以下は前章の続きである。
尖閣は、一帯一路の要衝
習近平国家主席は、就任以来「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、ユーラシア大陸を横断するシルクロードを支配し、中国から北アフリカまでの航路を切り開いた15世紀のように、世界に君臨しようとしている。
その手法が、「一帯一路」である。
大陸国家として繁栄してきた中国は、「一帯」と呼ばれる陸路では絶大な影響力を誇るが、海路は海洋国家・日本や米国に後れを取ってきた。
そこで、支配海域の拡大を時間をかけ進めてきたのである。
一帯一路構想において、中国の港から世界を目指すためには、東シナ海を通過するのが主要なルートだ。
そのため、日本を抑え、東シナ海を手中に収めることを目指している。
尖閣諸島は、東シナ海の扇の要の位置にあり、一帯一路の要衝なのだ。
中国の尖閣諸島略奪計画は、粛々と進められてきた。
そして、その結果、尖閣諸島の周りには、常に中国海警局の警備船が航行し、あたかもそこが「中国の海」であるがごとく振る舞っている。
残念ながら、日本の海上保安庁は中国警備船の動きを阻止することはできていない。
そして、中国は、堂々と尖閣諸島は中国の領土であると公言するようになっている。
そこには、日中国交正常化の交渉の際に鄧小平氏が主張した「問題の棚上げ」などの概念はない。
中国は、尖閣諸島、ひいては東シナ海を完全に手中に入れるため、最終的段階に突入しているのだ。
台湾では、国民党の馬英九総統の時代、中国本土の活動家と連帯するグループがいた。
しかし、2013年、日本が台湾漁民による東シナ海での漁を々一部認める「日台民間漁業取り決め」を結んだことにより、台湾での活動をほぼ終息した。
李登輝元総統をはじめ、台湾では、尖閣諸島が日本の領土であることを認識している有識者が多いことから、日本と台湾が連携し尖閣諸島の活用を考えるのも一案である。
この稿続く。
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