以下は今しがた発見した、今を生きる梅棹忠夫と言っても過言ではない宮崎正弘の論文からである。
何をやってもダメな中国 経済破滅に導く中国の新首相・李強氏 ゼロコロナ転換のあとの無残 国家副主席を老齢政治家で「つなぎ」とする習氏の思惑
中国の習近平国家主席は、ゼロコロナからフルコロナに転換し、「感染輸出」を始めた。
昨年の師走、「コロナ対策に勝利した」と宣言した。
白を黒というのが中国の為政者の特質であるにせよ、ゼロコロナ政策が大失敗に終わったことは明らかである。しかるに海外旅行を含め、春節(旧正月)に約3億900万人が旅行に出た。国内外にウイルスをばらまいた。
英国拠点の医療系調査会社「エアフィニティ」は1月17日、「春節の大型連休中、中国で1日当たり約3万6000人が新型コロナで死亡する可能性がある」との分析結果を公表した。この傾向が年末まで続けば、死者は1000万人を超える計算になる。
習氏は勝利宣言の舌の根も乾かぬうちに、「猛烈で深刻な状態が地方で見られる。コロナに立ち向かう医師団の貢献をたたえ、希望を持ち、この困難に立ち向かうのだ。われわれの政策は正しいのだ」と強調した。
虚ろな響きだった。
毛沢東の「大躍進」の実態は大飢饉(ききん)だった。3600万人から4500万人が死んだ。文化大革命での死者は少なくとも2000万人だ。感染拡大ニュースに追い打ちをかけたのは、中国の劇的な人口減である。
一人っ子政策を止めたのに、61年ぶりに人口減という深刻な状況となった。当局は「農村から都市への集中が原因」としたが、若者たちの人生観の激変ぶりについては触れていない。
経済の悪化は誰が見ても明白だが、新首相となる李強氏(前上海市党委員会書記)は経済のど素人。手柄は上海にテスラ工場を誘致したことだけなのである。
香港のメディアは、今年3月の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、韓正筆頭副首相(68)がナンバー2の国家副主席に就くと報じた。
韓氏は昨年秋の党大会で、政治局常務委員を引退し年齢制限に抵触する人物、ロートルであり、そのうえ韓氏はかつて江沢民派の重鎮だった。
国家副主席といえば毛沢東時代には朱徳、ウランフ(烏蘭夫)、劉少奇らが就任した「飾り」だったが、江沢民時代からは次期後継者、もしくは大番頭格の政治家が就いた。
韓氏は浙江省生まれ、華東師範大学に学んだ。2019年に上海市書記のポストを李強氏に譲り、習近平政権2期目は「トップセブン」の仲間入り。以後は習氏にすり寄った。
つまり、習氏の思惑は経済担当ポストに適任者を選ばず、上位のポストから次期後継候補を排除し、老齢政治家を「つなぎ」とするのである。近未来は暗い。