UCC 年内にコーヒー農園
ニチレイ 自ら野菜栽培を管理
文中黒字化は芥川。
食品各社が中国で原料調達から最終製品までの一貫生産体制を整える。コーヒー最大手のUCC上島珈琲は年内にも雲南省にコーヒ-豆の自社農園を設立。原料調達を安定させ、5年後に家庭用商品で売上局100億円を目指す。
冷食最大手のニチレイは自ら野菜の栽培を管理した冷凍品を2012年1月から生産する。安全管理を徹底した姿勢をアピールし拡大する中間層を開拓する。
日本のコーヒー企業が中国に自社農園を開設するのは初めて。年間5~10トンの生産を見込む。自社農園に先行して現地の豆を仕入れ、中国のコーヒー大手、徳宏后谷珈琲有限公司(雲南省)に現地向け商品の生産委託を始めた。商品はインスタントコーヒー(14名)が10杯で200円前後と日本国内の商品に比べ安い設定になる。
商品は上海のスーパーなど2000店で販売を始めた。今後、購買力のある中間層が多く住む北京や成都などにも販売網を広げる。5年後には上海にある自社の焙煎(ばいせん)工場に家庭用商品の生産設備の新設を検討する。
雲南省は気候や標高の高さがコーヒー豆の栽培に適しており、中国のコーヒー生産の大半を占める。お茶文化の中国でも国際化に合わせて、コーヒーを飲む人が急増。雲南省では現地メーカーが生産を拡大しているほか、欧米のコーヒー企業も進出を狙っている。
ニチレイは台湾企業と設立した合弁会社を通じて、山東省での冷凍野菜の生産を12年1月に始める。原料は仕入れ先の契約農家に出向き、栽培手法や農薬管理などを指導する。サトイモや小松菜、ブロッコリーなどの野菜を収穫後すぐに工場へ運び込んで、鮮度を保つたまま冷凍加工する。
中国でも食の安全や品質への関心が高い中間層らに売り込む方針。エスビー食品は今春から雲南省の農家から農地を賃借し、ハープの生産を開始。農場では有機日本農林規格(JAS)の認定も取得し、安全性と品質を向上。年内にも中国や東南アジアで販売を始める計画だ。
味の素は日本向けの即席スープの原料を中国で栽培・加工しているが、中国向け商品にも使い始めた。
日本の食品企業が中国で原料の栽培から担うのは、06年にアサヒグループホールディングスが伊藤忠商事などと組み、山東省で野菜などの農業事業を始めた例などで数少ない。
08年に発覚した冷凍毒ギョーザ事件なども影響し、広がらなかったが、原料の現地調達を増やす方が事業コストが低下することから今後増えそうだ。
「日本」ブランド全面に
品質を重視、中間層に的
海外でM&A(合併・買収)攻勢をかけている日本の食品メーカーだが、現時点で中国事業を軌道にのせている例は少ない。市場進出が出遅れた結果、規模の大きい現地メーカーや欧米企業に対して価格競争力が劣るためだ。
このため原料まで踏み込んだビジネスモデルの構築により、品質評価の高い「日本」ブランドを全面に出す戦略を選ぶ企業も増えそうだ。
例えば明治ホールディングスは乳業大手では初めて、中国で温度管理が必要な牛乳の生産を2013年から始める。原乳は現地の生産者と組んで調達。工場での製品検査のほか、原料の品質検査やトレーサビリティー(生産履歴の管理)も徹底する。
ビールメーカーなどは現地企業や商社などと組み中国を開拓するが、量販市場で定着するには時間がかかる。このため中国の所得向上に合わせた品質重視の高級戦略が早道との見方も多い。
中国では消費意欲が旺盛な中間層が増大。米ボストンコンサルティンググループは10年に約3400万世帯だった中間層 (年間可処分所得76万~126万円)が20年には6900万世帯に倍増すると試算する。
08年には粉ミルクに有害物質のメラニンが混入する事件もあり、食に対して安全や品質を求める消費者はさらに増えている。中間層に的を絞った商品開発は今後も進みそうだ。
ニチレイ 自ら野菜栽培を管理
文中黒字化は芥川。
食品各社が中国で原料調達から最終製品までの一貫生産体制を整える。コーヒー最大手のUCC上島珈琲は年内にも雲南省にコーヒ-豆の自社農園を設立。原料調達を安定させ、5年後に家庭用商品で売上局100億円を目指す。
冷食最大手のニチレイは自ら野菜の栽培を管理した冷凍品を2012年1月から生産する。安全管理を徹底した姿勢をアピールし拡大する中間層を開拓する。
日本のコーヒー企業が中国に自社農園を開設するのは初めて。年間5~10トンの生産を見込む。自社農園に先行して現地の豆を仕入れ、中国のコーヒー大手、徳宏后谷珈琲有限公司(雲南省)に現地向け商品の生産委託を始めた。商品はインスタントコーヒー(14名)が10杯で200円前後と日本国内の商品に比べ安い設定になる。
商品は上海のスーパーなど2000店で販売を始めた。今後、購買力のある中間層が多く住む北京や成都などにも販売網を広げる。5年後には上海にある自社の焙煎(ばいせん)工場に家庭用商品の生産設備の新設を検討する。
雲南省は気候や標高の高さがコーヒー豆の栽培に適しており、中国のコーヒー生産の大半を占める。お茶文化の中国でも国際化に合わせて、コーヒーを飲む人が急増。雲南省では現地メーカーが生産を拡大しているほか、欧米のコーヒー企業も進出を狙っている。
ニチレイは台湾企業と設立した合弁会社を通じて、山東省での冷凍野菜の生産を12年1月に始める。原料は仕入れ先の契約農家に出向き、栽培手法や農薬管理などを指導する。サトイモや小松菜、ブロッコリーなどの野菜を収穫後すぐに工場へ運び込んで、鮮度を保つたまま冷凍加工する。
中国でも食の安全や品質への関心が高い中間層らに売り込む方針。エスビー食品は今春から雲南省の農家から農地を賃借し、ハープの生産を開始。農場では有機日本農林規格(JAS)の認定も取得し、安全性と品質を向上。年内にも中国や東南アジアで販売を始める計画だ。
味の素は日本向けの即席スープの原料を中国で栽培・加工しているが、中国向け商品にも使い始めた。
日本の食品企業が中国で原料の栽培から担うのは、06年にアサヒグループホールディングスが伊藤忠商事などと組み、山東省で野菜などの農業事業を始めた例などで数少ない。
08年に発覚した冷凍毒ギョーザ事件なども影響し、広がらなかったが、原料の現地調達を増やす方が事業コストが低下することから今後増えそうだ。
「日本」ブランド全面に
品質を重視、中間層に的
海外でM&A(合併・買収)攻勢をかけている日本の食品メーカーだが、現時点で中国事業を軌道にのせている例は少ない。市場進出が出遅れた結果、規模の大きい現地メーカーや欧米企業に対して価格競争力が劣るためだ。
このため原料まで踏み込んだビジネスモデルの構築により、品質評価の高い「日本」ブランドを全面に出す戦略を選ぶ企業も増えそうだ。
例えば明治ホールディングスは乳業大手では初めて、中国で温度管理が必要な牛乳の生産を2013年から始める。原乳は現地の生産者と組んで調達。工場での製品検査のほか、原料の品質検査やトレーサビリティー(生産履歴の管理)も徹底する。
ビールメーカーなどは現地企業や商社などと組み中国を開拓するが、量販市場で定着するには時間がかかる。このため中国の所得向上に合わせた品質重視の高級戦略が早道との見方も多い。
中国では消費意欲が旺盛な中間層が増大。米ボストンコンサルティンググループは10年に約3400万世帯だった中間層 (年間可処分所得76万~126万円)が20年には6900万世帯に倍増すると試算する。
08年には粉ミルクに有害物質のメラニンが混入する事件もあり、食に対して安全や品質を求める消費者はさらに増えている。中間層に的を絞った商品開発は今後も進みそうだ。