恋多き女 -1956年 フランス 99分-
監督 ジャン・ルノワール
脚本 ジャン・ルノワール
ジャン・セルジュ
撮影 クロード・ルノワール
音楽 ジョセフ・コズマ
出演 イングリッド・バーグマン
ジャン・マレー
メル・ファーラー
マガリ・ノエル
ジュリエット・グレコ
ジャン・リシャール
ミシェル・ナダル
ピエール・ベルタン
サンドラ・ミーロ
ジャン=クロード・ブリアリ
ジュリアン・カレット
ジャック・カトラン
グリゴリ・クマーラ
恋愛、そして悲劇と喜劇
公女は、真珠を全て売ってしまったことを知ると、その気のなかった金持ちの靴屋と結婚することにした.彼女の叔母は、自分たちの生活のために、公女の結婚の条件を釣り上げようとするけれど、「私たち、一文無しよ」この一言で、全てが解決、靴屋も公女がお金のために自分と結婚することを、よく分かっていたらしい.
お金の絡んだ結婚の話、本来なら陰気くさい話になるのが、「一文無しよ」と、事情を隠さずに話したら、何ともさわやかに、全ての話がまとまってしまった.隠すと悲劇に、隠さず話せば喜劇になる.
靴屋の息子と、ゴム屋の娘の、ゴム長靴を作って儲けるための政略結婚は、息子が惚れた公女と結婚するために、邪魔な息子を他の女と結婚させる陰謀だった.けれども、父と息子が一緒に披露宴をする、見え見えの陰謀、その隠さない陰謀の結末は、悲劇か喜劇か?.
公女を父親に奪われた靴屋の息子は、公女の小間使いの娘を好きになる.「好きになってもいいけど、本妻には隠れてやれ」と、靴屋は息子を叱ったけれど、けれども、相手の浮気を知っても、ゴム屋の娘は彼を好きで好きで、ならなかった.
そして、小間使いの娘を、ロラン将軍の護衛の兵士が好きになってしまうのだけど、どちらが好きなのか分からなかった彼女、護衛の兵を好きよと、心を隠さず話して、この話、喜劇に終わったみたい.
靴屋は、自分の金儲けを条件に、公女を諦めて、ロラン将軍の取巻き達の陰謀に加担する.このやり取りが、あまりにも明白な描き方で、本来は陰気な悲劇のはずなのに、喜劇に描かれた.
公女の恋は、一時、相手を好きになって、そして、その心を秘めた、お守りのひなぎくの花を渡せば、それで終わりだった.でも、そのお守りのひなぎくの花は、相手の男の心に、内に秘めた恋心を生んで、もらった男たちは、悲劇だったのでは.最初の作曲家の男は、結婚出来なかっただけでなく、自分の才能も認めてもらえず、悲劇だった.
さて、革命記念日のパレードで巡り会った、アンリと公女.彼は公女に一目惚れ.彼女の気を引こうと、ロラン将軍に紹介したら、ロラン将軍も、彼女に夢中になってしまった.アンリは、ロラン将軍の取巻き達の陰謀に加担して、公女をロラン将軍に引き合わせる役を負いながらも、ロラン将軍に対して、自分も公女に恋していることを宣言した.
アンリは、ロラン将軍と公然の仲のエスコフィエ嬢と結託し、彼女の希望に沿ってロラン将軍と結婚させ、そして、自分は公女と結婚しようと図る.この謀、ロラン将軍の取巻き達にばれて失敗したはずなのに、「通れない」「手相を見てあげるから、美男だからだだで」で、通ってしまった、何かインチキ臭い筋書きによって成功した.ロラン将軍を脱出させるために、アンリと公女は、情事の芝居を農民たちに見せる.そして、農民たちに見せたその芝居は、本当の恋に変わっていった.恋の姿を、隠さずに皆に見せたら、喜劇になった.
ミアルカ、彼女はインチキな役をするのだけど、でも、彼女の歌はインチキではない.誰にでもある、初めて恋人に巡り合ったときの、内に秘めた想い、彼女の歌は、そうした心を、皆に知って欲しい心にして、想い出させるのではないでしょうか.
この映画、終わった後の、ロラン将軍とエスコフィエ嬢の結婚を伝える新聞記事、その招待客に、アンリと公女の名前があり、二組の恋が新聞に載って、本当の終わりになる.
恋愛を、秘密にすれば悲劇になり、公にすれば喜劇になる.たとえ公にできない不倫の恋であっても、二人の恋は、皆に知らせたい、皆に知って欲しい、素敵な恋であって欲しい.
監督 ジャン・ルノワール
脚本 ジャン・ルノワール
ジャン・セルジュ
撮影 クロード・ルノワール
音楽 ジョセフ・コズマ
出演 イングリッド・バーグマン
ジャン・マレー
メル・ファーラー
マガリ・ノエル
ジュリエット・グレコ
ジャン・リシャール
ミシェル・ナダル
ピエール・ベルタン
サンドラ・ミーロ
ジャン=クロード・ブリアリ
ジュリアン・カレット
ジャック・カトラン
グリゴリ・クマーラ
恋愛、そして悲劇と喜劇
公女は、真珠を全て売ってしまったことを知ると、その気のなかった金持ちの靴屋と結婚することにした.彼女の叔母は、自分たちの生活のために、公女の結婚の条件を釣り上げようとするけれど、「私たち、一文無しよ」この一言で、全てが解決、靴屋も公女がお金のために自分と結婚することを、よく分かっていたらしい.
お金の絡んだ結婚の話、本来なら陰気くさい話になるのが、「一文無しよ」と、事情を隠さずに話したら、何ともさわやかに、全ての話がまとまってしまった.隠すと悲劇に、隠さず話せば喜劇になる.
靴屋の息子と、ゴム屋の娘の、ゴム長靴を作って儲けるための政略結婚は、息子が惚れた公女と結婚するために、邪魔な息子を他の女と結婚させる陰謀だった.けれども、父と息子が一緒に披露宴をする、見え見えの陰謀、その隠さない陰謀の結末は、悲劇か喜劇か?.
公女を父親に奪われた靴屋の息子は、公女の小間使いの娘を好きになる.「好きになってもいいけど、本妻には隠れてやれ」と、靴屋は息子を叱ったけれど、けれども、相手の浮気を知っても、ゴム屋の娘は彼を好きで好きで、ならなかった.
そして、小間使いの娘を、ロラン将軍の護衛の兵士が好きになってしまうのだけど、どちらが好きなのか分からなかった彼女、護衛の兵を好きよと、心を隠さず話して、この話、喜劇に終わったみたい.
靴屋は、自分の金儲けを条件に、公女を諦めて、ロラン将軍の取巻き達の陰謀に加担する.このやり取りが、あまりにも明白な描き方で、本来は陰気な悲劇のはずなのに、喜劇に描かれた.
公女の恋は、一時、相手を好きになって、そして、その心を秘めた、お守りのひなぎくの花を渡せば、それで終わりだった.でも、そのお守りのひなぎくの花は、相手の男の心に、内に秘めた恋心を生んで、もらった男たちは、悲劇だったのでは.最初の作曲家の男は、結婚出来なかっただけでなく、自分の才能も認めてもらえず、悲劇だった.
さて、革命記念日のパレードで巡り会った、アンリと公女.彼は公女に一目惚れ.彼女の気を引こうと、ロラン将軍に紹介したら、ロラン将軍も、彼女に夢中になってしまった.アンリは、ロラン将軍の取巻き達の陰謀に加担して、公女をロラン将軍に引き合わせる役を負いながらも、ロラン将軍に対して、自分も公女に恋していることを宣言した.
アンリは、ロラン将軍と公然の仲のエスコフィエ嬢と結託し、彼女の希望に沿ってロラン将軍と結婚させ、そして、自分は公女と結婚しようと図る.この謀、ロラン将軍の取巻き達にばれて失敗したはずなのに、「通れない」「手相を見てあげるから、美男だからだだで」で、通ってしまった、何かインチキ臭い筋書きによって成功した.ロラン将軍を脱出させるために、アンリと公女は、情事の芝居を農民たちに見せる.そして、農民たちに見せたその芝居は、本当の恋に変わっていった.恋の姿を、隠さずに皆に見せたら、喜劇になった.
ミアルカ、彼女はインチキな役をするのだけど、でも、彼女の歌はインチキではない.誰にでもある、初めて恋人に巡り合ったときの、内に秘めた想い、彼女の歌は、そうした心を、皆に知って欲しい心にして、想い出させるのではないでしょうか.
この映画、終わった後の、ロラン将軍とエスコフィエ嬢の結婚を伝える新聞記事、その招待客に、アンリと公女の名前があり、二組の恋が新聞に載って、本当の終わりになる.
恋愛を、秘密にすれば悲劇になり、公にすれば喜劇になる.たとえ公にできない不倫の恋であっても、二人の恋は、皆に知らせたい、皆に知って欲しい、素敵な恋であって欲しい.