文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

原子力にはIAEAの査察制度があり、施設は人里離れた場所に置かれている。それと同じ安全対策は、生命科学分野においても当然行われるべきである。

2021年04月28日 17時22分03秒 | 全般

発売中の月刊誌WiLLとHanadaには本物の論文、論説が満載されている。それでいて価格は950円(消費税込み)である。
有数の読書家である友人は「本ほど安いものは無い」が口癖だが、両誌は、それが全く正しい事を実証している。
日本国民全員は今すぐに最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
両誌に満載されている本物の論説、論文は日本人のみならず世界中の人たちが必読である。
私は世界中の人たちには本欄で出来るだけ知らしめて来た。
米国と共に文明のターンテーブルが回っている国である日本。米国と並んで後170年世界をリードして行かなければならない国である日本。
その日本で、世界最高の論文が日夜発表されているのは当然の事である。
その論文群が、本欄が登場する2010年7月以前までは、世界に全く発信されていなかった。
それが、今日の不安定で極めて危険な世界を作っているのである。
本章ではWiLLに掲載されている筑波大学システム情報系准教授掛谷英紀の論文をご紹介する。
彼は、上記の月刊誌を購読していない人達、朝日新聞等を購読しテレビの報道番組等だけを視聴している人達は、全く知らない本物の学者である。
彼らと彼らと同様の世界中の人達は、彼の様な本物の論文を読んだ事は一度もない人達であると言っても過言ではない。
中国追及の手を緩めてはならない
掛谷英紀
矛盾する中国の主張にダンマリの科学者たちは倫理観が腐りきっている
薄弱な根拠 
WHOから独立した調査を 
3月30日に公表されたWHO調査団の報告書に対して、14ヵ国が批判的な共同声明を出した。
新型コロナウイルスの起源に関する中国の言い分がおかしいことを、多くの国が公式に認め出したのである。
WHOの調査団の報告書を受けて、3月4日に公開質問状を出した研究者のグループは、4月7日に再び公開質問状を出した。
これもニューヨーク・タイムズの公式サイト上で公開され、ロイターなどの主要メディアでも報じられた。
この公開質問状には、日本から私ともう一人の日本の研究者(情報工学)が署名した。
それにより、ニュース記事でも「欧州、米国、オーストラリア、日本の研究者による公開質問状」との表現が使われた。
ここで日本の存在感をアピールすることに貢献できたことを誇りに思う反面、日本から生命科学者の署名が一つもなかったことは大変残念に思っている。
4月の公開質問状では、WHOの調査団による報告書の不公正を指摘するとともに、今後の調査の進め方についても提案している。
1つ目は、WHOと中国の間で結ばれた付託条項を見直すことである。
この付託条項により中国に拒否権が生じており、中国において独立した専門家が調査活動をすることができなくなっている。
その見直しが不可欠との提案である。
2つ目は2021年5月のWHO総会で、新型コロナウイルスの起源に関する無制限の調査を求める決議および危険な機能獲得研究に関する新たな規制などを求める決議を行うことである。
3つ目は、先に挙げた二つの提案が実現しない場合は、WHOとは別に各国の協力体制のもと新型コロナウイルスの起源に関する透明性の高い調査を進めることである。
この公開質問状では、補足としてWHOの報告書で中国側が提出した資料に含まれる矛盾点も多数指摘している。
たとえば前述の通り、武漢ウイルス研究所は、それまで外部の研究者がアクセスして参照できた同研究所のデータベースを閉鎖している。
新型コロナウイルスのパンデミックを契機としたハッカーの攻撃から守るため、というのが中国の言い分である。
ところが、実際にデータベースを閉鎖したのは2019年9月である。
中国側の主張には明らかな矛盾がある。
武漢ウイルス研究所の職員を調べたところ、誰一人として新型コロナウイルスの抗体がなかったという中国側の主張も非常に疑わしい。
武漢の人口の約4%に抗体があることがわかっているのに、武漢ウイルス研究所の590名の職員誰1人として抗体を持たないというのは確率的にほぼ考えられない。
腐りきった倫理観 
中国は証拠を隠滅しているので、これから調査をしても実験室からの漏洩を証明するのは難しいという意見もある。
しかし、武漢ウイルス研究所の全職員の免疫(免疫グロブリンやT細胞)を調べることは可能である。
全職員のウイルスへの感染履歴が分かれば、漏洩ルートが特定できる可能性がある。
この証拠は職員を殺さない限り隠滅できない。
この調査に応じない中国の研究機関に属する研究者を学会や学術誌から締め出すことは、政治とは独立に科学界だけで対応可能である。
冷戦時を思い起こせばわかる通り、独裁国家が自由主義世界の学会活動に自由に出入りできることが異常なのである。
情報隠蔽が正当化される国は、学問の場として相応しくない。
真の科学者ならば、これに同意しない人はいないだろう。
中国の研究機関に属する学者の締め出しに対し、中国政府は「差別」という言葉を使って被害者を装うと予想される。
これについては、中国からの研究者難民(亡命)受け入れで対抗することが考えられる。
これは科学者だけで実現できる問題ではなく、政治の力が必要となる。
中国の責任を強く追及すれば、中国はより隠蔽体質を強めるのではないかと懸念する感染症の専門家もいる。
しかし、そのような理屈で300万人の死の原因を隠蔽することは全く正当化されない。
もし、中国が態度を硬化させて隠蔽体質を強めるなら、中国からの人の出入りを一切遮断すればよい。
そうすれば次の中国発の感染症は防げる。
オウム真理教は、松本サリン事件で追及を免れたから地下鉄サリン事件を起こせた。
もし、新型コロナウイルスの起源について中国を追及できなければ、より危険な次の事件が起きる可能性がある。
われわれは歴史の教訓に学ぶべきである。
新型コロナウイルスの起源を調べても、パンデミックの被害が消えるわけではなく、何の役にも立たないと言う人もいる。
しかし、起源の真相を解明し、リスク要因を正確に把握することによって、天然、実験室のいずれを起源とするウイルスであっても、次のパンデミックを防ぐ対策ができる。 まずできることとして、危険な微生物を扱う研究所に対する国際査察制度の創設、およびその種の研究所が人口密集地にある場合は、過疎地や離島に早急に移転するなどの措置が考えられるだろう。
原子力にはIAEAの査察制度があり、施設は人里離れた場所に置かれている。
それと同じ安全対策は、生命科学分野においても当然行われるべきである。
ところが、そういった議論が全くできないほど、今の科学者の倫理は腐りきっている。 


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