文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

因みに強制送還を拒否して死んだスリランカ女性もシンハラ語が母国語なのに日本で英語を習って英語教師になる気だった。

2022年11月13日 09時20分27秒 | 全般

語学などというのはその程度でいい。余った時間は日本語教育に回せ。
2022年06月23日
以下は2022年06月23日に発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読
ペナガンて何だ
略歴には「ロサンゼルス特派員」がある。
スクラップ帳ではピーター・ドラッカーをインタビューもしている。
ただ正直、英語はからっきし駄目なのだ。
赴任前に駅前の英語学校に少し通った。
だからまあ大丈夫だろうと思って着任してテレビを点けた。
CNNニュースが流れ出したが、早口で半分も分からない。
中でも「ペナガン」に困った。何度もその言葉が出てくるのに字引に載っていない。
外信部長が意地悪で助手も付けてくれなかったから暫くペナガンが何モノか分からなかった。そんなとき家探しを頼んだ不動産屋がきた。
「いい物件がある」と地図を広げる。
「ほらサンヴィセネのすぐ脇だ」と指で示す。
地図には「サン・ヴィセンテ通り」と綴ってある。で、ピンときた。
「お前ら単語中のtを勝手にサイレントにしていないか」不動産屋は頷く。
これで「ペナガン」を解く糸目が掴めた。
どこかにtを入れていき、ついにPentagon(国防総省)にたどりついた。
multinational(多国籍)のtは読むけど発音は「マルチ」ではなく「モータイ」と聞こえる。
米語の訛りはホントに酷い。英語圈の青森弁だ。
それをこなして街の駐車場に行ったら係の黒人の言葉が分からない。
まるでラップだった。
助手席の女性が翻訳しなかったら駐車もできなかった。
いわゆるエボニクス(黒人英語)は日本人にはまず理解できない。
白人女給二コールを見初めたOJ・シンプソンはその黒人英語を矯正するのに3年かかった。
それで求婚し、悲劇が始まった。 
英語世界で育ったOJですら癖のある米国人英語を習得するのにそれほどの時間がかかる。 
ロスには他にメキシコ系のスペイン語訛りがある。
それぞれを聞き分けて初めてAngeleno(ロスッ子)になれる。
西海岸でこの有り様だ。
米南部に行けばまた別の英語に遭遇する。
米国ですらそれだけ勝手な英語が喋られている。
その意味で英語は支那語と似る。
上海人の支那語を広東人は分からない。
ただ「蘋果(りんご)日報」はどこの支那人でも意味は理解できる。
日本人も漢字を書けばトイレに行け、湯麺も注文できる。
我が文科省はそれが分からない。
英語を話せることは偉大だと思い込んで「外人と話せる」が英語教育の本道と信じている。 
かくて小学生から英語授業を始めさせ、それも外人を教壇に立たせてナマ英語を聞かせるのが正しい教育と規定した。
外人が募集され、今、世界では英語が話せれば日本で教員になれると広く信じられている。
中には「日本女の顔を股間に押し付けろ」のジュリアン・ブランク型の犯罪者も多く混じる。
因みに強制送還を拒否して死んだスリランカ女性もシンハラ語が母国語なのに日本で英語を習って英語教師になる気だった。
日本ではシンハラ訛りでも通用すると思われているところがコワい。
実際、文科省も英語世界が実は訛りだらけという事態が分かってきたみたいで、訛りを理解するのも正しい英語教育だと言い出した。 
その証拠に少し前の大学入学共通テストではリスニング部門に3人のスピーカーを登場させた。
一人がペナガンと訛る米国人。二人目が英国人。
つまり「Rain in Spain」を「ラインインスパイン」と読む。
そして3人目が日系米国人の英語で、その訛りを「聞き取り、聞き分ける」テストだった。
聞くだにアホらしくないか。 
そのうち黒人英語もシンハラ訛りもテストに出してくるつもりだろう。
そんな英語を学んで通訳じゃあるまいし、何の意味があるのか。
日本人は支那語の発音など知らない。
それでも漢字で彼らの意図は分かる。
語学などというのはその程度でいい。
余った時間は日本語教育に回せ。



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