを詳細に追う。
この事例は、電力網が単なるエネルギーインフラではなく、通信・監視ネットワークとして国家安全保障の最前線に位置づけられることを示している。
◎ パンデミックの裏で進行していた国家安全保障危機
COVID-19の混乱の中、米国の国家安全保障を揺るがす「送電網浸透計画」が水面下で進行していた。
米国では既に国防権限法によりHuawei製品の通信インフラ利用が禁止されていたが、Huaweiは企業グループや提携先を介し、名称や形態を変えて侵入を試みていた。
Huaweiは中国共産党の「グローバル・スーパーグリッド」構想に参加し、スマートグリッドを国際的に接続する巨大送電網計画を推進。
送電網は通信インフラの一部となるため、エネルギー事業の名を借りた監視・データ収集ネットワークとして機能する危険性を持つ。
すでに中国は韓国・ロシアと合意を結び、米国本土への浸透を狙っていた。
◎ フロント企業を使った北米侵入計画
Huaweiはメキシコ中部の太陽光発電事業にフロント企業を通じて参入し、メキシコ国家電力網を経由してテキサスへ侵入を試みた。
さらにカナダの送電網を米ウィスコンシン州の特定工場に接続し、家庭用スマートメーターから電力データを収集・解析する計画も進めていた。
しかし、2020年5月1日、トランプ大統領が「送電網に関する国家非常事態」を宣言し、外国勢力の管理下にある製品を一部禁止する大統領令を発出。
この一手で計画は頓挫した。
◎ メキシコの同時対応と国際的影響
同日、メキシコの国家エネルギー管理センター(CENACE)も国内最大規模の太陽光発電プロジェクトの試運転を禁止。
表向きは「COVID-19下での電力供給の安定確保」が理由とされたが、実際には米国送電網への中国の浸透計画が直前に発覚したことが背景にあった。
◎ 中国主導組織「GEIDCO」と米政権内の警戒
この計画の背後には、中国国家電網公司トップの劉振亜が率いる「グローバルエネルギーインターコネクション開発協力機構(GEIDCO)」が存在。
副主席には孫正義(ソフトバンク)と、オバマ政権下でエネルギー長官を務めたスティーブン・チューが名を連ねていた。
特にチュー氏は中国のエネルギー開発に長年関与し、米国内の送電網統合を進める動きが米政府内で強い警戒を招いた。
テキサス・メキシコ間、カナダ・ウィスコンシン間の送電網接続はすでに存在し、そこにGEIDCO関連製品が入り込めば米国全土が外部制御のリスクに晒される。
◎ 孫正義・郭台銘の役割
孫正義と郭台銘(ホンハイ精密工業=Foxconn CEO)はHuawei技術を推進する盟友であり、トランプ政権初期に米国内工場建設をアピールしていた。
ウィスコンシン州のLCD工場計画は実態が不透明なまま進み、敷地の大半が変電施設などのインフラ用地に充てられ、州民負担で送電線が敷設された。
さらにデータセンター建設も発表され、送電インフラとデータ収集の組み合わせは「スーパーグリッド拠点化」を強く示唆していた。
◎ トランプ政権の危機感と決断
米国が通信インフラからHuawei製品を排除する一方で、送電網経由での浸透が進んでいた事実は、米国にとって見落とせない脅威だった。
トランプ大統領は「外国勢力によるインフラテロ」から国民を守るため、迅速に非常事態を宣言。
これにより、孫正義や郭台銘との癒着疑惑を否定すると同時に、米送電網を防衛する意思を国内外に示した。
結論
送電網は21世紀の国家安全保障の中枢であり、エネルギー・通信・データ収集が一体化したインフラは、国家の独立と安全を左右する。
今回の大統領令は、米国が電力インフラを通じた中国の長期戦略に対抗する意思を鮮明に示した事例であり、国際的なインフラ防衛のモデルケースとなる。