文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

これでは国際情報戦を戦うことはできず、海外左翼メディアの餌食になってしまう。この弱点をなんとしても克服しなくては、激動する国際情勢を生き抜くことはできない。

2019年09月03日 17時14分17秒 | 全般

以下は前章で省略した部分である。
日本エア野党の会
韓国が文字どおり発狂している。
文在寅大統領は「二度と日本に負けることはない」などと発言し、まるで国民を戦争に駆り立てているようだ。
日本製品不買運動まで発生しているが、日本国民は冷めた目で見ている。 
めずらしく日本政府がぶれない対応をしていることに、溜飲を下げている人も多いだろう。
日本国内では圧勝ムードさえ流れ、韓国滅亡論もまことしやかにささやかれている。 
しかし私は、「日本は相変わらず対外発信が下手だな」と落胆している。
海外報道を見ると、まるで日本が悪玉で、独善的な行動で世界に迷惑を掛けようとしている、といわんばかりに書かれている。 
これはいったいどうしたことだろうか。
今回の一件は、100%日本に理があるはずだ。
日本政府は間違いなく、米国やWTOに日本の立場を綿密に説明しただろう。 
福島産水産品のように、WTO敗訴は二度と許されない。
ところが、海外メディアを視野に入れた国際発信はすっぽり抜けている。
説得力が感じられないのだ。 
中略
国際情報戦に勝つ方法 
もし私が日本語をまったく理解しない外国人記者で、これらの発言を通訳を通して聞いていたら、はっきり言って混乱したと思う。 
日韓関係に影響を与えることを意図したものではないと言っても、優遇措置を外せば影響が出ることは必至だし、優遇措置をわざわざ外すからにはそれ相応の理由があるはずだ。
対抗措置ではないというが、約束を平気で破る態度に信頼関係が崩れたのが理由だと言うし、安全保障の観点から懸念があると言いながら、具体例への言及がない。 
これでは、「韓国の態度に頭にきたから優遇措置を止める。安全保障はその理由付け」と聞こえてしまう。 
なんとなく聞き流してしまうのは、日本人が日本語で聞いているからだ。
これでは国際情報戦は戦えない。 
私なら、次のように立論する。
今回の決定には、二つの大きな理由がある。
まず、歴史認識に相違があるにせよ、韓国が国家間の条約や合意を蔑ろにしていることは厳然たる事実であり、信頼関係が喪失している以上、貿易上の優遇措置を供与する理由はない。
さらに、軍事転用できる戦略物資が第三国に流れている疑念があり、行方不明の物資について日本政府は説明を求めているが、韓国政府は回答できずにいる。 
韓国政府から明確な回答と具体的な改善措置の実施が示されるまでは、責任上、輸出管理を通常のプロセスに戻さざるを得ないのは当然のことだ。
日本政府は、韓国政府の誠意ある対応を待つ立場だ。
こう言ったらもちろん、安全保障にかかわる輸出管理上の懸念点を具体的に示さなければならない。 
その根拠は十分にある。
今年七月に、フジテレビ、産経新聞が「2015年から2019年3月まで、韓国から戦略物資が無許可で流出した不正輸出案件は156件もあった」と報じ、その根拠となる韓国政府作成のリストが示された。 
西岡力麗澤大学客員教授によれば、このリストは趙源震という、朴槿惠弾劾無効を主張する少数保守野党所属の議員が今年5月、文在寅政権発足以来、輸出制限対象の戦略物資の不正輸出が急増していることを告発する目的で韓国政府に提供させたもの。
朝鮮日報も、その趣旨で報道したという。
なぜもっと強調しないのか 
西岡教授が指摘するように、ここには極めて重要な論点が複数ある。
以下のことが、リストからも客観的に判断できる。
①文在寅政権が発足して以来、不正輸出摘発件数も金額も急増している。
②同じ企業が不正を繰り返す傾向がある。
③刑事処分された例がない。
④教育命令のような、軽い処分しかなされない
⑤北朝鮮と関係が深いテロ支援国のイランとシリアへの不正輸出もあった。 
そしてこれが極めて重要なのだが、文在寅政権はホワイト国待遇の条件と言われる戦略物資貿易管理に関する日韓協議に応じていない。 
これは、小野寺五典前防衛大臣の7月5日のBSフジの番組内の次の発言に符合している。 
「これまでは韓国企業から『100欲しい』と言われたら黙って100渡していたが、よく見てみると、工業製品には70ぐらいしか使っていない。残り30はどうなったのか、と韓国政府に確認しても、最近は報告がこない」 
まさに、これらの点を徹底的に強調すべきなのだ。
「度重なる条約違反による信頼喪失もさることながら、このような現状に鑑みてホワイト国適用を続けることは不可能だと判断せざるを得ない」と断言しなくてはならないのだ。 ただ安全保障上の観点と言うだけでは、言い訳のように聞こえてしまう。 
これらの論点は繰り返し強調されなくてはならないが、私を落胆させたのは、タイで開催されたASEAN+3の外相会議で(八月二日)、韓国の康京和外相が日本の韓国への「ホワイト国」除外措置について批判した際の河野太郎外務大臣の反応だ。
日本人の最大の弱点 
韓国・康京和外相。 
「決定は一方的で恣意的だ。重大な懸念を持っている」
河野外務大臣。 
「康外相が何を根拠に批判しているか分からない。安全保障の観点から効果的な輸出管理を行うことは、国際社会における日本の役割だ」 
私はこの応酬を英語で聞いたが、河野外相がなぜ即座に韓国側に大きな落ち度があることを具体的に強調しないのかまったく理解できず、もどかしさを感じざるを得なかった。 根拠もなく突然、安全保障の観点から輸出管理の見直しを自発的に行うとでも言うのか。
必ず相応の理由があり、それは韓国側の重大な瑕疵であり、日本は責任上対応せざるを得ない被害者なのだ、と大声で主張しなくては、第三者には伝わらない。 
それどころか、前述の韓国政府の不正輸出案件増加を告発するレポートでさえ、韓国は開き直って「このリストは韓国が管理を行い、不正を摘発している証拠だ。むしろ日本の管理のほうが甘い」と詭弁を弄する有り様だ。
これに対しても日本政府は明確な反論をせずに、漠然としたコメントを繰り返すばかりだ。 
このように、100%こちらが正しく、十分な根拠があっても効果的な論陣が張れないのが日本政府の実力なのだ。
政府に限らず、「ディベートの文化を持たない」日本人の最大の弱点なのかもしれない。 
これでは国際情報戦を戦うことはできず、海外左翼メディアの餌食になってしまう。
この弱点をなんとしても克服しなくては、激動する国際情勢を生き抜くことはできない。 
対外発信に関するコンサルティングを依頼されれば、もちろんエア野党は断らない。


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