文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

財政を健全化するには、消費を喚起し、景気を良くし、税収を増やし、経済規模を大きくしていくことを考えるのが普通だろう。だが、驚くべきことに財務官僚には”税収を増やす=増税する”との発想しかない。

2023年01月07日 13時40分44秒 | 全般

以下は月刊誌Hanada1月号に掲載されていた門田隆将の連載コラムからである。
見出し以外の文中強調は私。
岸田首相と財務省の“亡国コンビ”
「あぁ、やっぱりエリートが日本を滅ぼすのか」-一報を聞いて真っ先に思い浮かべたのは、そのことである。 
11月8日、政府が従来の防衛費に加え、海上保安庁予算や研究開発費、公共インフラ費用を一括計上する予算の枠組み「総合防衛費」なるものを創設する方針を固めたと報じられた。
夏以降、財務省に近い筋から盛んに発信されていたこの方針が、ついにマスコミの報道ベースに乗ったのである。 
国際公約でもある「防衛費を5年間でGDP比2%以上にする」との方針を確保するために総合防衛費と名称を変え、ここにさまざまなものをぶち込んで"水増し"し、実質的な防衛費増は「させない」ということだ。 
岸田文雄政権と財務省による「強い決意」であり、日本の防衛強化に危機感を抱いていた中国が"泣いて喜ぶ"政策といえる。 
周知のように2022年は世界史にも特筆される年となった。
ロシアがウクライナヘの侵略を始め、戦後秩序は崩壊。
中国は台湾統一の方針を堅持し、虎視眈々とその機会を狙い、北朝鮮は狂ったようにミサイル発射を続けている。
そんな状況下の日本が"真水"の防衛費は増やさず、ほかの予算をぶち込んで「目眩ましをしよう」というのである。 
冒頭の言葉は「日本は現場力でもってきた国。エリートによる失策や失敗を現場力で克服してきた」との私の持論に基づく感想だ。
いくら国民が頑張ろうと支配層が決定的な間違いを犯せば「国は滅ぶ」からである。 
よく例に出させてもらうのは「大本営」である。
戦争が始まると必ずできる大本営。
選りすぐりのエリート軍人およそ二百人があらゆる戦闘方針、作戦、戦争指導、後方戦略……等々を話し合い、実施する。 
この中でも更に極めつけのエリート約二十人によって構成されるのが「作戦部」である。
大本営作戦部が立案する作戦は「絶対」であり、戦争の勝敗を決する。
では彼らが立案した作戦はどうだっただろうか。
冷静に分析すれば、作戦はほとんどが失敗し、多くの貴重な人命が失われたのが歴史的事実である。 
なぜ彼らは失敗するのか。
答えは簡単だ。 
自分たちは「特別な存在である」との万能感に満ち、兵たちを駒としか扱わず、生きた人間を動かす意味や本質を理解していないからである。
机上の空論としか思えないような作戦が現場を追い込み、それでも現場の兵たちは奮闘した。
では現代はどうだろうか。先の総合防衛費を見ればわかる。
財務官僚には、財務省設置法第三条により「健全な財政の確保」が職務として義務づけられている。 
財政を健全化するには、消費を喚起し、景気を良くし、税収を増やし、経済規模を大きくしていくことを考えるのが普通だろう。 
だが、驚くべきことに財務官僚には”税収を増やす=増税する”との発想しかない。
つまり、消費に打撃を与え、経済規模を逆に縮小させるのである。
この誤った考え方に取り憑かれ、”ザイム真理教”とまで揶揄されるのが財務省なのだ。 
一般国民から見れば、財務官僚は間違いなくエリートであり、最も多いのが東大法学部出身者で難関の国家上級試験に合格した人々だ。
そのエリートがなぜこんな簡単なこともわからないのか、不思議でならないだろう。 
だが、彼らは幼い時から”秀才クン”として育ち、国家とは何か、国民の命とは何か、自分たちは何を守らなければならないのか……などの根本を考えたことがない人たちである。
これまで通り、ちやほやされ、今後も自分たち特権階級が利益を享受し、幸せな人生を送ることが絶対なのだ。
そのため、例えば「武器弾薬が足らず、日本は継戦能力がたった1、2週間しかない」ことなど”関心もない”のである。 
エリートには左翼思想が多い。
戦後教育(日教組教育)の中で育ち、そこで”いい子”として褒めそやされ、好成績を収めてきた秀才クンたちが東大法学部で憲法学者・宮澤俊義氏の「八月革命説」を勉強し、暗記し、その理論通りの回答を導き出す。
中学生にも笑い飛ばされるような「終戦で日本に革命が起こった」との稚拙な論を疑間もなく記憶するエリートたちが国家試験に通り、「自分は何でもできる」との万能感に浸り、国家観もないまま所属する財務ファミリーの中で既得権益を守り、特別な人生を歩むのである。 
そんなエリート官僚が目の前に迫る中国と対峙し、国家・国民のために抑止力を強化し、日本という国を守っていこうなどと、露ほども思っていないのは当たり前だ。 
国民は、岸田首相と財務省の"亡国コンビ"に敢然と立ち向かう政治家を応援し、自分たちの命は「自分たちで守っていくしかない」のである。

2022/9/25, at Arashiyama



 

 


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