文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

詐欺犯の辻元清美みたいなのが増えるくらいなら日本は最下位で結構と思っている。

2021年05月20日 16時24分05秒 | 全般

以下は今日発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
女が偉い国
1990年代初めにハノイを旅した。
米国がベトナム戦争に負けた腹いせでまだ経済制裁していたから街も人々も本当に貧しそうだった。
それでも紅河に架かる橋のたもとの朝市はいつも元気に賑わっていた。
熱いフォーをすすりながらその賑わいを眺めていたら自転車に乗った二組の夫婦が目の前でぶつかって派手にひっくり返った。
後ろに乗っていた妻たちも転げ、買ったばかりの食材やら衣料やらが辺りに散乱した。
妻たちは起き上がって散らばった品物を拾い、これはあなたのかしらとか言いながら仕分けする。
亭主どもも立ち上がったが、こっちはモノも言わずに殴り合いを始めた。
痩せた腕がしなり、双方の拳が相手の顔を打つ。
殴り疲れると足で蹴る。
そしてまた深刻に殴り合う。
やがて二人の妻が仕分けを終え、まだ殴り合っている亭主に声をかけた。
多分「もう行くわよ。もたもたしないで」と言ったように思う。
そしたら亭主たちはぴたり殴り合いをやめ、ひっくり返った自転車を立てる。
妻たちがそれぞれ荷台に乗るのを待って痩せた足でペダルを漕いで左右に別れていった。
すれ違ったとき妻たちがにっこり会釈した。
見ていたこっちがその展開に驚いた。
あの即座の殴り合いは何なのか。
日本だったら亭主たちはまず謝る。
いえ、こちらこそと相手が言う。
それが相場だ。
中には詰る者もいるだろうが、いきなり双方ぼかすかはない。
そして妻の一言で即座にやめる。ベトナム男のそれが形なのか。
それを元ベトコン女闘士で、精米会社サイゴンサタケ社長のグェン・ティティに尋ねたことがある。
ベトナムの男は優秀だ。でも女はもっと優秀で、それが彼らの不幸なのだと彼女は答えた。
彼女は確かに優秀で骨もある。
映画『フルメタル・ジヤケット』は米軍がたった一人の女狙撃手に翻弄される姿を描く。
あれは実話だ。
サイゴンに女子体操競技のジムがある。
床はコンクリート。腸の出たマットの上で少女たちが床運動や平均台の練習をしていた。
骨折はしょっちゅうという。
なぜそんな無茶をするのか聞いたら、東側の援助が欲しいから東側の好きな体操競技に付き合うためだ、いつもビリだけどと笑う。
少女たちは骨折を厭わない愛国者なのだ。
おかげで米軍を追い払い、ポルポトを退治し、鄧小平の支那も叩きのめせた。
戦いが終わると、女たちは銃を置いて田んぼや工場に戻って働き始める。
グェン女史は精米会社の他75もの企業を起こした。幹部はみな女だという。
男たちが「我々は何をすればいいのか」とおずおず尋ねた。
女たちは言った。「暇なら政治でもしていれば」。
それで男たちはベトナム共産主義国家を作った。
ランソンの人民委員会を訪ねたことがある。
庁舎の軒先から1階ホール、執務室に繋がる通路までヤンキー座りした男たちで占められていた。
机も仕事もないが、みな立派な肩書を持ち、日がな一日、こうやって「勤務している」のだという。
男の面子を立ててくれる女たちに男どもは感謝の念を隠さない。
ハノイに女を敬う「女の博物館」がある。
勇敢な姉妹が敵軍を倒す「娘子軍(じょうしぐん)」の伝説はベトナムが起源だったとここで知った。
だから街角で妻が転ばされたら夫は躊躇いなく懲罰に出る。
それがベトナム男の心意気なのだろう。
世界経済フォーラムが女の地位ランキングを発表した。
女のおかげで戦争に勝て、貧困も克服した。
ベトナム女が当然の1位と思ったら156ヵ国中87位と半分より下だった。
女が興味を持たない「政治」を重視するいびつさが端的に出ている。
因みに120位の日本女もその辺は同じ。
詐欺犯の辻元清美みたいなのが増えるくらいなら日本は最下位で結構と思っている。

 


最新の画像もっと見る