小間使の日記 - THE DIARY OF A CHAMBERMAID - (1946年 88分 アメリカ)
監督 ジャン・ルノワール
製作 ベネディクト・ボジャース
バージェス・メレディス
原作 オクターヴ・ミルボー
脚本 バージェス・メレディス
撮影 ルシアン・アンドリオ
音楽 ミシェル・ミシェレット
出演
セレスティーヌ............. ポーレット・ゴダード
モージェ大尉................バージェス・メレディス
ジョルジュ・ランレール......ハード・ハットフィールド
ランレール夫人..............ジュディス・アンダーソン
ジョゼフ....................フランシス・レデラー
ランレール氏................レジナルド・オーウェン
ローズ......................フローレンス・ベイツ
ルイーズ....................アイリーン・ライアン
マリアンヌ..................アルミラ・セッションズ
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アメリカの独立と、フランス革命
イギリスの植民地支配、ヨーロッパの銀行による経済的支配から逃れるために、アメリカは独立することにしました.紅茶とか生活物資に税金をかけたことが、戦争になる契機になったようです.
フランスのルイ16世は、アメリカの独立を資金面で援助した.が、そのために経済的に困窮し、フランスの貴族に対して税金をかけたところ、貴族は造反を起こしドイツに支援を求めました.
時を同じく、貴族支配に対して不満を持つ民衆が、政治犯が収容されていたパスチーユ監獄を襲撃した、その日が革命記念日なのですが、その時行われた人権宣言は、アメリカが独立に際して行った人権宣言を参考にしたもので、ほぼ同じ内容だそうです.
と言うことで、フランス革命を描いた作品は、アメリカ人にしてみれば自分たちの独立を描いた事と、同じ意味をもって受け入れられるはず、と思われます.
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本題はここから
『小間使いの身分で、主人の命令に従って生なんてもう嫌.金持ちの男を蕩し込んで、お金持ちになろう』、と考えたクリスティーヌ.
『誰が犠牲になっても構わない』と言い放ち、忘れないように『私には、もう、愛はいらないと』と、日記に書き記す.
彼女は、恋愛感情で金持ちの男を騙し、お金持ちの生活をしようと考えたのだけど、それが良いことなのか、どうなのか?
第一の男は、雇い主の主人.女たらしの男で、すぐに誘いに乗ったのだけど、けれどもお金は全て奥さんが握っていて、彼は文無しだった.
次は、隣の家の大尉.この男も女好きで、やはりすぐに誘いに乗ったのだけど、この男もまた主人の場合と同じように、文無しだったようだ.そして、その次は、雇い主の家の息子.彼とは相思相愛、互いに好きになってしまったのだが、息子の方に、彼女が母親の回し者に違いないと言う誤解があった.
最後に執事の男.『お前も、おれも、同じことを考えている』と、彼は言った.彼は貯めたお金に加えて、革命を呪うための銀の食器を盗み出し、貴族に代わって優雅な暮らしをしようと考えていたようだ.
企みをクリスティーヌに話して、話を聞いたクリスティーヌも出発を延ばしたので、了承したと思われる.同時に、その話を女主人に盗み聞きされ、彼の企みは頓挫したのだが、彼はすぐに、隣の大尉の家の金を盗むことを思いついたようだ.
スコップを手にした執事を見て、大尉を殺して金を奪ったに違いないと察したクリスティーヌ.彼女に対して執事の男は『お前も共犯だ』と言い放った.クリスティーヌは『そんな』と言いはしたけれど、強引な執事に引きずられて結婚することにしてしまった.
ここが、一番重要なところ.
誰でも、こう思うはず.『人殺しの男と結婚してどうするんだ』と.
彼女も一度はそう思ったはず.『お前も共犯だ』と言われて、『そんな』と言い返したとき、『私は男を騙して金持ちになろうと考えたけど、でも、決して人殺しまではするつもりはなかった.誰が犠牲になっても構わない、と、言いはしたけれど.....』
執事の男は女主人の愛人だった.彼はその事を利用して、女主人から銀の食器を奪い取ってきた.全部よこせと言われて、主人の前で女主人は反論できなかったのだが、彼のやったことはクリスティーヌが考えていたことと、全く同じことであったと言える.
広場で民衆に囲まれ、そして革命の演奏を聞いたかと問われ、やっと彼女も自分の間違いに気がついたのでしょう.
『結婚祝いよ.みんなに上げるわ』、と、銀の食器を、皆に上げることにした.....
一番最初のシーン.容姿の綺麗な自分は雇い、そうでない今一人に対しては、執事の男は帰れと言った.『汽車賃がない』と言っても、知ったことかという執事に対して、クリスティーヌは『だったら自分も帰る』と、食ってかかった.あの時、クリスティーヌは考えが変わった、生き方を変えるんだ言ったはず.
あの時、正しく革命の精神を、自由と平等を主張したクリスティーヌなのだから、自分だけがお金持ちになって、幸せになろうとするのは間違っていた事に気がついたはず.お金は皆が幸せになるためにあるはず、お金も幸せも、独り占めしてはダメなんだと.
今一度書けば、『結婚祝いよ.みんなに上げるわ』、と、銀の食器を、皆に上げることにした.....
当然のことながら、不正な手段、騙したり脅したりしてお金を得ることは許されることはなく、誰が犠牲になっても構わないと考えた彼女は、人殺しと同じであった.
そして、『私には、もう愛は要らない』この言葉も間違っていた.その間違いを正す言葉を日記に書き記し、映画は終わる.
監督 ジャン・ルノワール
製作 ベネディクト・ボジャース
バージェス・メレディス
原作 オクターヴ・ミルボー
脚本 バージェス・メレディス
撮影 ルシアン・アンドリオ
音楽 ミシェル・ミシェレット
出演
セレスティーヌ............. ポーレット・ゴダード
モージェ大尉................バージェス・メレディス
ジョルジュ・ランレール......ハード・ハットフィールド
ランレール夫人..............ジュディス・アンダーソン
ジョゼフ....................フランシス・レデラー
ランレール氏................レジナルド・オーウェン
ローズ......................フローレンス・ベイツ
ルイーズ....................アイリーン・ライアン
マリアンヌ..................アルミラ・セッションズ
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アメリカの独立と、フランス革命
イギリスの植民地支配、ヨーロッパの銀行による経済的支配から逃れるために、アメリカは独立することにしました.紅茶とか生活物資に税金をかけたことが、戦争になる契機になったようです.
フランスのルイ16世は、アメリカの独立を資金面で援助した.が、そのために経済的に困窮し、フランスの貴族に対して税金をかけたところ、貴族は造反を起こしドイツに支援を求めました.
時を同じく、貴族支配に対して不満を持つ民衆が、政治犯が収容されていたパスチーユ監獄を襲撃した、その日が革命記念日なのですが、その時行われた人権宣言は、アメリカが独立に際して行った人権宣言を参考にしたもので、ほぼ同じ内容だそうです.
と言うことで、フランス革命を描いた作品は、アメリカ人にしてみれば自分たちの独立を描いた事と、同じ意味をもって受け入れられるはず、と思われます.
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本題はここから
『小間使いの身分で、主人の命令に従って生なんてもう嫌.金持ちの男を蕩し込んで、お金持ちになろう』、と考えたクリスティーヌ.
『誰が犠牲になっても構わない』と言い放ち、忘れないように『私には、もう、愛はいらないと』と、日記に書き記す.
彼女は、恋愛感情で金持ちの男を騙し、お金持ちの生活をしようと考えたのだけど、それが良いことなのか、どうなのか?
第一の男は、雇い主の主人.女たらしの男で、すぐに誘いに乗ったのだけど、けれどもお金は全て奥さんが握っていて、彼は文無しだった.
次は、隣の家の大尉.この男も女好きで、やはりすぐに誘いに乗ったのだけど、この男もまた主人の場合と同じように、文無しだったようだ.そして、その次は、雇い主の家の息子.彼とは相思相愛、互いに好きになってしまったのだが、息子の方に、彼女が母親の回し者に違いないと言う誤解があった.
最後に執事の男.『お前も、おれも、同じことを考えている』と、彼は言った.彼は貯めたお金に加えて、革命を呪うための銀の食器を盗み出し、貴族に代わって優雅な暮らしをしようと考えていたようだ.
企みをクリスティーヌに話して、話を聞いたクリスティーヌも出発を延ばしたので、了承したと思われる.同時に、その話を女主人に盗み聞きされ、彼の企みは頓挫したのだが、彼はすぐに、隣の大尉の家の金を盗むことを思いついたようだ.
スコップを手にした執事を見て、大尉を殺して金を奪ったに違いないと察したクリスティーヌ.彼女に対して執事の男は『お前も共犯だ』と言い放った.クリスティーヌは『そんな』と言いはしたけれど、強引な執事に引きずられて結婚することにしてしまった.
ここが、一番重要なところ.
誰でも、こう思うはず.『人殺しの男と結婚してどうするんだ』と.
彼女も一度はそう思ったはず.『お前も共犯だ』と言われて、『そんな』と言い返したとき、『私は男を騙して金持ちになろうと考えたけど、でも、決して人殺しまではするつもりはなかった.誰が犠牲になっても構わない、と、言いはしたけれど.....』
執事の男は女主人の愛人だった.彼はその事を利用して、女主人から銀の食器を奪い取ってきた.全部よこせと言われて、主人の前で女主人は反論できなかったのだが、彼のやったことはクリスティーヌが考えていたことと、全く同じことであったと言える.
広場で民衆に囲まれ、そして革命の演奏を聞いたかと問われ、やっと彼女も自分の間違いに気がついたのでしょう.
『結婚祝いよ.みんなに上げるわ』、と、銀の食器を、皆に上げることにした.....
一番最初のシーン.容姿の綺麗な自分は雇い、そうでない今一人に対しては、執事の男は帰れと言った.『汽車賃がない』と言っても、知ったことかという執事に対して、クリスティーヌは『だったら自分も帰る』と、食ってかかった.あの時、クリスティーヌは考えが変わった、生き方を変えるんだ言ったはず.
あの時、正しく革命の精神を、自由と平等を主張したクリスティーヌなのだから、自分だけがお金持ちになって、幸せになろうとするのは間違っていた事に気がついたはず.お金は皆が幸せになるためにあるはず、お金も幸せも、独り占めしてはダメなんだと.
今一度書けば、『結婚祝いよ.みんなに上げるわ』、と、銀の食器を、皆に上げることにした.....
当然のことながら、不正な手段、騙したり脅したりしてお金を得ることは許されることはなく、誰が犠牲になっても構わないと考えた彼女は、人殺しと同じであった.
そして、『私には、もう愛は要らない』この言葉も間違っていた.その間違いを正す言葉を日記に書き記し、映画は終わる.