下記の言わば歴史的な名著である「脱原発は中京の罠」の著者である高田純氏は本物の学者であるだけではなく、真の愛国者、つまり最澄が定義した国宝の一人である。
本著は、その事を証明している。
同時に、朝日新聞やNHK等のメディアの原発に関する、これまでの報道が如何に自虐史観と反日思想、左翼小児病等に立脚した報道だったかを、嫌と言うほど明らかにしている。
本書を購読している人達、本稿で初めて原発について知る人達は、彼らの報道の酷さについて怒りすら覚えるはずである。
彼らは自虐史観と反日思想に加えて左翼小児病患者として、脱原発どころか反原発運動を扇動する報道を繰り返して来たのだから。
NHKのwatch9は、大越、有馬と、それが伝統であるかのように、福島第一原発の現場を訪問した映像だけを報道して、高田純氏が学者として検証し続けている各地の原発の実態については、殆ど何一つ報道して来なかった。
その態様は、ジャーナリストとして失格であるだけではなく、国民に対する犯罪行為であると言っても過言ではない。
核物理、原子力学について、全くの門外漢である河野太郎等が述べている脱原発論は、原発について全くの無知であると言っても過言ではない彼らが、朝日新聞等の論説を語っているだけである事も白日の下に晒しだしている。
原発について全くの無知であると言っても過言ではない者達が日本国のエネルギー政策を決定しようとしている事は、正に、日本国の危機、今、目の前に在る重大な危機の一つである事を、果たして自民党の地方党員という実態の知れない人達は、認識して投票するのだろうか?
一般国民には、その実態が全く分からない自民党の党員という人たちを、マスメディアだけは知っていて、彼らを対象に世論調査を行って、河野太郎が一位だ等と言う報道が、正しいジャーナリズムであるとは言えない。
p193―p201
前文省略。
1台の遠心分離機によって濃縮される度合は、一般的にはごくわずかであり、必要な濃縮度を得るためには何回も処理を繰り返す必要がある。
このために複数の遠心分離機を連結して、濃縮度を高める。これをカスケードという。
日本原燃の遠心分離機を複数連結したカスケード同位体濃縮技術は世界一の性能であると聞く。
全て、内製の自社技術である。この技術と技術者は日本の宝であると、私は思った。
使用済み核燃料から再利用できるウランとプルトニウムを取り出す上程は「再処理」と呼ばれる。
原子力発電所で、ウラン燃料は3~4年間使うことができ、さらに再処理することで繰り返し利用できる。
発電中の核燃料の中で、ウラン238が中性子を吸収すると、ウラン238の一部がプルトニウムに変化する。
この使用済み核燃料を再処理して、ウラン燃料やウランとプルトニウムの混合酸化物燃料の原料として使えるようにする。
再処理工場は「準国産エネルギー資源」を製造する。エネルギー資源の無い日本にとって極めて大切な工場である。
将来的にプルトニウムの転換効率に優れた高速増殖炉でプルトニウムを利用することができれば、利用効率は格段に向上する。
IAEAの査察官が監視する中、平和目的に限定して、日本原燃は再処理を、核不拡散性に優れた技術=ウラン・プルトニウム混合脱硝(だっしょう)で行っている。
再処理最大能力は、年間800トン・ウランで、100万キロワット級原子力発電所約40基分の使用済み核燃料を処理できる。
2006年より、使用済み燃料を用いたアクティブ試験を実施しており、2022年度上期の竣工に向けて、最終的な安全機能や機器設備の性能の確認作業が行われている。
全国の原子力発電所からの使用済み核燃料は、頑丈な使用済み燃料輸送容器に入れられ再処理工場に運ばれる。
使用済み燃料を受け入れ、貯蔵建屋内の輸送容器管理建屋で一時保管した後、貯蔵プールに移す。
十分に放射能が弱まった後、約3~4センチの長さに細かく剪断(せんだん)し、燃料の部分を硝酸で溶かした後、ウラン、プルトニウム、核分裂生成物に分離する。
さらにウラン溶液とプルトニウム溶液を精製、脱硝して、ウラン酸化物とウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)の2種類の製品を作る。
再処理工程で生じる核分裂生成物を含む廃液は強い放射能を帯びている。これが高レベル放射性廃棄物である。
この廃液をガラス原料と混ぜ合わせて溶融し、ステンレス製容器に流し込み、冷やして固める。これがガラス固化体である。
最終の地層処分まで、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに冷却保存される。
世界一の耐震と耐津波技術に挑戦する日本の核エネルギー施設
国内の原子力発電所は、耐震性能、耐津波性能の大幅向上に取り組んでいる。
私は、平成23年以来、改めて、独自に高速炉および軽水炉の地震と津波に対する安全性の現地調査を行った。
2013年5月19日、全国が注目する静岡県御前崎市の浜岡原原子力発電所を視察した。
耐震性の強化工事、海抜24メートルの防波壁建設や、潜水艦のような浸水防護などの津波対策、高台での非常用電源やポンプ車の配備と貯水槽建設が行われていて、驚かされた。一民問企業のものすごい工事。太平洋沿岸にある重要エネルギー施設の要塞化だった。
浜岡原発は、想定されている東海地震の震源域内にある。東海・東南海・南海地震の3連動地震も考慮して、岩盤上で1千ガルの加速度の巨大地震を、中部電力は2005年、独自に設定した。
2011年の福島第一原発の地震が最大550ガルなので、中部電力が想定する最大加速度がいかに大きいかがわかる。
2013年9月には、南海トラフ巨大地震を想定し、3号・4号機の地震対策として1200ガルを、さらに、地震動の増幅が想定される部分には2000ガルの耐震性を確保する姿勢で臨んでいるという。
配管サポートの補強、敷地内斜面のロックボルトやアンカーの打ち込みによる補強、人工岩盤を追加するなどの取水槽地盤改良工事、防波壁地盤改良工事など、浜岡原発の徹底した巨大地震対策を私は見た。
この想定地震に耐えられる建造物は他にはないのではないかと思わせる中部電力の意気込みだ。
発電施設全体を、総延長1.6キロメートル、海抜22メートルの高さの防波壁で囲み、高さ20メートルに置く非常用発電機、原子炉冷却ポンプや建屋に海水が入り込まない防水構造化など30項目の技術開発は、世界一の津波対策への挑戦と見た。
太平洋に面する1号機から5号機の原子炉施設は、海から見れば、樹木が生い茂る海抜10メートルほどの砂丘の陰にある。
地下の岩盤に直接据えつけられる、海抜18メートル、幅2メートル、延長1.6キロメートルの防波壁に、さらに6メートルの高さの鋼板を追加する。
3.11の津波では、沿岸にあった防波壁はことごとく破壊されたが、岩盤から建造される浜岡の構造ならば耐えられる。
これが2016年6月には完成し、山側の丘とも接続され、原子力施設全体が、22メートルの高さの壁で囲まれることになった。
まるで、高い城壁で囲まれた駿府城だ。さらに、防波壁を津波の一部が突破した場合の対策が構築されている。
原子炉冷却海水ポンプや原子炉建屋内に海水が入り込まない防水構造化は、潜水艦のようだ。
発電所全体に、幾重にも津波対策がなされ、正に多重防護。
非常時冷却機能の多重確保も凄い。万一原子炉の冷却機能を失った場合でも、電源供給・注水・除熱について、複数の代替手段が講じられている。
海抜40メートルの高台にガスタービン発電機を追加的に設置し、万一の緊急時に原子炉に注水できる。
屋外の海水取水ポンプが故障しても、屋内に同様の機能を持つポンプが地下水槽のある防水構造の建屋内に設置されている。
さらに、このガスタービン発電機が使用できない事態が発生しても、24時間以上作動できる蓄電池、各号機の建屋屋上に設置した発電機、高台に用意してある電源車の電力でポンプを動かし原子炉へ注水できるのだ。
重大事故発生時の備えもある、徹底した多重防護の浜岡原発だが、想定外に炉心が溶ける事故に至った場合どうなるのか。
中部電力は、次の3つの防護策を用意する。
①格納容器の破損を防ぐために、上部・側面・底部の3ヵ所に冷却装置を設置。
②放射性物質の放出量を抑制するために、フィルター付きの排気設備を設置。セシウムなどの微粒子を1千分の1以下に低下させる。
③建屋の水素爆発を防止するため、水素を排気する。放水で放射性粒介を敷地内に落下させる。
多くの国民が浜岡原子力発電所の耐震性や耐津波性に注目する。
世界一の対策技術が開発されたとの印象を、私は現地視察と中部電力の公開資料から得た。
巨大地震と巨大津波が東海地方を襲った時、太平洋沿岸で生き残る要塞の構築。
さすが、天下統一の武将を生み出した中部だ。
福島第一原発事故後の2016年6月、私は福井県敦賀を訪れ、あらためて高速増殖炉もんじゅの塊震津波対策を見た。
さらに、自身が主催する第7回の放射線防護医療研究会で、高速増殖炉研究開発センターからの報告「もんじゅの緊急安全対策」の詳細を確認した。
「もんじゅ」は高い沸点を持つナトリウムを炉心冷却に使用しているために、冷却系統は軽水炉の高圧と異なり、低圧である。
万一配管破損などで冷却材が漏れた場合はガードベッセルという容器で漏れたナトリウムを受けて冷却材を確保する設計になっている。
しかも、原子炉崩壊熱の除去は3系統ある1系統で除熱できる。
福島第一のように全交流電源が喪失した場合でも、電気動力源を使わず、自然循環力で除熱ができるので極めて安全だ。
その上、熱除去のヒートシンクは海水でなく空気としており、施設の高所に設置された空気冷却器により熱除去が行われる。
主要な安令施設は海抜21メートル以上に設置されていて、津波が原子炉の安全性に影響する可能性は極めて小さい。
この稿続く。