文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

デモ屋のルーツを辿ると小倉寛太郎というダンディ東大生に行き当たる。 

2017年09月17日 22時33分56秒 | 日記

以下は前章の続きである。 

企業主はそこまでは悩んでいないようで、ただ「デモ屋には難渋しています」という返事だった。 

デモ屋とは日系企業を見つけては従業員を焚きつけて待遇改善、賃上げのデモを打たせる仕事師。 

企業が折れて何%か給料を上げると、それに見合った成功報酬を取って次のカモとなる日系企業を求めて立ち去っていく。 

デモ屋のルーツを辿ると小倉寛太郎というダンディ東大生に行き当たる。 

彼は駒場で学園紛争を立ち上げると、東大生のままどこかの会社に潜り込んではストを打たせて会社を潰して歩いた。 

中に三越があった。

彼は格好いい。

女心を鷲掴みする特技で女子従業員をストに駆り立てた。

昭和26年暮れの三越争議がそれだ。

ライオン像のある正面玄関に女店員がピケを張り、警官隊と衝突を繰り返した。 小倉は支那のデモ屋と違いカネは取らない。

企業を潰し、世情不安を拡散して日本を破綻に追い込めばいい。

日共の本分だ。 

小倉は次に日本航空に入った。

GHQに潰された「航空ニッポン」の再建拠点として政府肝いりで設立されたばかりの会社だ。 

小倉は東大卒の幹部候補生を装って労組委員長に就任すると、三越で使ったテクニックそのままに、まず女子社員を誑し込んだ。 

銀座の大通りでスチュワーデスを並べてデモ行進までやらせた。 

航空再建に賭ける社長の松尾静麿は足許の乱に驚き、小倉を説得したが、彼は聞く耳を持たなかった。 

パンストをただでよこせ、生理休暇を1週間にしろのアホな要求を並べ立て労使の対立が頂点に達したとき、松尾の娘が白血病で重篤になった。 

小倉はそれに付け込んだ。

徹夜の団体交渉を続けて松尾を追い詰めたが妥協のないまま夜明けを迎えた。ために松尾は娘の死に目に会えなかった。 

スチュワーデスはそれを知って泣き、小倉の下を去った。

日本のデモ屋は女を使いきれなかった。

この稿続く。


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