文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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グローバル・サウスって、地球の北に豊かな国が、南に貧しい国が偏っているといわれた「南北問題」の焼き直しですよ

2021年05月11日 21時46分03秒 | 全般

以下は発売中の月刊誌WiLLに『人新世の「資本論」』をメッタ斬り!と題して掲載されている古田博司と朝香豊の対談特集からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
“脱成長“は一人でどうぞ
朝香 
ただ斎藤さんは、より過激で“危険”です。
SDGsでさえ“現代のアヘン”だと言い切っている。
《SDGsはアリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない。 かつて、マルクスは、資本主義の辛い現実が引き起こす苦悩を和らげる「宗教」を「大衆のアヘン」だと批判した。SDGsはまさに現代版「大衆のアヘン」である》

だから人々が自発的に資本主義を捨て、経済成長をあきらめたムラ社会―斉藤さんの言葉でいえば“脱成長コミュニズム”へ移行しなければ、「人新世」は乗り越えられないという。
たとえば電気について、マイクロ水力発電なんかで賄おうと言っています。
古田
そんなもの、実現できるの?
朝香 
70億人が暮らす現代社会でできるわけがありません。
単純計算しても、重油で得られるエネルギー量と、落差40センチのマイクロ水力発電で得られるエネルギー量は約1000万倍も違うんですから。
それとも、少ないエネルギー量で生きていくために、冷暖房はやめろ、テレビなんて見るな、音楽なんて聴かなくていい、鉄道もいらないというんでしょうか。
古田 
未開に戻れと? 流行りの"ソロキャンプ"か(笑)。
朝香 
斎藤さんは、現代人がどれほど豊かなのか理解していません。
わたしたちは江戸時代の大名より、はるかに豊かでしょう。
冷凍技術の進歩で、大名が食べていた刺身よりもスーパーの刺身のほうがおいしいはず。
衣食住には困らないし、海外旅行もできる。音楽や映画も、手のひらのうえで楽しむことができる。
古田 
斎藤さんは、そういう豊かな生活のことを「帝国的な生活様式」と書いていますね。
そしてその生活は“グローバル・サウス”からの搾取で成り立っているという。
グローバル・サウスって、地球の北に豊かな国が、南に貧しい国が偏っているといわれた「南北問題」の焼き直しですよ。
でも朝香さんが説明したように、新興国の生活も底上げされているんですよね。
朝香 
マルクスは「こういう社会が望ましい」と口にしてみても、条件がそろわなければ実現しないという考えでした。
ところが、斎藤さんは現実を完全に無視した雑な理論を展開している。
『人新世―』は“最先端のマルクス研究”といわれますが、大きな違和感を覚えます。
この稿続く。

 


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